ダーウィンが来た！ 生きもの新伝説「小さな狩人モズ！」 -別動画付き-

宮本武蔵の「枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)」です。

モズが描かれています。
技術的な素晴らしさはともかく、
ここに描かれた一匹の芋虫により、
この絵から放たれる緊張感が見所となっています。

その緊張感も、モズが一流のハンターであるからです。



これがモズ(オス)。
大きさはスズメより少し大きいぐらいですが、
狩りに長け、気性が荒いことで知られています。



これはオオタカ。
そして、モズ。



クチバシを比較して見て下さい。
どちらも鉤状に曲がっています。
そのほうが狩りに有利なため、
このような形になっています。
猛禽類という言葉がありますが、
ワシタカ、フクロウなどとともに、
モズも猛禽という呼ばれ方をしています。



ネズミのような自分の体重の半分ほどの大きな獲物も
仕留めて見せます。

秋の武蔵野の田園、番組ではモズの気性の荒さを確かめるために、
モズの姿をした模型を畑に設置、
録音した声が出るようにしました。
すると、モズの本物の高い声が聞こえてきました。
そして、模型のモズが去らないため、
高速で体当たり、鋭いクチバシも武器になります。
鋭いクチバシに攻撃されると、
それが致命傷になることもあるんだとか。



モズが守ろうとしているのは縄張りです。
モズの縄張り意識は強く、



高所から自らの縄張りを主張、
通称「高鳴き」です。

モズは田園を好みます。
高所から見下ろすと開けた畑の小動物が見つけられます。
この縄張りで春の子育てまでの食べ物を捉えるようという訳です。

今はまだ秋ですが、子育てにはたくさんの食料が必要です。
その前には冬も越さねばなりません。
そのためにはこの縄張りを譲るわけにはいかないのでした。




ところで、モズの習性としてよく知られているのが、
この「速贄(早贄/はやにえ)」です。
この画像では、バッタがを突き刺されています。



モズは足の力が弱く、
食事では獲物を枝などに突き刺してから食べます。
しかし、突き刺すだけでそのまま飛び立ってしまうことも。
なぜ、こんなことが行われているのでしょうか？

モズは後からやってきて、
これを食べることがあります。
その観点から、これは来たる冬のための保存食だと考えることが出来ます。
ただし、食べないこともあり、
むしろ、放置したままのことのほうが多く、
保存食というだけでは説明できません。
それ以外の考えとしては、

縄張りをアピール
高鳴きは縄張りを聴覚に訴えるものでしたが、
はやにえでは視覚に訴えようという訳です。

メスへの捕食能力のアピール
繁殖期になりますと、メスがオスの縄張りにやってきますが、
その時にメスがはやにえを見て、
オスの捕食能力の高さを確認するというもの。

ハンターとしての本能
モズは満腹でも動く小動物を見ると、
捕らえずにはいられないともいわれ、
捕まえたものの、食べられないので、
そのままにしている、というもの。

外敵を恐れた結果
いくら獰猛なモズとはいえ、
その体は小さいため、
逃げなければならないこともあるでしょう。
獲物を捕らえ、枝に刺したところで、
外敵がやってきたので、
逃げた結果がはやにえだという説です。

以上、いろいろな考え方があるようですが、
未だ結論は出ないままです。





上の動画ではミミズを枝に刺そうとしていますが、
なかなか上手くいかないようですね。


はやにえを保存食として活用しつつ、
厳しい冬を越せば繁殖期の春となります。
春になると、彼らを私たちが

百舌

百舌鳥

と書く理由がわかります。



この時期のオスのモズは様々な声で鳴くようになります。



ウグイス、メジロ、ヒヨドリ、ヒバリ、カワヒラなどなど、
たくさんの種類の他の鳥の声を真似ることが出来るため、
「百の舌」と書かれるようになったようです。

なぜ、物真似をするのかについて、
番組では説明がありませんでした。
おそらく、メスへのアピールだと思いますが、
はっきりしたことは、これも不明なのかもしれません。

オスが呼んでいるのはメスです。



メスはオスよりも羽毛の色が薄めで、
顔の黒い線もありません。

どうやら、メジロのオスの求愛は
メスの傍で首を振るものらしいです。





ダンスの後、飛び立ったので、
メスに拒絶されたのかと思えば、
再び戻って来たオスは餌をくわえていました。



メスが羽を震わせるのは、
オスへ食事を要求している仕草で、
オスは何度もメスへ食事を運び、
気に入られると、交尾となります。




この動画では、ヒナへの給餌、
そして糞の始末も見られます。