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ビーバップ!ハイヒール「知識ゼロでも楽しめる!森村流美術鑑賞術」 その2 ~ラス・メニーナス~

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こちらからの続きです。

http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12160312299.html


(Wikipediaより)

この絵は17世紀半ばのスペインの宮廷画家ディエゴ・ベラスケスによる
「ラス・メニーナス」です。
このタイトルを日本語訳すると「女官たち」、
日本ではこの「女官たち」をタイトルとしている場合もあります。
ただ、この絵が「ラス・メニーナス」と呼ばれるようになったのは、
19世紀以降のことで、
この絵が描かれた当時は「ラ・ファミリア」となっており、
日本語では「家族」「家族の肖像」「王の家族」といったところになります。
室内装飾画としてはほかにはないほどの最大級、
縦3メートル余りにもなります。

大きい画像はこちらから。
Las Meninas, by Diego Velázquez

ざっと見ると、ここには9人の人物が描かれているように見えます。
舞台はフェリペ4世の宮廷。
中央下の主役らしき女の子が当時5歳のマルガリータ王女、
その周囲には女官たち、小人症の奴隷、道化たち、
そして、階段で振り返る侍従、
さらに絵筆とパレットを手にしているのがベラスケス自身になります。
実はこの絵にはあと2人の登場人物がいます。
それが画面中央に描かれた夫婦、
この鏡の中の2人が宮廷の主である国王夫妻になります。
鏡の中に彼らがいるということは、
2人は私たちと同じ方向からこの光景を見ていることになります。

この絵も、多種多様な解釈がされてきた1枚で、
それがベラスケスの望むところなのかもしれません。
ちなみに、この番組に何度も登場され、
このブログでも取り上げた中野京子さんは
「怖い絵2」で画面右下のマスチフの上に描かれている
軟骨無形成症のドイツ人マリア・バルボラに焦点を当てた解釈をされています。




(YouTubeより)

森村泰昌先生はこの絵の登場人物11人全てになりきり、
作品を完成させました。
その課程の中で、彼はこの絵の解釈を行うことになります。
この絵の中のベラスケスはキャンバスに絵を描いているようです。
しかし、何を描いているのでしょうか?
こちら側に国王夫妻がいることから、
もしかすると、その対象は彼らなのかもしれません。
しかし、2人の肖像画にしては、
キャンバスが巨大すぎます。
登場人物の大きさからどう見ても、
3メートル以上あります。
3メートルといえば、この「ラス・メニーナス」もそう。
ベラスケスが描いているのは、
この「ラス・メニーナス」なのでしょうか?
だとすれば、私たちには見えないこの絵の中の絵には、
私たちが見ているこの絵が描かれているのかもしれません。
森村先生はこう考えました。
ベラスケスの前には大きな鏡があり、
そこに写っている映像を描いたのではないかと。
国王夫妻は私たちと視点を共有しているため、
2人は鑑賞者を象徴する存在であり、
絵の中に小さく鏡を描き入れたのは、
この絵が鏡を使用して描いたものだということを暗示しているのかもしれない、と。

これが正しいのかなんて、
誰もわかりません。
ただ、これが森村先生がそれぞれの登場人物になりきり、
セルフ・ポートレイトを撮影、作品とする中で、
たどり着いた一つの真実なのでしょう。


この作品を中心にした先生の個展が2013年に
資生堂ギャラリーにて開催され、
その時のメイキング動画が
資生堂のチャンネルに上がっています。



そして、完成がこちら。
再現するだけでなく、
新しい物語を見せてくれるのが先生の楽しいところです。




次は日本でも大人気のフェルメールの作品についてお書きします。






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