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NHKスペシャル 和食 千年の味のミステリー -和食の旨味はアスペルギルス・オリゼから- その1

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15日の放送から。
4日、ユネスコは「和食 日本人の伝統的な食文化」を
世界無形文化遺産に登録することを決めました。

そんな和食の調味料の塩以外全てを担うもの。
それが、「Aspergillus oryzae」

アスペルギルス・オリゼ

です。
「oryzae」はラテン語でイネ、あるいは米。
アスペルギルス・オリゼは日本語で、

ニホンコウジカビ

その名の通り、なぜか日本以外にはいない特別なカビです。




麹種もやし

古い看板にはこのように書かれています。
ここは京都東山にある種麹屋「菱六モヤシ」。
古くは「種もやし屋」と呼ばれていたお店です。
全国の醸造業から注文を受けています。
こういった種麹屋は現在全国に10軒ほどしかなく、
この10軒の種麹屋が、醤油、味噌、酒などの醸造業、
4000軒全てに種麹を販売しています。



オリゼはわずかな性質の違いにより、
醸造後に大きな差が生まれるため、
顧客の求めに応じて、胞子を選んでいます。
このカビがなければ私たちの和食はあり得ない、
それがアスペルギルス・オリゼなんです。

種麹屋という商売は、他国にはありません。
我が国800年の歴史を持ちます。

18世紀末の「日本山海名産図会」にも





その様子が描かれています。
いわば当時のバイオテクノロジー、
世界最古のバイオビジネスだったはず。
オリゼは蒸した米が好物なので、
その上で育てますが、



新緑が萌え出づるが如しとして、
萌え出づるが「もやし」となりました。
この菱六モヤシで、大元となる菌に触れることが出来るのは、
ここの主だけとされていて、
その仕事は代々一子相伝で受け継がれてきています。
わずか1000分の6mmの胞子が、
1週間がシャーレを埋め尽くします。

京都の4月、日中の気温が20℃を超えるようになると、
醤油屋では大豆にオリゼを撒きます。
糖分やアミノ酸を作りながらオリゼは育ちます。



3日後、それは満開になっていました。
これがいわゆる麹です。
麹がこの満開の状態でいるのもほんの数時間、
その時を逃さず、桶に移し替えていきます。




これがアスペルギルス・オリゼの胞子の細胞。
オリゼは米や大豆のデンプンを
ほぼ100%糖に変えます。
その速度はカビの中でも最速クラスです。



これは紫外線を当てたもの。
白っぽく見えるのが核で、
1つの細胞に複数の核がたくさんある生物は稀で、
それはカビの世界でも普通は1つです。
オリゼの場合、多いものでは10もの核を持っています。
オリゼが長年醸造に用いられ、
また、代々オリゼが受け継がれてこれたのは、
その安定性が要因の一つですが、
それは仮に一つの核に突然変異が起きても、
他の核が私たちの求める働きをしてくれるからなのでした。
和食の味が守られているのは、
この多数の細胞核にあるともいえます。


6月、醤油屋の桶から



ある音が聞こえてきます。
古くからこの建物に住み着いている微生物が、
オリゼが作った糖分を食べにきています。
発酵が始まった合図です。
それぞれの微生物は、味を引き締め、
あるいはまろやかにするといった変化をもたらします。
そうして生まれる香り成分は300種にもなり、
これも蒸し暑い日本の夏だからこそ、
出来る味があるのでした。

私たちが暮らす環境には、
目には見えなくてもカビがたくさん生息しています。
そんな多種多様なカビの中から、
私たち日本人はどのようにして、
アスペルギルス・オリゼを手にしたのでしょうか?
明晩はそんなお話です。





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