今週のビーバップ!ハイヒールは
だからあなたは騙される!~人類の進化で読み解く こころの不思議~
と題して、進化心理学のお話でした。
この分野は、特定の心理メカニズムを持つ個体が、
それを持たない個体よりもよりよく生き残り子孫を残しうるのか、
あるいは生存が難しく、子孫を残すのに不利なのか、
その優劣により、種としての人間全体の心理メカニズムの獲得につながり、
現在の人間が獲得している心理メカニズムを説明しようというものです。
たとえば、高い所に登ったとして、
その人が恐怖を感じたとします。
この恐怖は、高所にいることで身の危険を感じているからで、
そのために恐怖の感情が起こり、
もしかすると、恐怖を感じない人よりも、
よりよく生き延びたかもしれません。
これをご覧下さい。
「13」です。
少しヘンに見える方もいらっしゃると思いますが、
次のこちらだとどうでしょう?
ヘンに見えた方はやはりと思われたかもしれません。
アルファベットの「B」に見えませんか?
1枚目のものの中央を隠しただけなのに、
私たちはその部分を周囲の情況から補完しようとします。
元々、何もないことがわかっていても。
数百万年前、私たちが草原でこのような光景を目にしたとします。
この時、見えている部分から見えていない部分を補完し、
全体像を脳の中に描けなければ、
その人は逃げ遅れ、命を縮めたかもしれません。
逆に、私たちが狩猟をする立場の時には、
よりよく獲物を見つけるために、
この能力は活躍してくれるでしょう。
そういう人たちが生き残り、
その子孫が私たちなのです。
私たちの体は、サルのような姿をした動物から、
直立し二足歩行という独特の進化を遂げました。
それと同様に、私たちの心も環境に適応する形で、
進化してきているのです。
今回の先生は、
明治大学情報コミュニケーション学部・石川幹人(まさと)教授。
進化の話は大好きですので、私もこれは読みました。
ところで、人の心理の盲点を突くのがマジックです。
そんなマジックのお話を。
この5枚のカードを見て下さい。
そして、そのうちのどれでもいいので、
好きなカードを1枚記憶して下さい。
よく憶えましたか?
では、これからそのあなたが憶えたカードを消してみたいと思います。
間違いなく、憶えていますよね?
自信がない方は上のカードを見直してみて下さい。
好きなカードを1枚よく憶えるんですよ。
では、こちらを。
どうですか?
消えていますか?
止め画でやると、やや難しいかもしれませんが、
古い手口です。
消す前と後のカードを並べますと、
一目瞭然です。
消した後のカードには、
その前のカードは1枚も含まれていません。
よって、誰がどのカードを選んでいても、
必ずそのカードを消す事が出来るという訳なのでした。
他のカードを見ていれば気づいていたはず。
しかし、人は何かに集中して注目すると、
周囲の状況の把握が完全ではなくなってしまいます。
太古、私たちが見つけた獲物を逃がさないためには、
注意をその獲物に集中させる必要がありました。
何かに集中して注目する機能は、
そのために獲得されたものなのかもしれません。
では、こちらのマジックはいかがでしょうか?
カードの色が変わるというマジックです。
マジシャンは20年のキャリアを持つ久保邦晴さん。
久保さんが横の彼女にマジックを披露します。
使用するのは、裏が赤いこのひと組のカード。
ひっくり返すと表はこんな感じ。
特に不振なところはありません。
またカード全てを裏向けつつ、
マジシャンは彼女にどれか1枚を選ぶように頼んでいます。
彼女が1枚を選びました。
他のカードを束ねつつ、彼は自分が後ろを向いている間に、
このカードを憶えて欲しいと言っています。
このカードは「スペードの5」でした。
これを彼の指示に従い、束の好きなところへと戻します。
そして彼はシャッフル、
カード広げてたしかにここの中に
そのカードが入っているかを確認させています。
間違いなく、そのカードは右の方にあります。
すると彼はカードの右端に手を掛け、
一気に裏返しました。
なんと、1枚だけ赤のカードです。
そのカードは「スペードの5」。
なんで!?
彼女は驚きの声を上げていますが…
さあ、トリックはわかりましたか?
…といいつつも、実はこれ、
本当の問題はマジックだとか、
トリックだとかではありませんでした。
カードの色以外の変化にどれぐらい気づきましたか?
というものだったのです。
マジシャンが最初にカードを広げている間に、
女性は服を1枚脱いでいます。
黒い服から白い服に変わりました。
同様にして、マジシャンがジャケットを脱ぎ、
そして、テーブルの色、
背景の色も変化させています。
変わったのは4つ。
1つぐらいは気づく事が出来たかもしれませんが、
なかなか全てに気づくのは難しいものです。
(止め画で表現出来ているかどうかが怪しいですが)
何かに集中すればするほど、
周囲の変化には気づきにくくなる、
これもそういう例でした。
たとえ変化があっても、変化がなかったかのように
その情況を認識してしまう、
私たちはそういう生き物なのでした。
特に、目が頭部の前面に付いている肉食系の動物には、
この傾向が強く、逆に頭部の両側に目が付いている草食動物は、
その視野の広さからそういう傾向はあまりありません。
それぞれの動物はそのように進化してきています。
…翌晩の以下に続きます。
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