共同通信の報道によれば、米フロリダなどで
バットハウスなるものを庭に取り付けることが流行しているとか。
バットハウスとは、鳥でいえば巣箱のこと。
コウモリにジカウイルスを媒介するヒトスジシマカやネッタイシマカを
食べてもらおうという考えです。
しかし、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカは
日中にも活動し、コウモリは夜行性という習性があり、
どの程度意味があるのかは不透明です。
これまでも何度かここでお書きしてきたジカウイルスで
国内感染が起きる可能性についてお書きしてきましたが、
東南アジアなどでも感染者が増えており注意が必要です。
また、このウイルスは感染しても発熱しないことがあることから、
ジカウイルス感染症と呼ぶべきだということになってきました。
11日、厚生労働省はベトナム在住外国籍の女性が
日本国内でジカウイルスに感染していることか確認されたと発表しました。
この患者は発疹や関節の痛みなどの症状を訴えており、
また、日本国内では蚊に刺されていないと言い、
厚労省は国内で感染が拡大する可能性は低いとしています。
しかし、鈍くなったとはいえ、
まだ、蚊が活動する可能性があります。
そして、来年はどうなっているかわかりません。
それに、メディアはジカウイルスの性感染症の側面に触れたがりません。
はばかるテーマかもしれませんが、
そんなことは言っていられないのではないでしょうか。
ワクチンなどが存在しない感染症については、
何よりも、予防のための知識が必要なのですから。
はしかについてもお書きしてきました。
まだ大流行には至っていませんが、
引き続き、注意が必要です。
国立感染症研究所の14日までの感染者データを見てみますと、
20代、30代に多くの感染者が出ていることがわかります。
この世代はワクチンを1回しか受けてない人が多く、
2回受けていても、間隔が開いている可能性があります。
このことを踏まえて、国にはあらためて感染症対策を講じてほしいものです。
先週土曜日の朝日放送「正義のミカタ」でも、
はしかについてとともに、
感染症とその予防について、
この番組では元厚生労働省医系技官で
ノンフィクション作家の木村盛世医師が解説していました。
この日の番組で、日本がワクチン後進国であると実感できた点です。
日本で定期接種として公費負担により接種できるワクチンは
MR(麻疹・風疹混合)ワクチン、BCG(結核)、B型肝炎、
4種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ混合)ワクチン、
ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、水疱瘡ワクチン、
HPV(子宮頸がん)ワクチンとなっていて、
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、ロタウイルス、
A型肝炎、インフルエンザ、
髄膜炎菌の各ワクチンは任意、自己負担となっています。
この自己負担の部分においても、
公費負担とされているものと比べて、
必要性が乏しいとは思えませんし、
さらに公費負担とされている部分においても、
ワクチン接種していなくても、
この日本では制度上の不利益を被ることはほとんどありません。
はしがで言えば、日本では1歳と6歳の時に計2回、
ワクチン接種を「推奨」しています。
アメリカの場合、小学校、中学校、
高校、大学の入学時にワクチン接種の証明書が必要になっています。
ワクチンの接種、その感染症について、
抗体があることを証明できなければ、
学校に通うことができず、
感染症やワクチンの問題は訴訟問題に発展することもあります。
アメリカではほぼ義務だといえるでしょう。
日本では「ワクチンは自分のため」という認識が強くないでしょうか。
もちろん、その側面もありますが、
実際は「ワクチンは社会全体のため」でもあるんです。
はしかのワクチンを全ての人が接種している集団では、
はしかの感染が拡大することはありません。
そうして、生産性を守る、向上させるのがワクチンなのです。
学校での勉強でも同様で、
たびたび学級閉鎖や学校閉鎖にするわけにはいきません。
それに、今回のようなことがあると、
学校を含めた各施設、各機関は対策を講じなければなりません。
ほとんどの人がその病気に対するワクチン接種で備えていれば、
そんな対策は要らないか、最小限で済むはずです。
アメリカにもアーミッシュのように、
信仰上の理由でワクチン接種を拒否している集団もありますが、
日本ではワクチンの副作用に苦しんでいる人を見つけてきては、
その副作用の治療を勧めるのではなく、
訴訟を起こさせて、利益を得る弁護士がいまます。
治せるはずの副作用を悪化させて、
子宮頸がんワクチンであの種の裁判が起きること自体、
全くの不合理としか言い様がありません。
そして、反ワクチン運動を続けている連中もいます。
反ワクチンの人はいいます。
「うちの子はワクチンを打たなくても大丈夫だった」と。
しかし、それは周りの子がワクチン接種していたので、
その環境にその感染症が蔓延しなかったからに他なりません。
つまり、その子は皆が作り上げた安全性の高い環境に、
ただ乗りしていることになります。
残念ながらワクチンには副作用があります。
ただ、極めて低確率です。
逆にワクチンを接種しないで、
病気にかかることのほうが不利益が大きいです。
はしかでいえば、命が奪われることもある脳炎になることがあり、
さらに、亜急性硬化性全脳炎の潜伏期間は
はしかの感染の5~10年。
はしかにかかってやり過ごしたと思っていても、
忘れた頃に、この致死性の脳炎を発症する可能性があります。
ワクチンを接種しないことによる不利益は
費用についても同様で、
上記の全てのワクチンを完全義務化、
公費で行えば、生産性は向上しますし、
それらの感染症の治療に費やされる医療費も削減されます。
自分がかからないためのワクチンであること以上に、
ほかの誰かを感染させないためのワクチンなのですから。
WHOが注目するバイオテロ。
ウイルスなどは兵器だともいえます。
国際的にも、欧米各国は日本を「感染症輸出国」だと見ているのです。
¥1,490
Amazon.co.jp
予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)/岩田 健太郎
¥799
Amazon.co.jp