2010年の東芝が白熱電球生産終了というニュースの時に
お書きしたことがあるんですけれど、
私たち恒温動物はエネルギーを無駄にしている部分があります。
活動していなくても、高い体温を維持しなければならず、
そのぶんのエネルギーが必要となります。
その点、変温動物は
活動時以外のエネルギーは少なくて済みますので合理的です。
だから、哺乳類を育てて食料とするのではなく、
昆虫を食べようと国連も言い出す訳です。
無駄な熱を放出しているという点で、
白熱電球から恒温動物の無駄を思い起こしたんですが、
実は、この地球上で最も繁栄している動物は
私たち恒温動物ではなく、変温動物で、
その中の昆虫が生物の歴史上、最も成功した動物といえるでしょう。
現時点での昆虫綱は約100万種、
これは動物界全体の約7割を占めます。
哺乳綱は5500種ですので、
昆虫綱は約180倍もの多様性を持っているんですね。
なぜ、これだけの多様性を昆虫が持っているかといえば、
それは彼らの寿命の短さに関係があります。
一世代が短い、世代交代が早いということは、
それだけ突然変異が起きる機会が多くなりますので、
そのぶん、たくさんの種が地球上に誕生しやすくなるという訳です。
昆虫の特徴の一つに変態が挙げられます。
日本では南西諸島に住むチョウ、
オオゴマダラの卵です。
この動画の投稿者はゴマぐらいの大きさだと表現しています。
そして孵化しますが、
この幼虫が3週間、4回の脱皮で、
10cmと巨大化します。
この毒々しい色は毒を持っていることの警告色、
この動画では既に蛹化が始まっていますが、
オオゴマダラはこのような光沢のある金色の蛹になります。
なぜ、こんな派手な色なのかについては、
無防備な蛹の時期に食べられないように
という説があるらしいですが詳しいことは不明です。
警告色なら、幼虫時代のもののほうが適応的なのではないかと思いますが。
この蛹の中では、幼虫の体が一度液体のように溶けて、
成虫の体として再構築されています。
そして羽化を経て国内最大級のチョウ、
オオゴマダラの成虫となります。
このように複雑な変態を経て成長するのは、
一つには幼虫時代と成虫時代で食性が異なるため、
食べ物が競合してしまうことを避ける意味もあります。
昆虫の中でも、このようにはっきりとした変態を経て成長する種を
完全変態と呼んでいます。
いっぽう、蛹の過程を経ない不完全変態、
幼虫と成虫の形態がほとんど変わらない無変態の昆虫もいます。
昆虫綱は節足動物門に属しますが、
その祖先を辿りますと、節足動物の中でも甲殻亜門、
エビやカニなどの甲殻類だということがわかっています。
これらエビやカニになくて、
昆虫にある特徴、その最たるものが翅でしょうか。
現在の昆虫の8割が翅を持っていますが、
古代ではまだ爬虫類も鳥類も空を飛んでいない時代に、
昆虫は動物として初めて空を飛ぶことが出来ました。
それを可能にしたのが翅。
この昆虫の翅はどのようにして獲得されたのでしょうか?
…続きます
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