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フランスと韓国の大統領選挙と日本(1) ~緊縮財政およびルサンチマン~

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フランスでは大統領選挙が行われ、マクロン氏が当選しました。メディアでは彼の妻との年齢差などを大きく採り上げ、彼が大統領となったことの意味は二の次三の次という有様。結婚や恋愛などは政治の評価に関係しないという採り上げ方には賛同しますが、もっと考えるべきことがあるはずです。

日本にとってはマクロン氏でよかったのでしょう。少なくとも、短期的には強力な円高要素の一つについて、心配しなくてよくなりました。国際情勢で何か不安要素が出てくると、買われるのが日本円です。国際市場から見れば、日本円は安全な投資先なのです

ルペン氏が評価された理由を考える必要性


短期的ということでは、フランスにもよかったのかもしれません。ルペン氏が当選し、EU離脱の検討を開始しますと、EU域内外における競争力低下で国内産業がダメージを受けることになります。輸入品も高くなります。しかし、長期的にはルペン氏のほうがよかったのかもしれません。

メディアは終始、彼女を「極右」と呼び続けましたが、そう呼んでいるうちは、なぜ彼女が大統領候補になり、一定の支持を得たのかを理解することは不可能でしょう。10%という高い失業率、若年失業率では25%にもなっているのは、外国、特にほかのEUや、移民などによる安い労働力に仕事を奪われているからです。

緊縮財政が予想されるマクロン政権


フランス国内では国民が貧しくなり続けているために、内需が低下。景気が良くなる気配はありません。そして、マクロン氏が当選し、彼は構造改革を行うといいます。構造改革という言葉自体に、善も悪もありませんが、おそらく、彼の構造改革で景気が上向くことはないでしょう。

民間に設備投資などの投資意欲がない時には、政府がそれを行うことで景気を刺激する必要があります。ところが、EUにおいては、自国独自の経済政策を打てません。プライマリーバランスの均衡、黒字化が必要で、これが足かせとなり、政府による公共事業は制限されます。

国内の経済政策を自国以外から制限を受ける形では、マクロン氏は緊縮財政を行うこととなるでしょう。そして、フランス国民はさらに貧しくなり、景気はさらに悪化し続けることになりそうです。




盧武鉉の失敗と米オバマ前大統領の失敗


韓国の大統領選挙では文在寅(ムン・ジェイン)氏が当選しました。これもマスコミが常に「革新系」と言い続けていましたが、ただの安っぽい左翼に過ぎません。ほかの有力大統領候補の中にも、革新的な要素を持った人物はいなかったと思います。

そもそも、こんなタイミングでなぜ親北派の支援を受けた候補が大統領になるのか。こんなタイミングだからこそなのでしょうが、盧武鉉の失敗と米オバマ前大統領の失敗による北朝鮮の核開発をどう見ていたのでしょうか。

「七放世代」と「9988」


韓国でも国民が重要視されたのが経済政策だったのでしょう。現在の韓国では「七放世代」という言葉があります。大統領よりも力が強い財閥により支えられている韓国では、何はなくとも大財閥に入社できない限り、成功者とはいえないと考えられています。

大財閥に入社するためには、ソウルのいい大学に入学する必要がありますし、日本でも報じられる受験日当日の騒動の原因はここにあります。もしも、財閥に入社することができなければ、「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「人間関係」「夢」「就職」の7つを諦めざるを得ないとして、「七放世代」と呼ばれています。

韓国でも若年失業率は高く、数値としては10%あまりではあるものの、雇用統計の取り方自体の特殊性で、実態は見えにくくなっていますが、実際はこれよりも数%高いとみられています。

また、「9988」という言葉もあります。韓国の99%の企業が零細企業で、88%の労働者がそこに勤めています。しかし、現実の韓国経済は1%の財閥系企業と12%の富裕層が回しています。日本でも格差が拡大していると叫ばれていますが、韓国のそれは日本の比ではありません。財閥系大企業と零細企業の初任給では2倍の開きがあります。

韓国を動かすルサンチマン


価値観の根底に儒教があるためか、「上と下」が明確に分かれ、この「上と下」は、「財閥系社員とその他」「ソウルとその他」「韓国と日本」など、人間関係や国家間には「上と下」が存在し、上の言うことは正しく、下はそれに従うことになります。

ただ、それでは「下」に不満が鬱積することになります。それが時々爆発し、その結果、前大統領は弾劾されました。新大統領は第19代大統領ですが、これまでの大統領で命を狙われることもなく、自殺せず、刑事訴追を受けることもなく無傷の元大統領はいません。彼の未来はどうなるでしょうか。

ニーチェが言うルサンチマンの感情です。韓国国民自身が「韓」と同じ読みの「恨」を関連づけるなど、国内も「恨」が動かしている部分があります。


財閥の弱体化は国力低下を招く


新大統領は財閥改革を行うといいます。しかし、現実に有効な手は打てないでしょう。もしも、本気で財閥の力を弱めようとすれば、彼も大統領府を追い出される可能性があります。そして、財閥の力が弱まることは国際競争力の低下を招きます。何しろ、韓国GDPの7割超を十大財閥が生み出しているのですから。

文在寅政権は課題山積です。それは議会における少数与党であるからだけではありません。選挙結果を見る限り、安全保障における国民の危機感は希薄なようですが、悪い展開に備えるのが安全保障の常識。現在は開戦前と考えておくべきでしょう。もしも、新政権が盧武鉉の太陽政策を復活させれば、その支援が核兵器を含む北の軍事力をさらに強化することでしょう。





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