Quantcast
Channel: テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

ドラえもんが生物ではない理由を考えてみる

$
0
0

名門男子校・麻布中学でこのような入試問題が出たようですね。
そしてネットで様々な回答や意見があったらしいです。

非常に興味深い問いですねえ。

99年後に誕生する予定のネコ型ロボット『ドラえもん』です。この『ドラえもん』がすぐれた技術で作られていても、生物として認められることはありません。それはなぜですか。理由を答えなさい

これがその問題です。

まず、感じるのがこの質問の目的が

生物の定義

を受験者に見つけさせ、
そこからドラえもんが適合しない部分を
指摘させようという意図でしょうか。

受験者は資料を見ることは出来ないのでしょうけれど、
ここでは資料に当たりつつ、
考えてみたいと思います。

広辞苑で見てみますと、

せい‐ぶつ【生物】
[礼記(楽記)]生きもの。生活しているもの。一般に栄養代謝・運動・成長・増殖など、いわゆる生活現象をあらわすものとされるが、今日では増殖を最も基本的・普遍的属性とみなしている。分類学上は生物界のこと。⇔無生物。

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

とあります。
運動をしない生物は珍しくありませんし、
成長しない生物ですか。
生殖により繁殖している生物では知りませんけれど、
分裂で増殖する生物ではいますよね。
残るは栄養代謝ですね。
この言葉の意味が今ひとつよくわからないんですが、
栄養を得て代謝を行うという意味でしょうか?
おそらく、代謝を行わない生物はいないと思います。
ドラえもんはこれに当てはまらないのでしょうか?
ただ、ドラえもんが代謝を行っていないという
客観的なデータがありません。
マニア的にはどうなのでしょうか?
彼は原子力で活動していて、
しかし、どら焼きなどを好んで食べているようで、
それが彼の口に入った後、
どのような経過を経るのかがわかりません。
ロボットとはいうものの、
もしかすると、彼の体内には
私たちに備わっている消化器のようなものが存在し、
主動力源は原子炉から得ているものの、
ハイブリッド式に人間が食べているような食物から
エネルギーが得られるようになっているのかもしれません。
あるいは、食べ物から得た原子が原子炉に?

よくわからないので、

むせい‐ぶつ【無生物】
生活機能を持たないものの総称。⇔生物

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

無生物を見てみましたが、
今度は「生活機能」という言葉がよくわかりません。
調べてみますと、介護学では使われている言葉のようです。
この分野では「人が生きていくための機能全体」を指しています。
歩行や食事、排泄、入浴などの
日常の基本的な活動を行うための機能なのでしょう。
しかし、広辞苑が言っているのは、
少し遠いような気もします。

せい‐かつ【生活】 ‥クワツ
(1)[孟子(尽心上)]生存して活動すること。生きながらえること。
(2)[北史(胡叟伝)]世の中で暮らしてゆくこと。また、そのてだて。くちすぎ。すぎわい。生計。「―を営む」「―に追われる」「社会―」

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

世の中で暮らしているのは自明として、
ドラえもんは生存しているのか、
生き長らえているのか…?

生きているのであれば、生物であり、
そうでないなら、生物ではないことになりますが、
これでは疑問が一周してしまいます。
ただの言い換えになりそうです。

入学試験であれば、必ず正解不正解があり、
質問者はそれを想定していることになりますが、
この場合は生物の条件をどのように考えていたのでしょうか?

代謝・運動・成長・増殖

結局、これらを生物の条件としていたのかもしれません。
しかし、それは正しいとは言い切れません。

『ドラえもん』がすぐれた技術で作られていても、生物として認められることはありません。

そして、本当にそう言い切れるのでしょうか?
ここまで考えてきて、

ドラえもんは生物ではない

と言い切るのは難しいと判断しました。

私が想像するに、質問者は

成長・増殖

をドラえもんが行わないことに気付いて欲しかったのだと思います。
しかし、成長しない生物はいますし、
増殖についても、ドラえもんも持っている道具であれば、
ドラえもんは自分と同じ個体を生み出すことが可能です。

考えてみれば、ウイルスなどは生物学では生物とされていませんが、
自らの遺伝子を持ち(遺伝子そのものですが)、
自己の複製を行っている訳ですから、
見方によっては生物だといえるでしょう。
なぜ、生物として見なされていないかといえば、
自らの細胞を持たないからで、
私たちの細胞の中にあるミトコンドリアも
同様の理由で生物ではありませんが、
元々は独立した生物だったはずです。

実は生物と無生物の境界は、
とても曖昧なのかもしれない、
あの問題の質問者の意図とは違い、
それに気付くことが出来た点で、
非常に面白い問題だったと思います。



ねてしてタペ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

Trending Articles