http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11531977164.html
こちらから続いております。
血管を伸ばせない癌は増殖も転移もしない
癌の血管を壊せば癌で死ぬことはなくなるのではないか
約40年前、このように述べたのは
ジュダ・フォークマン教授でした。
血管に着目した癌治療が今、研究されています。
Aさん(58歳)は肺癌と診断され、
化学療法を続けてきました。
何種類もの抗癌剤を使用してきていて、
その効果は徐々に薄れてきています。
彼が新しく投与されたのが
ベバシズマブ
です。
この薬は新しく血管を呼び寄せる因子、
VEGFをことごとく捕らえるもので、
これにより、癌細胞に新しい血管が届かないようにします。
Aさんがベバシズマブの投与を受けてから2ヶ月、
肺に1cmの大きさがあった癌組織が、
3.6mmにまで縮小していました。
転移していた部位も3ヵ所ありましたが、
いずれも小さくなっていたんです。
ベバシズマブは血管から癌を治療するという方法を確立した
世界初の薬で、特にあらゆる抗癌剤の効き辛くなった時に、
その効果が期待されます。
1970年頃にフォークマンが
血管を伸ばせない癌は増殖も転移もしない
癌の血管を壊せば癌で死ぬことはなくなるのではないか
こう提唱していたものの、
それを真に受ける医師はいませんでした。
「そんなことで癌が治療できるはずはない」
そう言われていたそうです。
しかし、彼は血管新生のアイディアをコツコツと実証、
そして、近年の分子生物学の発達、
ナポレオン・フェラーラがVEGFを発見し、
それに着目した新薬が臨床に用いられています。
ただし、この新しい薬にも課題があり、
高血圧、まれに心筋梗塞、
脳梗塞などの副作用の可能性が示されています。
また、VEGFを抑えこんだ場合、
癌細胞はVEGFではない別の血管新生を促す物質を作り始めます。
これも使い続けることで
効き目が薄れる可能性があるということです。
バソヒビン
東北大学加齢医学研究所の佐藤靖史教授は、
血管の遺伝子を解析していた時、
偶然、不思議な蛋白質を見つけます。
それが新規血管新生抑制因子バソヒビン。
これは常に私たちの体内合成されている蛋白質です。
これで癌の成長速度が十分の一にまで抑えられることに。
しかも、
逆に血管を安定化して強くするような
働きもあることもわかっています
と語ります。
ここまで見てきたように、
癌組織を取巻く血管はしぶとく、
しかも、成長速度とは異常に速いものです。
それなのに、それをさらに安定化させて強くするとは、
いったいどういうことでしょうか?
血管の周りには別の組織が存在し、
それが血管を強くしています。
癌を取巻く血管の場合、
その組織が緩く、たとえば抗癌剤を投与したとしても、
血管から漏れてしまい、
目標の癌細胞まで上手く届かないということが起こります。
抗癌剤を用いる時に、まずバソヒビンを投与することで、
血管を正常化し、血流がよくなることで、
抗癌剤が届きやすくなるという効果があります。
ベバシズマブはフォークマンの主張どおり、
癌細胞に血管が届かないようにして、
酸素や栄養を遮断する兵糧攻めを狙ったものでした。
それに対し、バソヒビンは他の治療の効果を上げるために、
血管を正常化しようという考えです。
このバソヒビンはまだ臨床には使える段階ではないようですが、
現在、実用に向けて研究が進められています。
私たちの体には血管のない組織はありません。
癌に限らず、血管から治療を考えるという視点が、
今後、さらに重要となっていくようですね。
こちらから続いております。
血管を伸ばせない癌は増殖も転移もしない
癌の血管を壊せば癌で死ぬことはなくなるのではないか
約40年前、このように述べたのは
ジュダ・フォークマン教授でした。
血管に着目した癌治療が今、研究されています。
Aさん(58歳)は肺癌と診断され、
化学療法を続けてきました。
何種類もの抗癌剤を使用してきていて、
その効果は徐々に薄れてきています。
彼が新しく投与されたのが
ベバシズマブ
です。
この薬は新しく血管を呼び寄せる因子、
VEGFをことごとく捕らえるもので、
これにより、癌細胞に新しい血管が届かないようにします。
Aさんがベバシズマブの投与を受けてから2ヶ月、
肺に1cmの大きさがあった癌組織が、
3.6mmにまで縮小していました。
転移していた部位も3ヵ所ありましたが、
いずれも小さくなっていたんです。
ベバシズマブは血管から癌を治療するという方法を確立した
世界初の薬で、特にあらゆる抗癌剤の効き辛くなった時に、
その効果が期待されます。
1970年頃にフォークマンが
血管を伸ばせない癌は増殖も転移もしない
癌の血管を壊せば癌で死ぬことはなくなるのではないか
こう提唱していたものの、
それを真に受ける医師はいませんでした。
「そんなことで癌が治療できるはずはない」
そう言われていたそうです。
しかし、彼は血管新生のアイディアをコツコツと実証、
そして、近年の分子生物学の発達、
ナポレオン・フェラーラがVEGFを発見し、
それに着目した新薬が臨床に用いられています。
ただし、この新しい薬にも課題があり、
高血圧、まれに心筋梗塞、
脳梗塞などの副作用の可能性が示されています。
また、VEGFを抑えこんだ場合、
癌細胞はVEGFではない別の血管新生を促す物質を作り始めます。
これも使い続けることで
効き目が薄れる可能性があるということです。
バソヒビン
東北大学加齢医学研究所の佐藤靖史教授は、
血管の遺伝子を解析していた時、
偶然、不思議な蛋白質を見つけます。
それが新規血管新生抑制因子バソヒビン。
これは常に私たちの体内合成されている蛋白質です。
これで癌の成長速度が十分の一にまで抑えられることに。
しかも、
逆に血管を安定化して強くするような
働きもあることもわかっています
と語ります。
ここまで見てきたように、
癌組織を取巻く血管はしぶとく、
しかも、成長速度とは異常に速いものです。
それなのに、それをさらに安定化させて強くするとは、
いったいどういうことでしょうか?
血管の周りには別の組織が存在し、
それが血管を強くしています。
癌を取巻く血管の場合、
その組織が緩く、たとえば抗癌剤を投与したとしても、
血管から漏れてしまい、
目標の癌細胞まで上手く届かないということが起こります。
抗癌剤を用いる時に、まずバソヒビンを投与することで、
血管を正常化し、血流がよくなることで、
抗癌剤が届きやすくなるという効果があります。
ベバシズマブはフォークマンの主張どおり、
癌細胞に血管が届かないようにして、
酸素や栄養を遮断する兵糧攻めを狙ったものでした。
それに対し、バソヒビンは他の治療の効果を上げるために、
血管を正常化しようという考えです。
このバソヒビンはまだ臨床には使える段階ではないようですが、
現在、実用に向けて研究が進められています。
私たちの体には血管のない組織はありません。
癌に限らず、血管から治療を考えるという視点が、
今後、さらに重要となっていくようですね。