こちらからの続きです。
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フランシスコ・デ・ゴヤは17~18世紀のスペインの宮廷画家。
そのゴヤが晩年にマドリード郊外の別荘「聾者の家」に
描いた14枚の壁画を総称して
黒い絵
と呼んでいます。
(位置関係や相対的な大きさはこちらで)
これらの中でも特に有名なのが、
食堂の壁に描かれていた「我が子を食らうサトゥルヌス」です。
1746年、貧しい鍍金職人の家に育った彼は、
29歳の頃、職人画家としてタペストリー原画を製作、
34歳の時に当時の首相から肖像画の製作を依頼されました。
その「フロリダブランカ伯爵の肖像」の中で、
画面左に鏡を持って立っているのがゴヤ自身。
伯爵を大きく見せるために、
自分自身をあえて小さく描いています。
それは彼自身を肖像画家として売り込むアピールなのでしょうか。
その効果からか四十代には宮廷画家としての地位を獲得、
順風満帆の人生となったかと思いきや、
彼は謎の高熱に襲われ聴力を失ってしまいました。
そして、彼は20人の子供を授かりましたが、
育ったのは1人だけ。
こうした逆境の中、
彼の絵は凄みを増していきます。
1799年、連作版画集「ロス・カプリチョス」が完成、
80枚の版画は人間の愚かさを風刺の形で、
ゴヤならではの幻想的な形で描きました。
そこには腐敗したスペイン政府や
宗教に対する批判も含まれています。
彼が描くのは、外からは見えない人間の内なる闇。
この時期の作品で、彼の代表作の一つとされる
「カルロス4世の家族」は、
一見幸せそうな国王一家の集団肖像画に見えるものの、
ここにもゴヤ自身が描かれていて、
そして、王と王妃マリア・ルイサ・デ・パルマに空間を設けることで、
既に二人の関係が冷え切っていることを伝え、
また、画面中央に妃を描き、
その実権を誰が握っているのかを表したのでした。
さらには、本来いるはずのない13人目のこの女性。
この顔が描かれていない彼女は
まだ見ぬ王子の妃とも言われていますが、
実は、家族を装った悪魔だとも。
現実に、この一族はこの絵の数年後に崩壊しています。
そんな時、彼は突然異端審問に召喚されます。
かつて描いた裸婦「裸のマハ」などについての罪を問うものでした。
女性の裸を描くことはタブーだったのです。
ゴヤは処刑の難を逃れますが、
彼は異端審問そのものの批判を開始します。
彼が描いた「異端審問法廷」では、
彼ら被告人に炎を描いて火刑を暗示、そして
彼らを裁く聖職者を醜く描くことで、
真に罪を犯しているのは誰であるかを伝えています。
72歳の時、買い求めたマドリード郊外の別荘「聾者の家」へ移り、
誰に見せるためでもなく、家中の壁に絵を描き始めます。
それが14枚の「黒い絵」。
その14枚には、それぞれ彼自身の人生が描かれているとも言われています。
ルーベンスなども描いているローマ神話のサトゥルヌスは、
やがて自分の子に殺される、という預言を恐れ、
5人の子供を食い殺したとされる農耕神。
それは彼が多くの子供たちを失ったことと
関わりがあることでしょう。
見えている人間の闇と、
見えない潜在意識の中の闇を描き続けたゴヤのこれらの絵には、
彼の命が込められているのでした。
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