Quantcast
Channel: テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

ダーウィンが来た!「クジャク 美しさの秘密に迫る!」 ~メスのオス選びの基準は?~ その1

$
0
0

また自然科学全般の話になりますけれど、
どれだけ正しいと考えられている理論でも、
それよりもより事実に合う理論が出てきたなら、
考えを改めなくてはなりません。
進化生物学の場合、
なかなか「事実」を観察することは出来ませんので、
現在いる生物の形態、行動や化石などから
進化の過程を考えることになります。
よって、今は正しいと考えられていることが、
より正しい理論に塗り替えられるということがよくあります。
特にクジャクの尾羽(飾り羽)については、
新しい理論が出現して、
現在も「事実」を求めて研究されています。

番組では特に多くの時間を、
インドクジャクのモテるオスと
モテないオスとの違い、
メスクジャクの選択基準について説明に割いていました。



インドクジャクのオスは体長2mを超え、
また体重も5kgを超すキジの仲間です。



その特徴はなんといっても、
オスだけが持っている長い飾り羽。
尾羽の根元の上に生えているものが飾り羽です。
1.5mを超える立派な飾り羽ですが、
毎年生え替わるものなんですね。



これがメス。羽毛は比較的地味めで
オスよりもひと回り小さい体をしています。

オスが鳴き声をあげて騒ぎ出しました。
ベンガルトラを見つけたようです。
トラはクジャクの天敵の一つ。
近くにいたメスはすぐに飛び立ち沼を跨ぎ、
遠くの岸に着陸しました。
翼のある鳥はこういう時に有利に働きます。
しかし、オスの動きは緩慢です。
飛び立ったものの、長い飾り羽が重そうです。
ともあれオスは木の枝に降り立ち、
トラはもう見えなくなりました。
それでも安心は出来ません。
ヒョウがこちらを見ています。
ヒョウはトラとは違い、
木登りを得意としています。
オスクジャクは再び飛び立ちました。
自分の飾り羽が天敵に見つかりやすくしているんですが…

3月になると、クジャクは繁殖期に入ります。
朝靄の中、樹上から地面に降りると、



自慢の飾り羽を体を震わせながら広げます。
広げた飾り羽は高さ2m、横幅3mの巨大な半円を形作ります。



オスは飾り羽を広げると、
ゆっくりと回転、
全方向に飾り羽を見せているようです。



これがクジャクの求愛です。
飾り羽1枚につき1つずつあるのが目玉模様。
オスが体を震わせながら羽を広げるのは、
この目玉模様を均等に見せるための工夫です。

メスたちがやって来ました。
ここからがショウの本番です。
早速羽を広げ始めたのが番組が「エク」と名付けたオス。



彼がエントリナンバー1です。
審査するのかメス。
メスたちは群れでオスを見て回り、
お眼鏡にかなうオスを探します。
エクに近づく1羽のメス。
しかし、エクは後ろを向いています。
メスは前に回り込もうしますが、
エクは体を回転させて、
自分の表側を見せようとはしません。
このエクの行動に、メスは興味を惹かれ、
エクの周囲を巡ります。
エクはチラチラと飾り羽を見せつつじらします。
今度こそはじっくり見ようと、
メスは早足でオスの脇を抜けて、
エクの羽を見ようとしますが、
メスが脇をすり抜けたところで、
エクがダッシュ。
これで交尾が成立します。
交尾が終わると、また別のメスがやって来ました。
今回もチラチラ作戦が成功し、
また交尾することが出来ました。

次は別のオスの観察です。
ドゥイです。



彼も懸命にアピールしていますが、
メスに逃げられ続けています。
3週間の観察では全く交尾できませんでした。

1991年、イギリスの行動生態学者マリオン・ペトリらは、

クジャクのメスは美しい羽のオスを好む

と発表、特に目玉模様の数が多い程、



よりメスに選ばれる傾向があることがわかったんです。
モテオスのエクと、
モテなかったドゥイの目玉模様を数えてみます。

エク - 136個
ドゥイ - 133個


3個の違いですが差が出来てしまいました。
しかし、たった3個の違いを
メスは見極めているのでしょうか?
チラチラと見せられた場合、
ほんの一瞬しか見られないこともあるでしょう。
実際はどうなのか、メスに確認してみる訳にもいかず、
メス自身もその自覚があるのかも怪しく、
事実がどうなのかは不明です。
ただ、目玉模様が多いということは、
飾り羽の枚数も多いということで、
それだけ栄養面で問題がないことを示しています。
だから、それをメスは選んでいて、
細かくは、それを選ぶメスの遺伝子が
代々受け継がれ続けてきていることを意味します。

かつてダーウィンを悩ませた最大の疑問、
それがクジャクのオスの飾り羽でした。
ダーウィンは生存に有利な個体がよりよく子孫を残すと考えましたが
オスクジャクは明らかに生存競争に
不利な代物を身につけています。
これの一つの解釈として、
1975年にイスラエルの生物学者アモツ・ザハヴィが提唱した

ハンディキャップ理論

があります。クジャクの場合、
飾り羽がオスの健康状態などを表しているという意味に加えて、
「このような生存に不利なものがあっても
自分は無事に生き残っている」というアピールだと考えます。

ダーウィンの時代から人間の興味を惹き続けているクジャクの飾り羽。

本当に目玉模様の数でメスはオスを選んでいるのか、
現在もその研究は続けられていますが、
続きは明晩にでも。







ねてしてタペ






Viewing all articles
Browse latest Browse all 2031

Trending Articles