これも先週の番組から。
日々、テレビや新聞などで
○○%
などというデータが紹介されています。
私たちは、それをひと目見ただけで見て納得してしまいがちです。
小学生の頃に習う百分率。
だから、わかりきっていると思い込んでいますが、
こういったデータはよくよく考えてみないと、
本当のその数字の意味は見えてきません。
今回の先生は横浜国立大学大学院工学研究院・今野紀雄教授。
私たちが騙されやすい数字のワナのお話です。
ある男性が勤める社の会議でプレゼンをしています。
彼はこのグラフを示し、曜日別のインターネット利用率を説明、
ご覧のように、平日よりも週末のほうが利用率が格段に高いんです
彼は新しいプロバイダのプランについてアピールしています。
実は、このグラフには一つのトリックが仕込まれています。
注目すべきは縦軸の最下部の数字。
50.0%から始まっています。
もしも、これを0%からのグラフに直すとどうなるでしょうか?
たしかに週末の利用率は上昇していますが、
先ほどのグラフから受ける印象とは大きく異なります。
彼は自分のプレゼン内容の価値を上げるため、
あえて50.0%からのグラフを作成したのでした。
数字のトリックが犯罪に用いられることもあります。
ナンバーズの下一桁が3回連続的中!!
雑誌にこのような広告があったとします。
ナンバーズ3だと3桁の数字的中を狙いますが、
仮に1桁が既に判明しているとすれば、
的中の確率は格段に上昇します。
しかし、本当に3回連続的中なんて出来るのでしょうか?
単純に考えれば、最初に的中出来る確率は1/10で、
連続で的中出来る確率は1/100、
3回連続ですと、1/1000ということに。
初回無料!
広告にはそうも書かれています。
実は
ナンバーズの下一桁が3回連続的中
なんていうのは難しいことでもなんでもありません。
仮に、同様の広告に対する申込者が100万人いたとします。
これを10万人ずつに分けて、
それぞれに下一桁の数字として0~9の数字を教えます。
当然、10万人は数字が的中しているはずです。
次に的中した10万人をさらに1万人ずつに分けて、
同じことを繰り返します。
これも当然、1万人は的中しているはずで、
この1万人は2回連続的中という経験をしていることになります。
これをもう一度行えば、
1000人が3回連続的中の体験をすることに。
この1000人に対して、この会社は電話などで、
実は入会すればさらに有利な情報があるんですよ
と持ちかけます。
回連続下一桁的中に驚き、
他のほとんどの人がはずれていることに気づかず、
高額な入会金を支払ってしまう人が出てきてしまいます。
次はアメリカのテレビ番組で実際に行われたゲームの例から。
みなさんも最も優れた判断が出来るでしょうか?
挑戦者の前には5つのドアが。
この中の1つのドアの向こうには豪華な賞品が用意されています。
残りの4つはハズレですので、
当りを選ぶ確率は1/5となります。
挑戦者はAを選びました。
挑戦者がAを選んだ時、司会者がこのようなことを言いました。
では、Aのドアを開ける前に
特別にハズレを3つ教えてあげましょう
司会者はB、C、Dのドアを開けて見せて、
それらがハズレであることを教えました。
そして司会者はこのように続けました。
今なら特別にあなたの選んだAのドアから
Eのドアに変えてもかまいませんよ
さあ、Aのままでいるべきなのか、
Eに変えるべきなのか、
ベストの選択はどちらでしょうか?
AとEの選択肢なら確率はどちらも1/2で同じ?
このゲームではEに変更すると、
当たる確率を大きく上昇させることになります。
AとEの確率は同じではないんです。
Eへの変更は4倍も有利になります。
ビーバップ!ハイヒールのスタジオでも同じ実験が行われました。
(ただし賞品はなく、ハズレに空手有段者の蹴り)
たむらけんじさんはBのドアを選択、
ここで上の例のとおりにハズレの3つのドアを開けます。
この場合はA、C、Dでした。
たむらさんはドアを変更すれば
4倍に確率が上がるという話に納得出来ず、
Bに留まり続けました。
結果はハズレ。彼はお尻に蹴りを浴びることとなります。
当りはEでした。
結果はともかく、なぜEに変更すると、
当たる確率が4倍になるのでしょうか?
最初の段階での5択では、
もちろん、どのドアを選んでも確率は1/5です。
当然、他のドアの確率もそれぞれ1/5。
ということは、たむらさんが選んだドアではない
4つのドアが当りである確率は4つのドアの合計で4/5になります。
この4/5の中から司会者が3つのドアを開けて、
ハズレが確定、
すると、BとEの確率を比べるとどうでしょうか?
Bには変化がないため1/5のままなのに対し、
元々、4/5あった4つのドアの確率が
Eに集約されることになりました。
そのため、ドアを変えたほうが当たる確率は高くなるということに。
平均値のワナ
以前、一世帯あたりの平均貯蓄額が発表されていました。
その金額は
1,169万円
という数字。
なかなか納得出来ない金額です。
みなさん、そんなに貯金しているのでしょうか?
この数字に嘘はないにしても、
実際には私たちの貯蓄額が反映されている訳ではないんです。
それはごく小数のお金持ちが
平均値を大きく上昇させているから。
こういった時に、考えるべきなのは、
中央値
という値。
身長でいえば身長順に並んだ時に、
真ん中に来る人の身長の値になります。
この平均貯蓄額のデータでの中央値は
488万円
だったそうで、
平均値のワナから逃れてみると、現実味のある数字となり、
少しは納得出来るようになるのではないでしょうか?
…続きます。
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