軍師官兵衛第27話「高松城水攻め」その背景～備中高松城の戦い～

いきなりですが、

かつ江さん

です。
私、最初にこの絵を見た時に、
また新しいゆるキャラかと思って、
ゆるくないことをウリにしているゆるキャラかなと。
でも、違うんですね。
鳥取城籠城戦マスコットキャラクターなんですね。
批判が多く、使用しない方向へとのことですが、
そもそも、鳥取城の戦いの籠城側のイメージキャラクターとなりますと、
どうしてもこうなりますよね。
まだ、人間の手足を持っていないだけ気を遣っている表現といえるでしょう。
鳥取市教委はそれで募集しておいて、
やめるというのはどうなのでしょうか？
大河ではほぼ通り過ぎただけの鳥取城の戦い、
通り過ぎた理由は凄惨すぎるからでしょうか？
せっかく、かつ江さんが話題になりましたので、
それが鳥取市教委の思う壺かとも思いつつ、
こちらのほうもまた記事にしておきたいと思います。

さて、今回は備中高松城の戦いでした。
毛利を攻める織田信長は
別所長治、荒木村重らの予想外の離反に遭いつつも、
その勢力の攻略を終えると、
播磨は織田が支配するようになりました。
以後、鳥取城を攻略、
宇喜多直家が毛利から織田へと寝返ったことで、
備前も手中に収めることが出来ました。

1582年3月、羽柴秀吉は2万の軍勢を引き連れて西進、
途中、宇喜多軍1万を組み入れて、
総勢3万で備前備中の国境に布陣します。
この国境付近は毛利支配の7つの城砦が築かれていて、
その要が高松城でした。
この高松城をわざわざ備中高松城と呼ぶのは、
讃岐にも高松城があるためにです。
城を守るのが清水宗治。
城の兵は3000～5000、大きな戦力差ですが、
問題は高松城の特性にありました。
高松城は平城でしたが、湿地に建てられていて、
うかつに兵を進めれば、ただ進軍するだけでも、
兵馬を失う危険性があったんです。

秀吉は三木城や鳥取城で行ったような兵糧攻めを考えますが、
この高松城では、その中でも日本史史上初の水攻めを決行します。
湿地が城を守っているのならば、
その湿地を逆手に取ろうというのです。
5月、調略が不調に終わると、
毛利輝元らが4万の兵を率いて援軍に来るという情報もあり、
秀吉は織田信長に援軍を求め、
信長は丹波亀山城にいる明智光秀を送って寄越すと返事しましたが、
今からでは毛利軍の来着に間に合わないかもしれません。
8日から始めた堤防工事の完了を急がせます。
その堤は東南4km、高さ8m、底部24m、上幅12mという巨大なもので、
これを秀吉らはたった12日で完成させてしまいます。

以前、籠城戦は外から援軍が来ることを期待する戦術とお書きしましたが、
可能性としては、敵軍が退いてくれても、
籠城は成功といえます。
この高松城の場合、清水宗治は毛利の援軍が来ること、
または冬まで持ちこたえれば、
城を囲んでいる秀吉の軍も退いてくれるはず。
そう考えていました。

しかし、宗治と城内の者たちにとって水攻めは全くの予想外でした。
梅雨の雨が降りしきる中、城は水没、
士気は乱れ、毛利の援軍はおろか、
そこから送られてくるばすの兵糧も届かないこともわかりました。
この頃、秀吉の軍は高松城の西で毛利の補給部隊を抑えていたのです。
堤防が完成したのが19日で、
21日には毛利本隊が来着、
しかし、既に高松城は湖上の孤島と化していて、
もはや、高松城を救う術はありません。
毛利方は安国寺恵瓊を黒田官兵衛と会談させ和睦を求めました。
清水宗治らを助けたいというのです。
秀吉はこれを拒否して、和睦の条件として提示したのが、
「備中・備後・美作・伯耆・出雲の五国割譲」に加えて
「城主・清水宗治の首」でした。

一旦物別れとなり、毛利方は宗治に織田方への降服を勧めます。

しかし、宗治は「既に命は捨てている」と
降ってまで生き長らえることを良しとはしませんでした。
既に、自身と重臣5人の首を差し出すことで、
毛利家と城内の者たちの命を守ろうと決めていたようです。
そんな宗治の強い意志は
嘆願書となって恵瓊の手に托されました。

「五国割譲と清水宗治の首」、
秀吉はそれがこの戦の勝利の証だと考え、
譲歩する気はありませんでしたが、
6月3日夜、突然、この戦を
早々に終えなければならない事態となりました。

主・織田信長が明智光秀に討たれたというのです。

後にいう、本能寺の変が起きました。