9日、オバマ米大統領は東日本大震災の発生から1年になるのを前に
哀悼の意を表し、復興に向けた日本人の努力を鑑としたい
と声明を発表しました。
我が国は震災直後、世界が驚嘆するほどの秩序を保ち、
その様は各国から賞賛を浴びることとなりました。
しかし、時間が経つにつれ、
世界から讃えられるほどの資格があるのか、
その疑問が大きくなっていきました。
私たちは合衆国大統領から、
模範といわれるほどの資格があるのでしょうか?
誰に煽られたのかは知りませんが、
被災地が頭を悩ませている震災瓦礫を
まるで放射性廃棄物であるかのように叫び、
手分けして処理することを拒んでいる姿は、
なんと醜い事でしょうか。
宮城県石巻市では10日、
公民館の屋上に乗り上げたままになっていたバスが撤去されました。
一部には津波の脅威を伝える意味で、
後世に残そうという意見もあったそうですが、
「震災を思い出してしまう」という意見が多かったことから、
撤去することに決めたそうです。
1995年の大震災の時に、復興するにおいて、
重要視されたことの一つに、
ネガティブになってしまうもの、
震災を思い出してしまうもの、
そういったものを出来る限り目に着かないようにする、
というものがありました。
だから、瓦礫処理を急ぎました。
各自治体は焼却炉を増設しましたが、
他県の自治体も力を貸してくれたはずです。
震災を忘れてはいけません。
しかし、今日を生きていかないと、
明日のために生きていかないと、
未来はないんです。
記憶は心の中に、
そして見える景色には明日への希望を描けるようにしないと。
その点でこのバスが撤去されたことには意味があるはずです。
瓦礫はどうでしょうか。
復興において物理的な妨げとなっているだけではなく、
その巨大で途方もない量の積み上げられた瓦礫。
被災地に暮らす方々にとっては、
精神的にも、それがのしかかっているのではないでしょうか?
それを出来る限り早く、取り除くことが
被災地以外の人間に出来る事だと考えます。
繰り返しますが、岩手県、宮城県の瓦礫は
放射性廃棄物でもなんでもないんです。
それなのに、各地で受け入れ反対運動が起こります。
先月末、EUは日本の食品に放射性物質の検査を義務づける輸入制限措置を
10月末まで延長することを決めました。
東北と関東の1都10県~宮城、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、
千葉、東京、神奈川、静岡、山梨~の食品については、
輸出前の放射性物質の検査を義務づける輸入規制を続けています。
これには世界的な風評被害だといえる部分も含まれているでしょう。
現在の瓦礫処理拒否騒動は、それと同じ事、正しくはそれ以上に酷い事を、
被災地の方々に向かって、日本人が行っているといえるのではないでしょうか。
EU各国と、この瓦礫問題との大きな違いは、
EUが懸念しているものが食品であり、
瓦礫は食品ではないこと。
そして、EU各国は数値に問題がない、
輸出前に検査済みで問題がなかったものについては、
輸入するという点です。
日々伝えられる瓦礫受け入れ拒否の運動のニュースは、
被災地にも伝わっています。
1年前から現在まで、
有史以来の大災害で、被災地の方々は大きな傷を負いました。
日本人が、
もうこれ以上、
被災者の方々を傷つけることのないようにしたいものです。
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震災1年 ~被災地以外の人間が被災者を傷つけている~
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