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「ピンクリボンシンポジウム」 南果歩さん代替医療発言について ~死なずに済む人の命のために~

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今年もピンクリボン月間となりました。まずは今年もまた、乳がん週末検診についてお知らせしておきます。日本乳がんピンクリボン運動(J.POSH)は、全国の自治体や医療機関に働きかけて、平日に病院に行けない女性のために週末乳がん検診を受けられるように環境作りを行ってきました。

毎年10月第3日曜日は「ジャパン・マンモグラフィーサンデー(JMSプログラム)」で、今年は15日がその日に当たります。ただ平日以外で実際に検診が行われるのは、15日とは限らず、医療機関の都合などにより、前日の14日土曜日である場合もあります。詳しくは

J.M.S 乳がん検査を受けられる日曜日
http://jms-pinkribbon.com/jmsclinic.html

こちらから地図上の都道府県から、実施している医療機関を検索してみて下さい。乳がんはがんの中でも社会の関心が高いがんであるからか、研究が進んでいるがんの一つで、早期であればかなりの確率で「治るがん」です。定期的な乳がん検診を行って下さい。国内の統計では乳がんは30代後半から増加し、40代後半から50代前半がピークとなっています。


発言内容も報道の内容も報道の仕方も問題だらけ


さて、今年で「ピンクリボンフェスティバル」は15回目だそうで、今月は乳がんに関する啓発イベントが行われます。 東京・千代田区の有楽町朝日ホールでは1日、シンポジウムが行われ、その時に登壇した南果歩さんの発言が物議を醸すこととなりました。

私はTwitterで何人かシンポジウム参加者のtweetを見ていたんですが、「残念」という声が聞かれ、どうも代替医療について南果歩さんが何か仰ったのだとは思いましたが、発言内容も報道の内容も報道の仕方も、問題点が多いものであることを確認しました。

「皆様の視野」を広げた先にあるものは?


問題の記事は『南果歩「見本にして」抗がん剤ストップ中と明かす』と題された日刊スポーツの記事で、彼女の発言に対し、好意的な表現を用いて伝えていました。彼女は

今、ハーセプチンという抗がん治療をストップしています。抗女性ホルモン剤の投薬もストップしています。これは俗に言う、代替治療に切り替えたということです。私のやり方はひとつの症例であって、皆様に当てはまるものではないかもしれません。こういう考え、治療法があるんだと、表に出る仕事をしているので、分かりやすい見本になると思うんです

このように話しました。いわゆる「個人の感想」であるわけですが、こちらでお書きしたように

https://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12303433180.html

彼女の発言中の「皆様に当てはまるものではないかもしれません」という「打ち消し」に、そのメッセージに触れた人に二の足を踏ませる効果はあまり期待できません。がんといえば命に関わる病気で、当事者はいろいろなことを考えます。彼女は

そういう方法もあるんだと、皆様の視野が広がることが目的です

とも発言。代替医療を選択したことを公表した理由を話しました。彼女は標準治療中に、血圧の上昇があり、降圧剤が処方され、そのことに疑問を抱き、ほかの選択肢を探したようです。彼女が現在行っているのは、

・サプリメント
・代謝を上げて冷え性を治す
・炭水化物を控える
・エミューのオイルを使用する

最後のオイルは放射線治療の影響による皮膚の黒ずみ対策のようで、サプリメントについてもよくわかりません。ただ、エビデンスと呼ばれる医学的根拠は得られていないはずです。ほかのものについても、間違いか、正しくないか、またはデータがない考え方です。「個人の感想」により、正しくない情報を拡散。乳がん患者の視野を広げたことで、その人は死ぬかもしれません。

代替医療の宣伝にもなる発言と報道


ただ医師の指示に従っていればいいから、というつもりはありませんが、おそらく、彼女の発言と報道で、死なずに済む人が乳がんで死ぬことになるでしょう。発言内容から、彼女は一定の標準治療を受けていて、区切りがついた段階で、代替医療に切り替えたものと思われます。今後も担当医が彼女を診ていくのかもしれません。だから、彼女の場合、今後、何も起こらない可能性もありますが、それはそれで、彼女が行っている代替医療の宣伝になるわけです。

多くの有名人が代替医療で命を縮めました。代替医療は大金が必要なことが多く、仮に私がそれを望んだとしても、長続きはしないでしょう。ただ、一部の富裕層には出せるだけの資金があり、そういった人たちのネットワークにより、その代替医療の情報は拡散されていきます。資金力のある有名人に代替医療で命を縮めた人が多いように感じるのは、ただの印象ではないはずです。

報道機関は「違うものは違う」と伝える義務があります。それができないならば、その問題に触れるべきではありません。その報道が誰かを殺すことになるのですから。

そして、このイベントが「ピンクリボンシンポジウム」 であること。運営側は事前に発言内容を認識していなかったとしていますが、おかげで、貴重な席で代替医療の宣伝が行われることになってしまいました。がんサバイバーの言葉は重く、だからこそ、このような機会が設けられるわけですが、もっと慎重に話す内容を確認しておくべきでした。


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