このブログでは、頻度は少ないながらも、
地元のことについてお書きしてきました。
前回はピース・又吉直樹さんの芥川賞受賞の時でしたね。
その彼も、ここしばらくメディアからの「寝屋川市」の文字、声を
悲しんでおられるのかもしれません。
再開発で景色は変わっているかもしれませんが、
彼もきっとあの駅をよく利用されていたでしょうから。
中学生二人が凶悪犯の犠牲になったこの事件では、
報道で見る映像、二人の遺棄現場以外全てが見知っているものでした。
駅でいえば隣の駅、
ほとんどが少なくとも数十回、
多い場所では数百回以上、
通っている場所かもしれません。
それに、彼らが行方不明になった直後、
私は父親の墓参りであのあたりを歩いているんですね。
帰りにバスを降りたのは、
あの少年の自転車が止められていた場所でした。
あと、たまたまですが、
映像から容疑者宅の位置もわかりました。
地元だから、地元でないからと、
この凶悪な犯罪の意味が変わるわけではありませんが、
地元ですと、その衝撃は大きくなることを理解しました。
まだ、事件の全容について疑問は残されていて、
それと、同時に大人として出来ることがなかったのか、
その疑問も残されています。
一般論になりますが、子供の防犯対策について
もう一度考えてみます。
以前、「ビーバップ!ハイヒール」で、
このような常識が紹介されていました。
1. 不審者に気をつける
2. 知らない人についていかない
3. 危なくなったら防犯ブザーを鳴らす
この誰もが知っている子供に言って聞かせるべき常識ですが、
立正大学教授文学部社会学科の小宮信夫教授は
間違いだと仰っていました。
「不審者」「怪しい人」とはどのような人のことを言うのでしょうか?
今の泥棒がスーツを着ているように、
大人でも難しいものを子供に見分けられるでしょうか?
邪な考えを持っている者は、
それを悟られないように振る舞います。
彼らは「不審者」とは思われないように努めているはずで、
この「不審者」という言葉に気を取られている子供に、
犯罪の被害に遭う可能性が生じます。
警察や行政もよくこの言葉を使用しますが、
そのレッテルに気を取られてはいけません。
「知らない人」というのも、その定義は明確ではありません。
その人はランドセルに書かれている子供の名前を呼ぶかもしれません。
自転車で名前を知るかもしれません。
家から出て来た時から尾行しているならば、
当然、家の表札は見ているでしょう。
父親の名前、母親の名前を知っていることだってあり得ます。
名前を呼ばれなくても、たとえば
ボールを転がしておいて、それを拾ってくれた子供に近づけば、
その子にとって既にその人は
もう「知らない人」ではなくなっているのかもしれません。
「防犯ブザー」の場合も、
相手に対し危険を感じていない限り、
それが鳴らされることはありません。
危険を感じた場合でも、
ブザーを鳴らすための判断力が失われてしまっている可能性もあります。
恐怖で体が動かなくなることもあるでしょう。
それが既に手の届かない場所にあるかもしれません。
小宮先生は、防犯ブザーに対する過信は禁物だと仰っていたと思います。
それと、「人の目」。
私たちは人で賑わっている場所は、
子供を狙う輩から安全だと思いがちです。
しかし、現実にはそこが奴らの物色の場となっていることもあります。
そこで気に入った子供を見つけ、
その子が一人で行動するなどした隙に話しかけます。
私たち自身、どの程度、周囲のことを見ているでしょうか?
余程のことでもない限り、
その時に何があったかなんて、記憶にも残りません。
「人の目」はあてに出来ないのです。
地域安全マップ
http://www.nobuokomiya.com/?page=menu3
地域安全マップ作成指導マニュアル
http://www.bouhan.metro.tokyo.jp/anzen_map/
小宮先生は地域ぐるみで
「犯罪が起こりやすい場所を、風景写真を使って解説した地図」を作ることを
提唱されています。
そして、このようなお話もされています。
どう防ぐ? 子どもの連れ去り 立正大学教授・小宮信夫
http://thepage.jp/detail/20141218-00000009-wordleaf
先生は「リスク管理」をするべきだと仰っています。
しかし、現実には「クライシス管理」になってしまっていると。
どうすれば危険な目に遭わないを考える「リスク管理」ではなく、
危険な目に遭った場合にどうするかを考えている「クライシス管理」では、
危険を避けることは出来ません。
防犯カメラはどうでしょうか?
今回の事件ではその捜査に絶大なる威力を発揮しましたが、
これは「クライシス管理」なんですよね。
商店内には「防犯カメラ作動中!」などという
窃盗を未然に防ぐための表示がしてあることがあります。
防犯カメラを「リスク管理」として機能させるためには、
あえて、その存在を人間に知らせなければなりません。
それも大人の仕事でしょうか。
その他、単純ですが声を出すことも重要だと思います。
身の危険が目の前にある時、
意外と声を出しづらいとも言います。
普段から大声で
「助けて!」などの叫び声を上げる練習を勧めている専門家もいます。
さすがに近所迷惑になりますので、
枕や布団などに頭を押しつけつつ、
お腹の底から声を出す練習がいいとのこと。
それでも、防犯カメラの死角を完全になくせないように、
リスクを完全になくすことは不可能ですので、
一番大切なのは、子供自身の心掛け。
その心掛けをさせる大人だということになります。
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