前回の記事については、こちらをごらんください。
アルプスの少女ハイジ
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11500904094.html
「母をたずねて三千里」の旅は厳しく、
この三千里という距離も誇張している訳ではなく、
この物語の中で12000㎞も一人の少年が旅しています。
それは出稼ぎに出て戻らない母親に会いたいがため。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里]()
少年はマルコ・ロッシ、9歳。
イタリアのジェノバに暮らしています。
彼の母親・アンナはずいぶん前にアルゼンチンへ出稼ぎに出ていて、
そして今は連絡が取れなくなっています。
彼は決意して単身南米へと向かいます。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里]()
ジェノバを出た船はブラジルのリオデジャネイロに、
そして、アルゼンチン・ブエノスアイレスへ。
彼の母親もこの航路でアルゼンチンへ渡ったものと思われます。
しかし、なぜ1万km以上も離れたアルゼンチンが
彼女の出稼ぎ先なのでしょうか?
この作品の原作はイタリアのエドモンド・デ・アミーチスの「クオーレ」。
1886年に書かれています。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里]()
当時のイタリアはオーストリア帝国との戦争に勝利し、
北イタリアを含めて統一国家が成立したばかり。
しかし、まだ国内は不安定で、
経済基盤も弱く、不況が続いていました。
一方、海の向こうには豊かな国がありました。
それがアルゼンチン。
当時のアルゼンチンのGDPは世界有数で、
その値は仏独を上回ったこともあり、
米国に迫る勢いでした。
活気に満ちたブエノスアイレスは、
「南米のパリ」と呼ばれてもいました。
そんなアルゼンチンの経済を支えてたのが、
牛肉
です。
調べてみますと、1876年に初めて欧州とアルゼンチンの間で、
冷凍船が運航されています。
これでアルゼンチンの肉を腐らせずに
消費地である欧州へと運ぶことが出来るようになり、
これがこの国を経済発展させることに。
貧しい国から富んでいる国へ人が移動するのは自然の事で、
当時もイタリアからアルゼンチンへ
大量の移民が押し寄せています。
アルゼンチン政府もそれを了承し、
移民の4割がイタリアからの人たちという状態でした。
そして、移住ではなく、
中には一時的な労働のために大西洋を渡る者たちも。
マルコの母アンナ・ロッシも
そんな一人だったということなのでしょう。
音信不通の母を求めて、
アルゼンチンに来たマルコでしたが、
その母の居場所を知っているはずの叔父は夜逃げして行方知れず。
見知らぬ土地で途方に暮れるマルコに駅員が
ま、そういう相談なら、ジェノバ人のごろごろしている
ボカの町か移民局へ行ってみるこった
とアドバイスを受けます。
港町であるボカ地区は移民が多く、
出稼ぎの人たちもここから上陸することも多いとか。
現在のボカの住民の多くがイタリア系で、
ここからタンゴが発達し、
アルゼンチンタンゴとなっていきます。
アルゼンチンタンゴは、
イタリア移民が生んだ音楽だったのです。
マルコは母の消息を追って、
町々を訪ね歩きますが、
彼は母親を見つけることは出来ません。
そして、ロサリオにやって来た時、
現地の人の誤解もあり、酷い扱いを受けてしまいます。
そんな時、彼を助けたのは、
やはり、イタリア移民でした。
貧しい暮らしで少ない稼ぎの中、
故郷から一人でやってきたこの小さな少年のために、
少しずつお金を出し合うのでした。
ところで、このロサリオといえば、
サッカー界のスーパースター、
リオネル・メッシを生み出した町でもあります。
彼もまた、イタリア移民の子孫なのでした。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里]()
これがアルゼンチンに上陸してから、
母に会うまでのマルコの行程です。
これを大阪を起点として喩えますと、
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里]()
大阪から長崎へ行き、
そしてまた大阪へ戻り福島へ、
さらにそこから青森までという距離になります。
その苦難を乗り越えて、
彼は病床の母に会うことが出来ます。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里]()
この物語で描かれたのは、
親子の固い絆だけではなく、
遠く故郷を離れて暮らすイタリア人たちの絆の強さも
見所となっています。
お話を最初の当時のイタリアの国情に戻しますと、
エドモンド・デ・アミーチスがこの物語を書いたのは、
まだ治まりきらないイタリア国内の子供たちに、
愛国心を説くためだと考えられています。
最後は軽めに「フランダースの犬」で間違い探しを。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 フランダースの犬]()
オープニングです。
