またもや、外務省が現在と将来の日本国民にとって、
事実に基づかない災厄を生み出した世界遺産登録の件も
お書きしておきたいのですけれど、
まだ、けったくそが悪くて客観的な視点を持てませんので、
こちらは先送りとしました。
ギリシャ人はキリギリスか?
http://www.sankei.com/west/news/150707/wst1507070039-n1.html
産経大阪版にこのような文章がありました。
日本国内でも、そういうイメージがついているようですし、
どうやら、ヨーロッパ人の認識として、
そういうものがあるのかもしれません。
しかし、ギリシャ人が働き者か働き者でないかについては、
彼の国や国民の名誉が関わることですので、
客観的なデータが必要になります。
こんなことをお書きする気になったのも、
韓国KBSがOECDのデータでは加盟国中、
3番目に長い労働時間だと報じていたのを見たからです。
https://data.oecd.org/emp/hours-worked.htm
2013年のデータですが、これを見るとたしかに
3位です。1位メキシコ、2位韓国、日本は真ん中より少し上ぐらいですね。
ギリシャ国民は長時間働いているようです。
その効率がどうとかはデータに出ないので、
評価できませんが、少なくとも、
「ギリシャ人は怠け者だ」と結論づけるのは乱暴であるようです。
給与半減、教科書はコピー、ローン破綻の恐怖、うつ増加…ギリシャ国民の悲鳴
http://webronza.asahi.com/global/articles/2911112300002.html
2011年11月の記事。
労働時間が短くシエスタをする国民などと報道されたこともあったが、今はそんなタイムスケジュールで働いている人はごく少数の例外的な公務員に限られる。短い労働時間の公務員は所得も低く、それだけでは生活できないので大半が副職を持っているのが現実
この記事では、その働き方に対する問題点を指摘しつつも、
このように書かれてあります。
「借りた金返せ」というのは債権者としての当然の権利ですけれど、
給与が軒並み4割カットされていて、
さらに各種税金もそれぞれ10%アップ、
さらに国内の資産がどんどん国外に出て行っている現状では、
どれだけ緊縮財政を布いても無理です。
正しくは、緊縮財政であるからこそ、
償還の目処が立たないのでしょう。
おそらく、EUやECBには経済学の大先生がいることと思いますが、
こういう大先生が誰よりも理解していないのではないかと思うのが、
収入は誰かの支出
という基本原理です。
間違っていても、それを認めずに済ませる経済学の世界は大嫌いで、
一度もまともに学んだことはありませんが、
経済学で説明されるべき事象の多くは、
この原理から始まっているのではないでしょうか。
この原理で、様々な事象が説明出来るように思います。
所得が4割減った上に各税が大増税、
つまり、実質所得は半分以下になった訳です。
こんな時、ギリシャ国民はどうするでしょうか?
それまで減らしてきた支出を、
さらに減らして、
生きていくため最低限の支出だけにしようとしてしまうはずです。
比較にはなりませんが、日本でも消費税増税で8%になり、
政府は「一時的な経済的な落ち込みはあるだろうが」
としていたものの、なかなか増税前のレベルには戻りませんでした。
案の定です。
私たちが経済生活を行う時には、
常に「無駄」な支出をしています。
私がプロ野球観戦に行ったのも無駄ですし、
ベースボールキャップを買ったのも無駄です。
帽子なんて被らなくても生きていけますし、
野球なんて見なくても私が病気になる訳ではないでしょう。
少しでも昨日とは違うものを食べようと思うのも無駄、
少しでも気に入る傘を捜し歩くのも無駄です。
経済は無駄で支えられている
のではないでしょうか。
企業団体の経済活動における支出も大切ですが、
増税後に一般レベルの景気が良くならないのは、
各世帯が支出を控えているからです。
税新設や増税、物価が高くなるごとに、
メディアでは「無駄をなくす生活術」なんて企画が繰り返されますが、
これが不景気をさらに悪化させる要因となりつつ、
それでも、私たちは無駄をなくしているようでも、
常にどこかで、何かしらの無駄な支出を行っているものです。
その無駄が「無駄をなくそう」と努力するごとに、
どんどん減らされていきます。
無駄なお金が使われないから、
国民の収入は増えないということになります。
無駄な支出は、無駄ではない
マクロな視点でいえば、こうなります。
誰かの無駄な支出が、誰かの生活を支えているんですから。
ギリシャ国民には、無駄な支出が出来るような収入が必要です。
それは緊縮策では不可能。
長い目で見た経済振興策、
殖産事業が必要でしょう。
ギリシャ人が怠け者でなく、
建設的な政策が掲げられたならば、
彼らの収入は増えるのではないかと思います。
だいたい、仕事がなければ
怠け者だろうが働き者だろうが同じ事です。
そういえば…、ドイツなどは緊縮策で大声を出してきましたが、
自国がギリシャに売りつけている兵器には言及しませんね。
ドイツやフランスにとって、
お得意様のギリシャですからでしょう。
無駄をなくせといいつつ、軍事費は無駄ではないんですね。
EUの唯一の功績といえるのは、
加盟国間での戦争が起きづらくなったこと。
それなのに、2000~2014年の間、対GDP比で
ギリシャの軍事費はEUトップ。
2007~11年のデータでは、
ドイツの武器輸出の13%をギリシャに、
フランスの武器輸出の10%をギリシャが購入しています。
この2ヶ国はギリシャに対して、
偉そうに緊縮財政を求め続けていますが、
ここに触れようとはしません。
日本以上に、島嶼防衛に力を入れなければならないのは事実ですが、
EUに加盟して以後、戦争は起きにくくなっているのも事実。
適正な軍事費についての議論も必要でしょう。
ただ、これも急激に人員削減をしますと、
さらに失業者だらけになってしまいますけれど。
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しつこくギリシャ問題。ギリシャ人はよく働いているのではないか -仕事がなければ働けない-
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