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総合診療医 ドクターG シーズン5「せきと熱をくり返す」(3)

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http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11814713158.html
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-11815528571.html

こちらからの続きです。


患者
宮本智子さん
42歳 主婦
161cm 45kg
主訴:咳と熱を繰り返す

NHK 総合診療医 ドクターG


3人の研修医の先生方の最終鑑別はそれぞれ
ホジキンリンパ腫、悪性リンパ腫、
多発血管炎性肉芽腫症となりました。
ここから番組は最終カンファレンスとなります。
まずリンパ球が異常に増え続ける悪性リンパ腫だと考えた理由として、
体重減少、発熱、寝汗が見られる点が挙げられました。
ホジキンリンパ腫も、悪性リンパ腫の一つで、
特に間欠熱、高熱と平熱が不規則に繰り返すという特徴があります。
多発血管炎性肉芽腫は、鼻、目、耳、上気道、肺にある
細い血管が炎症を起こす病気で、
咳や発熱、鼻づまりなどの症状があり、
進行すると呼吸困難に至ります。

ここで、前段階のカンファレンスで挙げられた病名の中から、
現時点では消去しても良いと考えていいものを考えます。
家族の既往歴、胸部レントゲンなどから、
インフルエンザ、結核の感染症の可能性はないとみていいでしょう。
過敏性肺臓炎は、引っ越しがきっかけかと思われましたが、
問診から、引っ越し以前から同様の症状があったことが判明したため、
可能性は低いと考えてもよいでしょう。

この患者さんに医師が問診、身体診察するとすれば、
他にどのようなことを質問するべきでしょうか?
研修医たちが質問を考えます。
膠原病が疑われるため、「関節に痛みはあるか?」
「皮疹などの皮膚症状があるか?」

では、実際に問診、身体診察の模様を見てみます。

NHK 総合診療医 ドクターG

様々な関節を触診しつつ、質問してみましたが、
どの関節にも痛みはないようでした。
また、皮疹などの皮膚症状もないようでした。
次はどのような問診、身体診察をすべきでしょうか?
「鼻水などの症状はあるか?」
これは多発血管炎性肉芽腫を疑った質問です。
鼻水や鼻づまり、鼻血はあるかと質問したところ、
これもないようです。
よって、多発血管炎性肉芽腫の可能性は低くなりました。
悪性リンパ腫を疑った場合、
どのような問診、身体診察をすべきでしょうか?
全身のリンパ節の触診しなければなりません。
リンパ節に腫れがみられれば、
悪性リンパ腫の可能性が高くなります。
首、腫れはなし。腋下、腫れなし。
鼠径部にも腫れはありませんでした。
悪性リンパ腫の可能性は低くなるのでしょうか?
彼女に症状が現れる周期はどうでしょうか?
最初は昨年の夏でした。
この頃は「毎月のように」と話していましたので、
1ヵ月に1回程度です。
今年の1月の頃の話として、
「また2週間前と同じような」と話していたため、
この時期は2週間に1回、症状が現れているようです。
3月になりますと、彼女の義母が
「私がデイケアから帰ってくると
智子さんは具合が悪くなる」
と話していて、そのデイケアは1週間に1回、
つまり、この時期には1週間に1回、
症状が現れていることになります。
間隔が短くなっています。
それにはどういう意味があるのか、
それは、この病が進行していることを示します。
この段階で、もしも簡単な検査が出来るとすれば、
どのような検査をすべきでしょうか。
胸部レントゲン写真。
2月には既に撮影して問題はみられませんでしたが、
進行しているなら変化が見られるかもしれません。

NHK 総合診療医 ドクターG

これが4月の来院時の胸部レントゲン写真。
これからも異常は確認出来ませんでした。
胸部レントゲンに影がない、
このこと自体がこの病の病名を考える点で重要となります。
SpO2(動脈血の血中酸素飽和濃度)が94%、
97~98%の正常値に対し、低い数値となっています。
もしも、肺に問題がないのに、
低酸素状態になるとすれば、
それはどういう意味を持つでしょうか?
影なき敵とはどういう病なのでしょうか?
ここで、問診、身体診察を行うとすれば、
胸の音を聞くこととなります。
番組では、その時の聴診の音が流れました。
もしも、肺胞、気管支にその敵がいるなら、
聴診音に雑音が混ざるはずです。

NHK 総合診療医 ドクターG

研修医たちは、そこに雑音を聞くことは出来ませんでした。
胸のレントゲンに影はなく、
聴診音にも雑音はありませんでしたが、
それでも、患者さんは低酸素状態にあるとすれば、
何を考えるべきなのでしょうか。
肺の役割と仕組みを考えてみましょう。

NHK 総合診療医 ドクターG

肺胞に沿っている毛細血管を流れる血液が
全身から二酸化炭素を運んできて、
肺胞でガス交換が行われ、
血液は酸素を全身へと運ぶことになります。
もしも、この血液の流れが悪くなれば、
このガス交換に支障を生じ、
低酸素状態ということになるでしょう。
血流を妨げる要因が血管内にあるのでしょうか?
影なき敵は血管内にいるのでしょうか?
このことから考えられるのは悪性リンパ腫。
しかし、リンパ節の触診から、
腫れは確認出来ませんでした。

・ガス交換がうまく出来ない
・肺に影はない
・呼吸音に雑音はない
・血流が詰まっている


これらの条件を満たす病名は

血管内リンパ腫

です。
悪性リンパ腫の一つである血管内リンパ腫は、
癌化し増え続けたリンパ球が
細い血管内に留まり血流を妨げる病気で、
肺や腎臓、脾臓などの機能低下が起こります。
この患者さんの場合、肺の組織を採取して検査したところ、
癌化したリンパ球が確認され、
病名が確定しています。
一般的には、皮膚の血管の顕微鏡検査で
診断することが多いようですが、
それも、血管内リンパ腫を疑わなければ
検査することはないでしょう。
近年の新しい抗癌剤の開発により、
多くの患者が普通の生活を取り戻せるようになっています。
彼女の場合も、希望を持って
治療を始めている、とのことです。



NHK 総合診療医 ドクターG



総合診療医・鈴木富雄先生から、
研修医の先生方へのお言葉です。

僕らがね、病気を診断するっていう時にはね、
苦しくて、悔しくてなかなか診断できない時もあるんだけど、
やっぱり、それがさ、患者さんに直結するんだよな。
だから、やっぱり医者っていうのは、
常にそこには患者さんがいるもんだから、
だから、頑張れるんだよな。
だから、これから君たちはいろんなね、
難しい問題があったり、
苦労することもあるかもしれませんけど、
常にそこには患者さんがいる、
ということを忘れずに、
ぜひ、頑張って下さい





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