ここに既に2つの誤りがあります。
それはベルギーの人が見れば許せないものかもしれません。
答え
1つはその衣装。
あれは隣国オランダの民族衣装なんだそうです。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 フランダースの犬]()
2つめは大きく背景に描かれている風車が
オランダ風の形なんだそうで、
これらのことからこのアニメ作品は
ベルギーでは放送されたことがないようです。
この番組とは関係ありませんが「トリビアの泉」などで
パトラッシュの犬種が
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 フランダースの犬]()
このブーヴィエ・デ・フランドルだとしていますが、
実際の原作には犬種を特定する記述はなく、ただ、
フランダースの犬は、一体に頭も四本の脚も大きく、耳は狼のようにぴんと立っていて、何代も何代も親ゆずりの荒い労働で鍛え上げたがっしりしたその足は、何れも外側にひらいてふんばっていて、見るからに異常な筋肉の発達を示しています。
という描写が見られます。
ウィーダ(マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー)が1872年に書いた
「フランダースの犬」はこれらで現在でも
購入して読むことが出来ますが、
青空文庫なら無料で読むことも可能です。
フランダースの犬 図書カード No.4880
http://www.aozora.gr.jp/cards/001044/card4880.html
短いお話ですので、
ご興味がございますれば。
「母をたずねて三千里」も同様です。
母を尋ねて三千里 図書カード No.45381
http://www.aozora.gr.jp/cards/001048/card45381.html
![ねてしてタペ]()
アルプスの少女ハイジ
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11500904094.html
「母をたずねて三千里」の旅は厳しく、
この三千里という距離も誇張している訳ではなく、
この物語の中で12000㎞も一人の少年が旅しています。
それは出稼ぎに出て戻らない母親に会いたいがため。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/42/c2/j/o0418024812482332166.jpg)
少年はマルコ・ロッシ、9歳。
イタリアのジェノバに暮らしています。
彼の母親・アンナはずいぶん前にアルゼンチンへ出稼ぎに出ていて、
そして今は連絡が取れなくなっています。
彼は決意して単身南米へと向かいます。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/e4/58/j/o0418024712482332171.jpg)
ジェノバを出た船はブラジルのリオデジャネイロに、
そして、アルゼンチン・ブエノスアイレスへ。
彼の母親もこの航路でアルゼンチンへ渡ったものと思われます。
しかし、なぜ1万km以上も離れたアルゼンチンが
彼女の出稼ぎ先なのでしょうか?
この作品の原作はイタリアのエドモンド・デ・アミーチスの「クオーレ」。
1886年に書かれています。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/02/thinkmacgyver/e2/7e/j/o0373060012482338587.jpg)
当時のイタリアはオーストリア帝国との戦争に勝利し、
北イタリアを含めて統一国家が成立したばかり。
しかし、まだ国内は不安定で、
経済基盤も弱く、不況が続いていました。
一方、海の向こうには豊かな国がありました。
それがアルゼンチン。
当時のアルゼンチンのGDPは世界有数で、
その値は仏独を上回ったこともあり、
米国に迫る勢いでした。
活気に満ちたブエノスアイレスは、
「南米のパリ」と呼ばれてもいました。
そんなアルゼンチンの経済を支えてたのが、
牛肉
です。
調べてみますと、1876年に初めて欧州とアルゼンチンの間で、
冷凍船が運航されています。
これでアルゼンチンの肉を腐らせずに
消費地である欧州へと運ぶことが出来るようになり、
これがこの国を経済発展させることに。
貧しい国から富んでいる国へ人が移動するのは自然の事で、
当時もイタリアからアルゼンチンへ
大量の移民が押し寄せています。
アルゼンチン政府もそれを了承し、
移民の4割がイタリアからの人たちという状態でした。
そして、移住ではなく、
中には一時的な労働のために大西洋を渡る者たちも。
マルコの母アンナ・ロッシも
そんな一人だったということなのでしょう。
音信不通の母を求めて、
アルゼンチンに来たマルコでしたが、
その母の居場所を知っているはずの叔父は夜逃げして行方知れず。
見知らぬ土地で途方に暮れるマルコに駅員が
ま、そういう相談なら、ジェノバ人のごろごろしている
ボカの町か移民局へ行ってみるこった
とアドバイスを受けます。
港町であるボカ地区は移民が多く、
