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"談合"は悪なのか? ~勝者と敗者、TPP~

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前政権時代から景気回復のための課題を考えるようになって、
最近は事の良し悪しは別にしてあらゆる要素を

インフレ要因



デフレ要因

に分類すべきではないかと思い始めました。

たとえば、先日総務省は6月の消費者物価指数を発表しましたけれど、
前の年の同じ月との比較では0.4%上昇となりました。
プラスになったのは、2012年4月以来、1年2カ月ぶりとのことで、
安倍政権や日銀は2%のインフレ目標を掲げていますので、
意味のあることかというと、
そうでもなくて、円安にともなうガソリン価格や
電気代が大幅に上昇したことがその主原因となっています。
燃料費や電気代の値上げは、
やっぱりデフレの要因になりますよね。
電力会社などは価格に転嫁できますけれど、
他はギリギリのギリギリまでそういう手段は採れません。
ということは他でそのコストぶんを吸収するために、
どこかを削らねばならず、
それが人件費に及ぶことも多い訳です。

経済学を学んだ覚えがないので、
いろいろと難しいんですが、
素人だからこそ、頭に入りやすい事もあろうかと思います。
それはさておき、



この本を読みました。

京都大学大学院工学研究科教授、
レジリエンス研究ユニット長で
現内閣の内閣官房参与の藤井聡先生の本です。
人文科学、社会科学全般がご専門という先生なんですが。


かつて、東国原英夫氏が宮崎県知事選挙に立候補する段階で、

談合は必要悪

だと述べたことがありました。
そしてこの発言が大きな批判を浴び、
すぐに撤回しました。
彼がどういう意図でそう述べたのかは不明ですが、
藤井先生は

談合システムは必要悪ではなく「善」の一部

だと説きます。

学者としての生命を絶たれかねない主張だったと思います。

談合=不正=悪

私たちはそう考えてきましたし、
それを疑う人は少ないように思います。

しかし、建設業界では競争入札制度により、
「受注出来る企業」と「受注出来ない企業」に
はっきりと分かれてしまいました。
藤井先生によれば、1989-90年の日米構造協議以降、
談合が厳しく取り締まられるようになったとのこと。
そして、小泉純一郎時代の構造改革、
これにより、我が国の建設業界の企業数は激減しています。

それはたしかに「合理的」なのかもしれません。
私はこの言葉をよく使いますが、
それは理屈に合う「logical」や「rationally」の意味がほとんどで、
この場合は能率的、効率的の「efficient」のほうです。
より安い工事費でその橋が架けられるのであれば、
それは合理的なんですけれど、
そのぶん、社会に出て行く金銭は少なくなりますし、
受注先に偏りがあるようであれば、
受注出来ない企業は廃業へと向かうことになります。
公正な競争入札制度はデフレ要因なのでしょう。

思うのは、産業革命以降、
私たちは常によりコストの少ないほうへと進歩してきました。
工業では家内制手工業から工場制手工業へ、
そして、工場に機械が入り、人手が不要になり、
また機械が入ってきて、さらに人手が不要に。
それを繰り返してきています。
これは合理的な進歩ですが、
そのぶん、仕事を失った人がいます。
社会的に、その時代がその人たちを
雇用するだけの新しい産業があればいいんですが、
必ずしもそういう場合とは限らないでしょう。
イノベーションだ、成長戦略だと言いますけれど、
時代が進むにつれ、生み出される仕事よりも、
失われた仕事のほうが多くなり、
新しい分野の仕事があったとしても、
そこの必要な人員の数は多くなくても済むように。
すると、収入を失う人が増え、
低賃金にあえぐ人が出て、
世の中はデフレになっていきます。

もしかすると、何かしらのインフレ要因がない限り、
世の中は常にデフレに流れていくのでしょうか?
そんなふうに思います。

公共事業に使われる予算は私たちが納めた税金です。
1円たりとも無駄にしてほしくはありません。
それが合理的であり、
当然だと考えてきました。
しかし、それがデフレを進行させてきたともいえそうです。

先の東国原氏は現在日本維新の会の人なので、
おそらくは

談合システムは必要悪ではなく「善」の一部

という考えには賛成できないでしょう。
維新の会には

競争原理と自己責任

の考えがあります。
競争入札であれば、より合理的な額を入札し、
それに敗れたのは
それが出来なかった企業の責任だということになります。

負けた側だって生きていかなければならないんですよね。

結局、私は新自由主義に敵対する考えを持つことになるんですが、
新自由主義的に考えれば、
競争に負けたとしても、
常に他の仕事があるので問題はないということになっていて、
実際はそうではありませんよね。

関税を撤廃して完全に自由な貿易を、
というTPPは貿易における究極の合理的なアイディアです。
私がこれに対し反対しているのは、
日本中、そして加盟各国で多くの敗者を生み出してしまうからです。
米国民の多くも例外ではありません。
ほんのごく一部の勝者のみが生き残り、
他のほとんどは敗者となります。
TPPは究極の合理的なアイディアですが、
究極のデフレ要因かもしれません。

現実的には、不正などを排除し、
失業者を増やさない競争入札制度についてのアイディアは
私にはありません。
しかし、TPPについては、
既に関税という国内に無用な敗者を生み出さない制度があります。
それで国内の産業を守れるというのであれば、
それを撤廃する理由はないと考える訳です。



参考資料

談合の解体を求める米国の外圧の存在を知るべし
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/images/stories/PDF/Fujii/201107-201109/newspaper/kensetsu_20110330.pdf

2011年3月30日の文書です。
PDFですがこのURLでブラウザ上で閲覧できます。
また、画面下にポイントすれば、
ダウンロードも可能です。



【藤井聡教授】TPP参加拒否しなければ日本脆弱化は免れない


【藤井聡】TPP・震災復興から見る日本[桜H24/5/17]







ねてしてタペ



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