先週の大河から。
竹中半兵衛重治が世を去りました。
彼は官兵衛の無事を知ることはありませんでした。
羽柴秀吉を黒田官兵衛とともに支えたことで
「両兵衛」「二兵衛」とは言われるものの
半兵衛が秀吉の元で
力を発揮していた期間はあまりにも短いです。
それなのに、竹中半兵衛は蜀の諸葛孔明になぞらえて
「今孔明」などと称されることあり、
後の人が彼をどれほど高く評価していたのかがわかります。
彼を評価する時に欠かせないのが
稲葉山城乗っ取り事件
です。
美濃国の主・斎藤龍興に仕えていた半兵衛は
1564年、わずか十数名の手勢で稲葉山城を占拠しました。
その動機についてですが、諸説ある中で有力なのが3つ。
・斎藤飛騨守が半兵衛を侮辱したための報復
家中で評判が良くなく奸臣とも言われていた飛騨守を
重用していた龍興でしたが、
この飛騨守に半兵衛は宴で小便をかけられるなどの
侮辱を受け、飛騨守を討つために城を占拠し、
その目的を果たしました。
この場合、主目的は飛騨守の命ということになるでしょうか。
・日根野弘就と対立する安藤守就を救うため
半兵衛の正室は斎藤家重臣・安藤守就の娘でしたが、
危機にあった舅の守就を守るためということなんですが、
これも斎藤家家中の内紛と見るべきでしょうか。
・斎藤龍興の愚行を諫めるため
龍興は政務に無関心で、酒食に興じ続けたといわれ、
また、先代、先々代からの能臣の安藤守就らを重く用いず、
半兵衛自身も軽んじられていました。
そのような主に戒めを、という訳です。
あとはいずれの場合にも絡んでくるのかもしれませんが、
この頃から既に、木下藤吉郎、
秀吉が裏工作をしていたという話もありますね。
それと、半兵衛自身の野心という説も。
ただ、稲葉山城を占拠した時、
織田信長から美濃半国領有を条件に、
城を明け渡すことを打診されていますが、
これを拒否、龍興に城を返しています。
戦国史だけではなくて、
あまりこういう例を他に知らないんですね。
下剋上の時代ですし、美濃国自体、
先々代の斎藤道三が主・土岐氏から奪い取ったものです。
あの時、信長に城を明け渡していれば、
少なくとも美濃の半分は彼の物になったことでしょう。
この後、美濃国は龍興を見限った安藤守就らが織田に内応し、
あるいはそれ以前から藤吉郎の工作が成功もあって、
美濃は織田信長が治めることになります。
なぜ、半兵衛は稲葉山城を占拠し、
なぜ、織田信長の打診に応じなかったのでしょうか?
彼は織田信長に仕える形で、秀吉の下にいましたけれど、
彼を動かしたのは彼自身ではなかったかと思います。
だから、信長が黒田官兵衛が寝返ったとして、
人質の長政を殺そう殺そう賭したとき、
官兵衛は裏切らっていないと判断していた彼は
命令に従わないばかりか、
主を謀ってまで長政を匿いました。
主君の命令よりも大切なもの、
それが自分の価値観であり判断だったように思えるのです。
彼を動かすのは彼自身。
竹中半兵衛はそういう人だったのではないでしょうか。
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