リオデジャネイロ・オリンピックも終了し、
次はパラリンピックとなります。
このリオでのオリンピック、
パラリンピックで懸念されていた問題の一つがジカ熱でした。
ジカ熱の潜伏期間は3~12日とのことで、
オリンピックのような世界中から人が集まるようなイベントは、
世界的な感染症の伝播の機会となるだけに、
まだ注視が必要です。
昨日、イギリス政府がジカウイルス感染を98例確認したと発表したと
地元メディアが報じています。
これはいずれも中南米からの帰国者とのこと。
いっぽう、「リオではジカ熱が心配」という認識がある人は多いものの、
ほかの地域でジカ熱の感染者が出ていることについての認識は薄くなっています。
27日、シンガポール当局は
47歳のマレーシア人女性がジカウイルスに感染したと発表しました。
シンガポールでは5月に感染者が出ていますが、
国内感染は初めてとのこと。
そして、昨日、シンガポールのメディアは
国内で新たに40人がジカ熱に感染したことが確認されたと報じ、
その感染者は感染拡大地域への渡航歴はないとしています。
26日、アメリカでは疾病対策センター(CDC)が
旅行先でジカウイルスに感染した男性が性交渉で
女性を感染させたという事例を報告していました。
この男性はドミニカ共和国に旅行し、
ここで感染したと考えられるものの自覚症状がなく、
女性を感染させてしまうことになったようです。
先月にもお書きしていますが、
今年の夏はジカ熱に注意が必要かもしれない ~性感染症としての一面も~ ※追記あり
http://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12181171231.html
ジカウイルスを甘く見ないほうがいいと思います。
ジカウイルスに感染しても、
ほとんどは症状が軽いか、無症状であるようです。
当人に感染したという自覚がないため、
その人は他の人を感染させてしまいやすくなります。
エボラウイルスのように、
宿主を殺してしまうようなウイルスには限界があります。
ウイルスの立場からみれば、
体内に入り込んだことに気づかれないほうが、
宿主の体内に多くコピーを作れますし、
別の宿主の体内にもコピーを作ることができます。
同じく蚊が媒介するデング熱などと感染経路が似ているものの、
感染者自身が気づきづらいために、
感染者が増えてしまう可能性があります。
ジカウイルスの場合、
従来はジカウイルス、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどか感染し、
その感染者の血液をこれらの蚊が吸い、
その蚊が別の人を吸血することで、
新しい感染者が発生すると考えられてきましたが、
性感染症としての一面を持っていることが証明されました。
人から人へという感染経路もあることを忘れるべきではないでしょう。
CDCは23日にもジカ熱に関する発表を行い、
フロリダ州のマイアミ市とマイアミビーチ市を流行地に指定しました。
厚生労働省で確認しますと、
CDCとECDC(欧州疾病予防管理センター)の発表を基にしたページでは
アンギラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、アルバ、バハマ、バルバドス、ベリーズ、ボリビア、ボネール、ブラジル、ケイマン諸島、コロンビア、プエルトリコ、コスタリカ、キューバ、キュラソー島、ドミニカ国、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、仏領ギアナ、グレナダ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、 サバ島、サン・バルテルミー島、セントルシア、セント・マーティン島(仏領サン・マルタン及び蘭領シント・マールテン)、セントビンセント及びグレナディーン諸島、シント・ユースタティウス島、スリナム、トリニダード・トバゴ、タークス・カイコス諸島、米領バージン諸島、ベネズエラ
○オセアニア太平洋諸島
米領サモア、フィジー、ミクロネシア連邦コスラエ州、マーシャル諸島、ニューカレドニア、パプアニューギニア、サモア、トンガ
○アフリカ
カーボベルデ
○アジア地域
インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム
○北米地域
米国フロリダ州の一部
このように多数の地域が挙げられています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000113142.html
日本産婦人科医会のアナウンスを再掲しておきます。
「妊娠されている方、妊娠を計画されている方へ」としては
流行地域ヘは渡航をお控えください
とし、当人かパートナーが流行地に行った場合、帰国した場合は
・流行地滞在中は適正なコンドーム使用か性行為を控える
・流行地渡航された方については
男性; 帰国後少なくとも4週間は性行為時にはコンドームを適正に使用
女性: 帰国後最低4週間は妊娠を控える
としています。
胎児の小頭症とジカウイルスの関連も証明されました。
政府には水際対策が求められますが、
それにも限界があります。
流行地からの帰国者ではなく、
国内感染者が出る可能性も充分にあります。
イギリスの98人の感染例が全て輸入感染例だとすると、
その何倍もの人が感染していながら、
無症状であるために気づかずにいる可能性があります。
蚊に刺されないことも含めて、
それぞれ、ジカウイルス感染予防について
意識を高めておく必要があります。
上の先月の記事もご覧ください。
19日に日本産婦人科医会の資料が更新されましたので、
そちらもご覧ください。
妊娠されている方、妊娠を計画されている方へ
http://www.jaog.or.jp/news/160819zikavirus.pdf