軍師官兵衛第46話「家康動く」その背景～七将による石田三成襲撃事件～

豊臣秀吉健在の頃から、
福島正則、加藤清正、池田輝政、細川忠興、浅野幸長、加藤嘉明、
そして、本作の主人公の子で黒田家当主・黒田長政ら武断派と、
石田三成、大谷吉継、小西行長らの文治派は対立していました。
秀吉死後、前田利家がその間に入って衝突を回避していましたが、
その死によってその箍が外れてしまうこととなりました。
戦地での槍働きによって身を立て、豊臣秀吉を支えてきた者たちと
政務を司り、時に論功行賞に影響を与える文治派とは
相容れないものがあったと思います。
そもそも、天下統一を成そうとすると、
世の中は平安に近づくことになりますので、
文治派の活躍の場は大きくなり、権力も増していきます。
一方、武断派のほうは戦が減る訳ですから活躍の場が少なくなり、
恩賞ももらえなくなっていきます。
そこへ文禄慶長の役です。
武断派とても、皆が皆好き好んで海を渡った訳ではないでしょうが、
遠い異国で艱難辛苦を乗り越えて、
なんとか生還してみれば、たいした恩賞もなく、
それは石田三成による過小評価、あるいは讒言があったのではないか、
そのような不満や疑念を武断派に持たせるに至ります。

上記武断派の七将らは大坂・加藤清正邸に集結、
これから石田三成を誅殺しようということで
三成の屋敷へと向かおうとしますが、彼はそれを事前に察知、
直前に改易の危機から救ってくれた恩を感じている佐竹義宣が自邸に彼を匿います。
七将らは石田三成を捜索し、手当たり次第に大坂城下の大名屋敷を捜索し、
佐竹邸も捜索されるものの、佐竹義宣は三成を女装させた上で、
女輿に乗せて脱出させていて、
三成は次に五大老・宇喜多秀家の屋敷に逃げ込んだ…、
という話がある一方、伏見城に逃げ込んだという話も。
この時、伏見城を預かっていたのが徳川家康で、
石田三成は彼を豊臣家の実権を狙っていると敵視していたにもかかわらず、
ここで家康を頼ることになります。
そして、七将が伏見に到着し、家康に三成の身柄引き渡しを求めると、
家康は三成が秀吉の遺訓に何一つ背いてはいないとして、
これを拒否、ただし、彼の蟄居と慶長の役の論功行賞のやり直しを約束して、
その場を収めています。
家康にとってはまだまだ使い途のある三成を、
ここで殺すには惜しかったのでしょうか？
あるいは、三成を殺す大義がなかったため、
その場を収めたのでしょうか？
ともあれ、実際のところ、三成が家康の元へと逃げ込んだかどうかについては
よくわかっていません。
ただ、この後、石田三成は表舞台から姿を消すこととなります。
一方、彼を襲った七将は後の関ヶ原の戦いにて、
徳川家康に味方することとなるのでした。