http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11690544808.html
こちらからの続きです。
多数決の落とし穴
社員食堂ではこの日、そば、カレー、
ラーメンが用意されていました。
女性同僚7人は早く食べたいようで、
7人が同じ注文にしようと決めます。
そこで多数決。
そば 3票
ラーメン 2票
カレー 2票
という結果になり、7人はそばを注文することになりました。
しかし、3人以外からは
私、そばが一番食べたくなかったのに
という不満が複数聞こえてきました。
このような多数決では、
最良のものを選ぶはずが
最悪のものを選ぶことになってしまうことがあります。
ここで7人に3つのメニューを
食べたかった順番に数字をつけてもらいます。
そばの部分をご覧下さい。
そばを一番食べたいという人が3人いる一方で、
そばを一番食べたくないという人は4人もいます。
これが昼食メニュー選び程度なら低レベルの問題に過ぎませんが、
事が国政に関わると大きな問題であろうかと思います。
現在行われている小選挙区制がまさしくこれです。
今年7月の参議院選挙で見ますと、
議席数では自民党の勝利ですが、
得票数では野党系のほうが大きくなっています。
自民以外に投票した人が過半数いたにもかかわらず、
議席は自民が過半数を占めるという結果を
私たちは問題視しなければなりません。
先ほどの昼食の問題では、
もしも2択で考えていればどうだったでしょうか?
そば3 - 4 ラーメン
そば 3 - 4 カレー
カレー 4 - 3 ラーメン
となり、最良の選択はカレーだったのかもしれません。
精度99%のワナ
今、ウイルス性の感染症が流行しているとします。
死に至ることもある病です。
現時点での感染者の割合は1万人に1人。
あなたはウイルス感染を調べるために、
検査を受け、結果は陽性と判定されました。
その通知書には
この検査の精度は99%であり、
誤った判定が出る可能性は1%となっております。
と書かれてあります。
ということは、あなたが陽性である確率は99%なのでしょうか?
もしも、この検査を100万人が受けたとします。
このウイルスには1万人に1人の割合で感染している訳ですから、
100人が感染していると考えられます。
検査では99%の確率で正しい結果が得られますので、
この100人のうち99人が陽性と診断されます。
そして、1人は本来陽性なのに陰性と診断されていることに。
ここでもう一度検査を受けた全員の100万人について考えてみます。
100万人のうち感染していないのは何人でしょうか?
感染者の割合は1万人に1人ですので、
99万9900人が感染していないと考えられます。
検査の精度は99%なので、
99万9900人の1%、9999人が感染していないにもかかわらず、
陽性と診断されることになります。
この検査の場合、陽性と診断されるのは、
・感染していて陽性と診断された
・感染していないのに陽性と診断された
の2つのパターンがあることに気付けば、
確率のワナにはまらず、
前者よりも後者のほうが
約100倍も多いことに気付くことが出来るかもしれません。
政府ぐるみの数字のワナ
今年8月、農林水産省からこのような発表がありました。
2012年の食料自給率は39%
もしも、一切の輸入がなくなれば、
39%しか食べるものがなくなってしまうのでしょうか?
この食料自給率とは、
国内で消費される食料のうち
国内産でまかなっている割合
のことを指します。
3年連続で40%を下回ったと農水省は言っている訳ですが、
計算するにおいて、農水省はこのような計算式を用いています。
国内生産カロリー/供給カロリー
これを「カロリーベース」と呼んでいます。
我が国全体に供給されたカロリー量に対し、
そのうちにどれぐらいの国内由来のカロリーが
占めているかを計算しています。
ご存じのように、国産が多い食料として野菜が挙げられます。
また、肉類は比較的輸入が多くなります。
野菜は低カロリーで肉類は高カロリー。
したがってこのような計算結果が出るともいえます。
実は、このカロリーベースの計算を他国は用いてはおらず、
生産額ベース
を使用しています。これは
国内の食料総生産額/国内で消費する食料の総生産額
で求められます。
カロリーに着目した計算がカロリーベースで、
金額に着目したのが生産額ベースという訳なんですが、
もしも我が国の食料自給率を生産額ベースで計算した場合、
68%
という数字が出てきます。
農水省はあえてカロリーベースを用いて低い数字を発表し、
多くの予算を獲得しようという意図があるのでは、
とも言われています。
全米を震撼させた数字のワナ
1994年6月13日午前0時10分頃、米ロサンゼルス。
ある家の玄関先でひと組の男女の血だらけの遺体が発見されました。
この事件はこのように呼ばれるようになります。
O.J.シンプソン事件
捜査線上に上がったのはプロフットボール界のスーパースター、
O.J.シンプソンは被害女性の元夫。
状況証拠はシンプソンに不利なものばかりでしたが、
決定的な証拠に欠け、真実がどうであるのかが
全米のみならず国外からも注目されました。
裁判では検察官が
被告人は長期間、日常的にニコールに暴力をふるっていました。
そして離婚後も執拗につきまとい、
彼女を脅迫していました。
被告人はいつニコールを殺していてもおかしくなかった。
このように主張したのに対して、
5億円で雇われたシンプソンの弁護団「ドリームチーム」は
被告人がニコールに暴力をふるっていたのは事実でしょう。
しかし、現在のアメリカで妻やガールフレンドに
暴力をふるう男が相手を殺してしまう確率をご存じですか?
それは統計上、わずか2500分の1です。
1992年発表のFBI統計によると、
夫やボーイフレンドから虐待を受けていた400万人の女性のうち、
1432人が彼らに殺されています。
弁護団はこの確率を持ち出して
検察の主張を
ほとんど起こりえない
想像だと主張したんです。
判決は無罪。
この時の弁護団の主張が
どの程度陪審員に判断に影響を与えたのかはわかりませんが、
このような数字もあったんです。
それは、女性が虐待を受け殺害された場合、
犯人が夫やボーイフレンドである割合です。
90%
暴力行為が認知された中から殺人事件、
それも夫やボーイフレンドである割合だと、
2500分の1だったのかもしれませんが、
逆に女性が殺害された場合、という視点から見ると、
このような高確率の数字が出てきます。
もしかすると、検察がこの数字を持ち出していたなら、
判決内容は違ったものになったかもしれません。
なお、番組ではテーマに関係ないので言及されませんでしたが、
この裁判では人種問題、捜査の杜撰さなど、
様々な要因が絡み合っていました。
結果、無罪という判決に至り、
彼は二度と刑事被告人になることはなくなりました。
しかし、彼は民事訴訟の被告となります。
原告は被害者の遺族。
この民事訴訟でシンプソンは敗れています。
それは、刑事裁判で弁護費用として大金を吐き出してしまったため、
もう「ドリームチーム」を集めるだけの
資金がなかったためとも言われています。
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