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ビーバップ!ハイヒール「名曲で読み解く歴史の真実」 その2 日本人が知らない本当の「ドナドナ」

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先週の番組の記事、

歌は時代の証言者 名曲で読み解く歴史の真実

http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11768817112.html

こちらから続いております。




「ドナドナ」

ある晴れた 昼さがり いちばへ 続く道
荷馬車が ゴトゴト 子牛を 乗せてゆく
かわいい子牛 売られて行くよ
悲しそうなひとみで 見ているよ
ドナ ドナ ドナ ドナ 子牛を乗せて
ドナ ドナ ドナ ドナ 荷馬車がゆれる

青い空 そよぐ風 つばめが 飛びかう
荷馬車が いちばへ 子牛を 乗せて行く
もしもつばさが あったならば
楽しい牧場に 帰れるものを
ドナ ドナ ドナ ドナ 子牛を乗せて
ドナ ドナ ドナ ドナ 荷馬車がゆれる


悲しい歌です。
子牛が市場へ売られていく様子が歌われています。
この曲の原曲はドイツ語の一方言としても扱われるイディッシュ語で、
それは主に東欧で暮らしていたユダヤの人たちの言葉。



イディッシュでの歌です。
原曲の1番、2番の歌詞はそんな違いはないんですが、
実は原曲には日本語版にはない3番が存在しています。

人々は哀れな子牛を縛り上げ
引きずっていって殺す
翼を持つものなら 空高く舞い上がり
誰の奴隷にもなりはしない
ライ麦畑で風が笑う
笑って笑って 笑い続ける
一日中 夜半まで
ドナイ ドナイ ドナイ ドナイ
ドナイ ドナイ ドナイ ドナイ


ここには日本人が知らない
ユダヤ人の悲しい歴史が刻まれていました。

この歌が生まれたのは1940年のニューヨーク。
作詞家・アーロン・ツァイトリンが舞台にかけるための
演目用の曲として書いています。
ツァイトリンはポーランド生まれのユダヤ人。
彼の出自と歌詞から想像されるのは、
ナチスによるユダヤ人大虐殺ですが、
しかし、ホロコーストなどは1941年以後、
ツァイトリンがこの歌詞を書いた時には
まだ起きていません。



ポーランドという国は、
西にドイツ、東にロシアという2つの大国に挟まれて、
常に支配・蹂躙されてきた歴史があります。

ロシア語に

ポグラム(погром)

という言葉があります。
日本語に直訳すると、破壊・破滅のような意味ですが、
この言葉はユダヤ人への迫害行為を意味する言葉でもあります。
殺戮、略奪、破壊、差別…、
私たち日本人は、ユダヤ人がナチスドイツから
迫害を受けていたことは知っていますが、
それ以前に、ロシアから迫害されていたことを知りません。

そのユダヤの歴史の悲しみが込められたのが
この「ドナドナ」なのでした。

ニューヨークで生まれたこの曲は、
次に起きたナチスによる大虐殺が起きたこともあり、
ヨーロッパ各地でも歌い継がれることになりました。

しかし、私たちが知る日本語の「ドナドナ」には、
「奴隷」のような強い言葉が置かれている3番がありません。
そこにはアメリカの思惑があったとされています。

この曲が日本に知られるようになったのは、
1961年にジョーン・バエズが歌い、
64年に日本でもリリースされて大ヒットした時です。



ベトナム戦争への反戦歌の歌い手として知られた
彼女のこの曲が大ヒットしたことで来日することになりました。

日本でのコンサートでは、
このユダヤの迫害の悲しみが込められたこの曲を通して、
戦争の暴力性を日本人にも伝えようと、
彼女は考えていました。

この歌の本当の意味を伝えようと、
彼女がマイクを取ります。
英語で彼女は観客に語り始めました。

この歌はユダヤ人が受けた迫害の記憶、
戦争の悲惨さを伝える歌です


それを日本人通訳が日本語に訳して観客に伝えます。

この歌は、悲しい歌です

通訳は彼女の言葉を正確に訳しませんでした。

あなた、ちゃんと伝えてるの?
みんな分かっていない様子よ


観客の反応が何もないので、
いぶかる彼女でしたが、
結局、彼女が考えていた大切なメッセージが
観客に伝わることはありませんでした。

肝腎な時に
英語の出来ない通訳が来てしまった不運を彼女は嘆きます。

しかし、それは不運ではありませんでした。
この通訳は、脅されていたのです。
アメリカ中央情報局、CIAに。

当時、日本でも反戦ムードが盛り上がりを見せており、
当局はこの曲が反戦歌として伝わることを懸念、
こうして「ドナドナ」はユダヤ人の悲しい記憶を消し去り、、
現在の私たちに伝わっています。









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