このような美術関連書籍の著作もある
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アンジュルムのリーダー・和田彩花さんは
常々、知識なんかなくても美術が楽しめると仰っています。
美術の楽しみ方は自由、決まりなんてありません。
彼女自身、その作品の中に入る楽しみ方もされています。
それぞれの鑑賞方法や、
その時の印象、結論が正しいとは限りません。
好きか嫌いかだけの感想でも間違いではありません。
人それぞれに違う受け止め方があるのも美術なのです。
このブログで、美術関連の記事をアップしますと、
アクセス数が上がります。
やはり、美術に興味を持っている人は多いのでしょう。
同時に「どう楽しんでいいかわからない」
「難しい」と考えている人も多いかと思います。
今回はそんな人に対する一つの答えが示されました。
彼は実際に絵の中に入っている人です。
12日の朝日放送「ビーバップ!ハイヒール」、
この日のカシコブレーンは現代美術家の森村泰昌先生。
自らの体を使って、名画を再現しています。
第58回芸術選奨文部科学大臣賞、
2011年、紫綬褒章など、数々の受章、賞歴がありますが、
日本よりも海外のほうが知られている先生かもしれません。
彼が最初に手がけたのは、この作品です。
(YouTubeより)
オリジナルはこちら。
(Wikipediaより)
フィンセント・ファン・ゴッホの「包帯をしてパイプをくわえた自画像」です。
上の森村先生の作品はセルフ・ポートレイトで、
被写体は彼自身です。
彼はこの衣服に粘土を使用して質感を再現、
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問題はこの帽子。堅くトゲトゲしているようにも見えます。
おそらく、ゴッホがかぶっていた実物は羽毛でしょう。
それなのに、柔らかさではなく、
堅そうに描かれています。
彼は釘を使用することにしました。
年度のベースに釘を埋め込むことでこの絵を再現します。
顔には化粧品のほか、絵の具も塗りつけていきます。
そうして撮影されたのがこの作品です。
「包帯をしてパイプをくわえた自画像」を再現するための考察と作業の中で、
彼が感じたことがありました。
ゴッホがこの絵を描いたのはともに暮らしていたゴーギャンとけんか別れ、
耳を切り落とした直後のこと。
彼はこの絵の中に、友を失ったこと、
自分自身の情けなさを描いたのかもしれません。
だから、帽子本来の素材の柔らかさを写実的に描くのではなく、
堅く描いたのではないでしょうか。
この絵を真似てみることで、
森村先生はそう考えました。
(Wikipediaより)
世界で最もよく知られている絵画の一つ、
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」。
謎の多い絵画で、そのモデルについて、
審美的評価においても様々な議論があります。
この絵の肌は妙に黄色くなっています。
以前、私も「モナ・リザ 黄疸」で検索したことがあるんですが、
(Wikipediaより)
彼はこの模写でその黄色い肌の謎の答えを見つけました。
オリジナルの50年後に描かれたとされているこの精巧な模写は、
おそらく、実物を見た上で描かれたものに違いないと推定、
つまり、元々はこの模写のモナ・リザのような肌の色だったのです。
オリジナルの肌の色は、ニスの変色によるものだったのです。
彼がモナ・リザでセルフ・ポートレイトの撮影を行ったのは1998年のこと。
この模写を収蔵しているプラド美術館が、
この絵をダ・ヴィンチの弟子によるモナ・リザの最初期のものだと発表するのは、
2012年のことになります。
先生は服の生地、色など様々な推理を行い、
実際の撮影に取りかかりますが、
どうしても上手くいかない点がありました。
モナ・リザを鑑賞した者が口をそろえるのが、
どこにいても見られているような気がする、というもの。
この絵の彼女は画面右、
彼女にとっては左に流し目を送っているように見えます。
それなのに、正面から見ている私たちと視線が合ってしまいます。
彼は実験を行いました。
まずはカメラ目線で撮影を行い、
次に体と顔はそのままで、目線を左へ向けて撮影します。
そして、2枚の写真を左右に切断、
視線を正面に向けたものを画面左に、
視線を左に向けたものを画面右に配置して合成、
そうしてできたのがこの顔です。
(YouTubeより)
左右の目の視線が異なるからこそ、
様々な場所の鑑賞者と視線が合うことになります。
画面左半分にはかわいらしさを、
画面右半分には怪しげな冷たさ、邪悪さがあります。
これがモナ・リザの微笑の神秘となりました。
次はベラスケスの「ラス・メニーナス」について、
また、お書きしたいと思います。
ちょうど、この番組が放送された翌夕、
産経夕刊大阪版に彼の個展の記事がありました。
中之島の国立国際美術館で開催される
「森村泰昌:自画像の美術史―『私』と『わたし』が出会うとき」は
4月9日(火)~6月19日(日)となっております。
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