こちらから続いております。
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12167316990.html
前回は騙してかかろうとするものについてお書きしました。
だからこそ、疑うという精神が重要となります。
とはいえ、人間は生まれながらに騙されやすい生き物でもあります。
私たちが狩猟採集生活を続けていた頃、
個人個人でその獲得量は違っていたことでしょう。
また、同じ人でもその時々により、
成果は違っていたはずです。
ある時、その人が住居から食料を探し歩いた先で白い花を見つけたとします。
その下を掘ってみると、芋が見つかりました。
彼は白い花と芋の因果関係に気づくかもしれません。
また、芋を見つけたその日から、
太陽が昇って沈む回数を記憶して、
次以降の芋の獲得につなげるかもしれません。
彼は芋と白い花の間にある法則、
そして、次の芋までに必要な時間の法則に従い、
行動するようになるでしょう。
もしも、その法則が正しければ、
彼が生き残る確率は高いはずですし、
仮に間違っていても、
闇雲に探した場合と結果はさほどかわらないでしょう。
こういった法則に気づくことができる人、
覚えている人、それに従う人は
より多くの子孫を残すことでしょう。
こうして、人類は過剰に法則に縛られていくことになります。
多くの人は占いに合理的な根拠がないことを知っています。
特定の行動がよくない結果を招くというジンクスについても同様です。
しかし、それでも、私たちがその影響を受けるのは、
私たちの先祖が生き残るために獲得した習性だからです。
また、幽霊のようなものを
「見てしまう」ことについても
私たちの先祖が獲得した能力によるものです。
人間は顔から多くの情報を読み取ります。
その人が知っている人なのか、知らない人なのか、
怒っているのか、笑っているのか、
友好的なのか、敵対的なのか、
それを見誤ることは、命に関わります。
そして、赤ん坊が視覚的に最も強く反応するのは人間の顔です。
2本の線で目を、1本の線で口を紙に描いただけで、
赤ちゃんはそれを顔だと認識します。
また、生後半年以内に、顔に対する認識能力は
成人と同程度になるとされています。
壁に浮かぶシミが顔に見えることがあるのは、
人間が顔に対して強く認識する習性があるからですが
こういったものもあります。
これらは幽霊に見えません。
幽霊に見えるかどうかは、そこに恐怖心があるかにかかっています。
人間が生き残る上で大切なことは
恐怖に近づかないことでした。
視覚に頼って生きている人間は、
暗闇に恐怖を感じます。
もしも、暗闇の中に、
顔に見えてしまう壁のシミなどを見つけた場合、
私たちはそれを幽霊だと認識するかもしれません。
生き残る上で獲得した性質では、
次のようなものもあります。
ここに予期せずもらった1,000円があるとします。
この幸運に彼は喜ぶでしょうが、
しかし、もしも、この1,000円を紛失するなどして失った時、
彼の心の中には、
失った時の印象が強く残ります。
これは「良いこと」よりも「悪いこと」をより強く心に刻み込んだほうが、
生き残りやすいからです。
だから、私たちはお守りを買います。
「悪いこと」が起きないために、
最善の方法を考えるようになります。
こうして、不安に対処しようとするのです。
番組では言及しませんでしたが、
こういった人間の習性、心理を利用し、
商売としている人たちがいます。
信仰であれ、占いであれ、
そこに検証可能な合理的理論が存在していないことを理解した上で、
それらに関わるのはよいと思います。
人生にとって価値あるものとなる場合もあるでしょうし。
しかし、疑うことを許さず、不安をあおり、
大もうけしているような人、組織には注意が必要です。
それでは、最後に番組で紹介された
疑似科学にハマりやすいかどうかのチェックテストを。
「直感でお答えください」という言葉で始まりました。
A. 交通事故死
B. 転倒・転落死
C. 溺死
1年間における日本で最も多いのは
この中のどれでしょうか。
番組があえて、「直感で」としていたのは、
よく考えれば、問題の意図が誰でもわかってしまうからでしょう。
スタジオでは7人中5人が「交通事故死」を選びました。
残る2人は「転倒・転落死」を選択、
2014年の統計では、
A. 交通事故死 5,626人
B. 転倒・転落死 7,454人
C. 溺死 7,490人
となっており、最も多いのは溺死となっています。
次いで僅差で転倒・転落死でした。
最も少ない交通事故死だと考えがちなのは、
それが最も目に付くからです。
転倒死や転落死、溺死があっても、
それが報道される確率は低く、
逆に交通事故死は報道される確率は高くなっています。
多く見ているからといって、
それが全体の中の大多数とは限らないのです。
2 4 6
3 6 9
X Y Z
次はこのXYZにそれぞれ入る数字を答えなさいというもの。
最も多いのは「4 8 12」という回答で、
スタジオでは筒井康隆先生だけ、
最後まで「いろいろありすぎてなあ」と回答されませんでした。
実際のところ、この問題に正解なんてものはなく、
「4 8 12」以外にも「5 6 7」などもあっていいかと思います。
過剰に法則を考えてしまう、縛られてしまう人は
「4 8 12」などの自分の答えを確信してしまう人でしょう。
この時のスタジオでは、
筒井康隆先生が法則に縛られにくく、
騙されにくいといえるでしょう。
石川幹人教授は
中途半端に賢い人は過剰に法則を見つけてしまい
とても賢い人はいろいろな可能性を考えてしまう
と解説していました。
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