出稼ぎの人たちもここから上陸することも多いとか。
現在のボカの住民の多くがイタリア系で、
ここからタンゴが発達し、
アルゼンチンタンゴとなっていきます。
アルゼンチンタンゴは、
イタリア移民が生んだ音楽だったのです。
マルコは母の消息を追って、
町々を訪ね歩きますが、
彼は母親を見つけることは出来ません。
そして、ロサリオにやって来た時、
現地の人の誤解もあり、酷い扱いを受けてしまいます。
そんな時、彼を助けたのは、
やはり、イタリア移民でした。
貧しい暮らしで少ない稼ぎの中、
故郷から一人でやってきたこの小さな少年のために、
少しずつお金を出し合うのでした。
ところで、このロサリオといえば、
サッカー界のスーパースター、
リオネル・メッシを生み出した町でもあります。
彼もまた、イタリア移民の子孫なのでした。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/2c/b6/j/o0418024212482332221.jpg)
これがアルゼンチンに上陸してから、
母に会うまでのマルコの行程です。
これを大阪を起点として喩えますと、
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/96/48/j/o0418024112482332233.jpg)
大阪から長崎へ行き、
そしてまた大阪へ戻り福島へ、
さらにそこから青森までという距離になります。
その苦難を乗り越えて、
彼は病床の母に会うことが出来ます。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 母をたずねて三千里](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/cc/6e/j/o0418025012482332244.jpg)
この物語で描かれたのは、
親子の固い絆だけではなく、
遠く故郷を離れて暮らすイタリア人たちの絆の強さも
見所となっています。
お話を最初の当時のイタリアの国情に戻しますと、
エドモンド・デ・アミーチスがこの物語を書いたのは、
まだ治まりきらないイタリア国内の子供たちに、
愛国心を説くためだと考えられています。
最後は軽めに「フランダースの犬」で間違い探しを。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 フランダースの犬](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/ba/fc/j/o0418025212482332253.jpg)
オープニングです。
ここに既に2つの誤りがあります。
それはベルギーの人が見れば許せないものかもしれません。
答え
1つはその衣装。
あれは隣国オランダの民族衣装なんだそうです。
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 フランダースの犬](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/d7/26/j/o0418025612482332264.jpg)
2つめは大きく背景に描かれている風車が
オランダ風の形なんだそうで、
これらのことからこのアニメ作品は
ベルギーでは放送されたことがないようです。
この番組とは関係ありませんが「トリビアの泉」などで
パトラッシュの犬種が
![アニメの向こうに歴史が見える!名作アニメで読み解く世界史 フランダースの犬](http://stat.ameba.jp/user_images/20130401/01/thinkmacgyver/df/41/j/o0418035812482332274.jpg)
このブーヴィエ・デ・フランドルだとしていますが、
実際の原作には犬種を特定する記述はなく、ただ、
フランダースの犬は、一体に頭も四本の脚も大きく、耳は狼のようにぴんと立っていて、何代も何代も親ゆずりの荒い労働で鍛え上げたがっしりしたその足は、何れも外側にひらいてふんばっていて、見るからに異常な筋肉の発達を示しています。
という描写が見られます。
ウィーダ(マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー)が1872年に書いた
「フランダースの犬」はこれらで現在でも
購入して読むことが出来ますが、
青空文庫なら無料で読むことも可能です。
フランダースの犬 図書カード No.4880
http://www.aozora.gr.jp/cards/001044/card4880.html
短いお話ですので、
ご興味がございますれば。
「母をたずねて三千里」も同様です。
母を尋ねて三千里 図書カード No.45381
http://www.aozora.gr.jp/cards/001048/card45381.html
![ねてしてタペ](http://stat.ameba.jp/user_images/20100124/19/thinkmacgyver/ba/0e/j/o0380014710387375617.jpg)