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ビーバップ!ハイヒール 「絵画ミステリー ~名画に潜む旧約聖書の世界~」 その1 カインとアベル

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西洋画の知識を得ようとする時に、
欠かせないのがキリスト教の知識です。
もちろん、絵を見てただ楽しむことも出来ますが、
その絵が描かれた意味、
なぜ、この絵にこんなものが?
なんていう疑問を解消するのはそういった知識だったりもします。
あとは後々、違う世界に影響を与えることも。



「E.T.」
この映画の象徴的なシーンがタイトル画になっていますが、
特にこの2本の指、
これはこの絵から取られたものだといわれています。

ミケランジェロ「アダムの創造」

先日、新しいローマ教皇が選ばれましたが、
そのコンクラーベの会場となっているのが
システィーナ礼拝堂であり、
その天井画として描かれているのが
ミケランジェロの「アダムの創造」です。
神が土塊から作ったアダムに命を吹き込もうとしている瞬間を描いたものです。


今回の先生は番組4回目のご登場、



これらの著作が美術関連の書籍としては
異例のベストセラーとなっている中野京子先生です。

洋画には聖書にまつわる絵画が多いというのは、
一つには文字が読めない人にも、
絵で聖書の教えを表そうとしたともいえます。


ウィリアム・ブレイク「アダムとイブによって見つけられたアベルの肉体」

これは1826年頃、英国のウィリアム・ブレイクによって描かれた
「アダムとイブによって見つけられたアベルの肉体」
という作品。

なぜ逃げているのか、なぜ頭を抱えているのか、
ひげ面の男性は何者なのか、
あの表情は、横たわっているのは、
その人に覆い被さっているのは、
あの球体は…
などの疑問があります。

神は土をこねて作ったアダムに命を与え、
そして、彼の肋骨からイヴを作りました。
二人は楽園であるエデンで生活することになります。

ヤン・ブリューゲル/ルーベンス「楽園のアダムとイブ
(ヤン・ブリューゲル/ルーベンス共作「楽園のアダムとイブ」)

しかし、ここで悪魔にそそのかされ、
禁断の木の実を食べたことにより、
二人は楽園から追放されてしまいます。

ミケランジェロ「原罪と楽園追放」
(ミケランジェロ「原罪と楽園追放」)

マザッチオ「楽園追放」
(マザッチオ「楽園追放」)


二人は永遠の命を失い、
男性には労働の苦しみと、
女性には生みの苦しみを背負わされることに。

そんな二人は地上で二人の子を授かります。
それが兄・カインと弟のアベルです。
(二人の弟にセトもいるけれど)
カインは農夫に、アベルは羊飼いとなり、
神への捧げ物を届けていました。
カインは畑で取れた農作物を、
アベルは羊肉を捧げ物としています。

しかし、なぜか神が受け取ったのはアベルの羊肉だけでした。

なぜアベルのものだけ

それはカインの中に生まれた嫉妬です。

ジェームズ・ティソ「アベルを死へと導くカイン」
(ジェームズ・ティソ「アベルを死へと導くカイン」)

ある日、カインはアベルを野原に誘い、
そして、アベルはカインに殺されてしまいます。
旧約聖書がいうところのこれが人類最初の嫉妬心であり、
最初の殺人です。

神のはアベルに尋ねます。

弟、アベルはどこにいるのだ

カインは答えて

知りません。私は弟の番人なのですか?

これが人間最初の嘘と旧約聖書は伝えています。
彼は人殺しに加えて神への嘘という
二重の大罪を犯してしまいました。

弟の血を吸った土は実りをもたらさない。
お前の運命はあてどなく地上を放浪することだ。


神はカインにそう告げます。

そんな罪は重すぎます。私を見つけた者は皆、
私を殺そうとするでしょう。


ならば、誰もお前を殺さないように、
殺せば七倍の報復があることを知らしめる印をつけよう


両親の元から逃亡するカイン。


ウィリアム・ブレイク「アダムとイブによって見つけられたアベルの肉体」

棺の形に掘られた穴、
そしてアベルの遺体と
それにすがりつき覆い被さる母・イブ。
驚愕と呆然が入り交じった表情の父・アダム。
禍々しいばかりに濁った色の球体は、
執拗にカインを追い続けるでしょう。

放浪を続けるしかないカインは、
やがてエデンの東に辿り着きます。





親からの偏愛ということで、
ジェームズ・ディーン主演のこの「エデンの東」は
そのままのタイトルですね。
カインとアベルの物語を下敷きにしているのは、



この「スタンド・バイ・ミー」もそうですね。
あと「普通の人々」「リバー・ランズ・スルー・イット」
「カインとアベル(韓)」「PRICELESS」「カインの贖罪」など、
多数の映画やドラマが挙げられます。



さて、コンクラーベの記事にもお書きしたんですが、
そもそも西洋と日本の宗教観が違うんですよね。
「ヤハウェ」を「神」としたのも、
誤りだという意見もあります。
私たちの感覚では神は等しく恩恵を与えてくれるものでありますが、
砂漠の民だったイスラエルの人々にとっては、
そこが過酷な環境だったため、
神とは罰を与えるものだという発想になります。
私たちの自然は豊かであるため、
私たち独自の神の感覚が宿っているともいえます。






ねてしてタペ





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