加計学園問題についてお書きした時に
本質には一部の官僚が権益を取り戻したがっているからだとお書きしました。
ただ、多くの官僚を含む公務員の方々は
システムが変わろうと、それに従った仕事をされているかと思います。
昨今、「ブラック企業」という言葉が盛んに聞かれますが
ブラックな職場の代表格が霞ヶ関なんだと思います。
現状、彼らの労働環境に法令遵守の基準に合わせれば
多くの法案はできあがらないでしょうし、
国民の生活も守れないかもしれません。
そんな官僚たちが国民の生活を守るために行っている仕事をご紹介します。
先月、消費者庁がこのような報告書を公開しました。
打消し表示に関する実態調査報告書(PDF)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_170714_0002.pdf
広告業界用語で「打ち消し表示」とは
広告で主に訴えていることに対し、
それが当てはまらない場合があると但し書きしておくことです。
よくあるのは誰かが体験談を話している画面脇に極小の文字で
個人の感想であり、効果を保証するものではありません
と表示するもの。
これを入れておかないと、
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法/景表法)違反になるのです。
私は子どもの頃からテレビCMが好きで、
物心つく前には番組本体よりも
CMのほうがおとなしく画面を見ていたとのことで
その傾向は今でも持っているような気がします。
ただ、年々CMがつまらなくなっているとも感じています。
その原因の一つが有名人または一般人(らしき人)が
体験談を話しているというもの。
広告を見てもらおうという意識が全く感じられず
広告制作でも、ただクライアントのいいたいことを垂れ流しているだけ。
工夫も何もあったものではありません。
工夫しているとすれば、
いかに視聴者を騙せるかという点だけ。
騙すという言葉が強すぎるとすれば、
どうすれば、視聴者を誤解させることができるかという工夫ですね。
特に健康食品などの場合、
視聴者に「効果があると誤解させる目的」で作られているものが多いです。
広告に限らず、医薬品ではない健康食品では
「効果がある」などという表現は使用できません。
医薬品医療機器等法(薬機法/旧薬事法)違反になります。
そこでライターなどは「効果がある」という言葉を使わずに
視聴者に「効果がある」と思わせる表現を用意します。
その最も単純で工夫せずに行えるのが体験談型のメッセージで、
「個人の感想です」の文字は
企業や代理店などは景表法違反に対する免罪符だと考えているのでしょう。
消費者庁のこの報告書によれば
庁は新聞広告、動画広告、ウェブ広告を500点収集し
その中の「打ち消し表示」の典型的なパターンとなるデモ広告を作成、
日本の人口構成に合わせた全国の成人男女に1,000人に見てもらい
ウェブアンケートを実施しています。
また、少数ながらグループインタビューも行っています。
すると、86.7%の人が「打ち消し表示」を見落としていました。
「打ち消し表示」は広告で訴えたいことを打ち消すものですから、
目立つようには表示されません。
見落として欲しいというのが企業の本音です。
見落として当然なのです。
この報告書で注目すべきは
「体験談であることには気づいたが打ち消し表示には気づかなかった人」と
「体験談と打ち消し表示ともに気づいた人」の数値で
『体験談と同じような効果が得られる』と感じた人は
前者が53.0%、後者が43.3%、
『自分に効果がある』と感じた人は
前者が39.3%、後者が28.%となっています。
あまり変わらないんですね。
体験談であることや打ち消し表示に気づこうがどうだろうが。
消費者庁は、効果を謳いたいのであれば
数字を伴うような根拠の表示を義務づけたいんだと思います。
「個人の感想です」という逃げ道をふさぎたいのでしょう。
消費者庁の目論見通りに進めば
健康食品だけでなく、一部の医薬品、
各種保険などの広告が影響を受けるはずです。
続報を待ちたいと思います。
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「個人の感想です」の広告終了? 景品表示法違反になる? 消費者庁は本気かも
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