その1 カインとアベル
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11492002413.html
中野京子先生をお招きしての番組、
こちらから続いております。
後の世に絶世の美女として伝えられている
ユーディト(ユディト/ユーディット)。
旧約聖書外典ユディト紀にその名も残しています。
クリムトが描いた「ユーディト」です。
夫を失ったユーディトには、
その美しさと財産がありましたが、
何より、彼女には信仰心があり、
尊敬される女性でした。
アッシリアの王は先の戦争で味方しなかった諸民族を攻撃することにします。
そのうちのホロフェルネス将軍の隊が向かった西方には
ユーディトたちが暮らすベトリアがありました。
ベトリアの人々にはただ籠城するしかありませんでした。
しかし、物資を断たれ、水源も押さえられてしまいました。
食料が底を尽きます。
何も食べ物がなくなった時に、
ある人が神への供物に手を伸ばします。
それを制止したのがユーディトでした。
町の指導者までもが降服やむなしと考える中、
彼女は一つの決意を口にします。
私はあることを実行します。
それは代々伝えられることでしょう。
彼女は美しく着飾り、丹念に化粧をしました。
そして、一人の侍女のみを伴って、
アッシリア軍の陣内へと乗り込んでいき、
進軍の道案内をすると進み出て、
ホロフェルネス将軍の部屋へ。
そこにいたのは将軍と彼の側近の二人だけでした。
戦場に似つかわしくない美女に見惚れる将軍を
ユーディトは褒め称え、酒を注ぎます。
上機嫌の将軍に酒を勧め続け、
ついに彼は酔いつぶれて横たわってしまいました。
気を利かしたのが彼の側近で、
自ら部屋の外へ出て行ってくれました。
顔を見合わせるユーディトと侍女。
二人が同時に頷くと、
将軍が横たわっているベッドへとゆっくりと進みます。
彼女は将軍の髪を掴み、短剣を首へ…
(カラヴァッジオ 「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」)
(ルーカス・クラナッハ「ホロフェルネスの首を持つユーディト」)
この場面を多くの画家が描いていて、
(アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」)
下のアルテミジアは17世紀当時珍しい女性画家で、
性犯罪の被害者であるにもかかわらず、
裁判でセカンド・レイプを受け、
男性社会に対する憎悪が絵に表れていると評価されています。
なお、この絵には続きがあって、
(アルテミジア・ジェンティレスキ「ユーディトと侍女」)
何かの物音に驚いたのか、
動き出さんばかりのその横顔には凜々しさも感じられます。
これはクリストファノ・アッローリの
「ホロフェルネスの首を持つユーディト」。
ユーディトのモデルは
アッローリの別れた元交際相手だといわれています。
ユーディトの顔立ちと生首のコントラストが強烈な印象を与えますが、
この生首はアッローリ自身がモデルだとされています。
なお、最初にご紹介した絵は、
クリムトの中でも極めて有名一枚なんですけれど、
彼女が脇に抱えているモノに気付いていない人も多いのかもしれませんね。
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