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現在の「仮想通貨」は「通貨」に非ず

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仮想通貨NEMの交換業者コインチェックから
580億円相当が流出したというニュースにも驚きましたが、
その続報でコインチェックが返金予定の463億円について
「現預金で」とコメントしていたことにさらに驚かされました。
損害を受けたとする数十人による集団提訴ともなりそうで
頭がおかしくなりそうな数字が飛び交う事態となっております。

仮想通貨の中でも最も代表的なビットコインは
私も仮想通貨という言葉が市民権を得ていない頃
購入を持ちかけられたことがあります。
当時は紙一枚も買えないような価値しかなく
当然のように乗りませんでした。
その後、ビッグバンのように爆発的に価値が上がりましたが
当時の判断が間違っていたわけではないでしょう。
当時も今も、私は仮想通貨を信用していませんから。

そもそもお金とはどういうものでしょうか。
私がインスタントラーメンを手に入れようと思えば、
お店に千円札や一万円札のような紙幣か、
硬貨を持って行く必要があります。
インスタントラーメンは味を楽しむことができ、
お腹を満たすことができるという価値があります。

一方、お札や小銭はどうでしょうか。
私たちは一万円札に高い価値を見ていますけれど
それはなぜでしょうか?

金、ゴールドの価値はどうでしょうか?
金はほかの金属と比べて極めて稀少です。
私たち人類はこれまで約17万トンを採掘したといわれています。
そして、この地球の存在している金は23万トンだと推測されていますので
採掘可能な金がなくなってしまうのは
そう遠くないともいわれています。

金は装飾品などに特別な輝きをもたらし、
高い希少性のために、
世界中の人類は金に価値を見てきたのでしょう。

昔、爆風スランプのドラマー・ファンキー末吉さんは
中国の人が金を買いたがるのは
「国が変わっても金の価値は変わらないから」
だと説明されていました。
中国では五千年の歴史の中で
国や統治者、制度が幾度も変わってきました。
国がなくなると、
そこが発行していた貨幣の価値は失われるか暴落します。
その度に、それまで使用していたお金の価値はなくなるものの
金ならば、価値は変わらない、
その金で新しい貨幣を入手すれば
生活に困ることはありません。

日本のお札、日本銀行券は
我が国の中央銀行である日本銀行が発行しています。
その価値は日本国が保証しており、
もしも、日本という国がなくなってしまった場合は
その保証も失われてしまいます。
アメリカドルの場合はFRB、
ユーロの場合はECBが発行、価値を担保しています。

では、仮想通貨はどこが保証しているのでしょうか?
誰も保証する組織、人はいません。
コインチェックのような業者も
交換取引を行っているだけで
その価値を裏付けてはいません。
強いて言えば「大勢の人が持ち合っている」ことが
その価値の裏付けとなるでしょう。
みんなで持てば怖くないという考え方です。
ただし、米ドルや日本円などのように価値の制御は行われず
そのために、24時間に3割以上の価格変動が起きることになります。

現状、仮想通貨は通貨の体をなしてしません。
本来、通貨とはインスタントラーメンや電車賃のような
ほかの価値ある商品やサービスに交換できる必要がありますが、
価値がこうも不安定ではただの投資先の一つに過ぎません。
一部、仮想通貨での支払いが可能なサービスも登場していますが、
それはクレジットカードなどの決済よりも
手数料が格安だからに過ぎません。

中国で生まれた漢字のうち、
お金にまつわる「財」「貨」「買」など、
「貝」が使われているものが多く、
これは貝が貝貨として貨幣の価値を持っていたからでしょう。
誰かが「この貝はこの魚と同じ価値がある」などと言い出し、
あるいは権力者がその価値を保証したことで
そのコミュニティ共通の約束となり、定着したのでしょう。

ただし、その約束、共通の認識が失われた時
その価値もゼロになるでしょう。
仮想通貨はどうでしょうか。
皆が「これは価値のあるものだ」と主張している理由は
その価値を失わないためです。
失われてしまうと、
自分が持っているその仮想通貨の資産価値も失われてしまうため
そう言い続けることになりますが、
このままではただの投機商品です。

急激な価値変動を抑制する仕組みと
匿名による口座開設の禁止などの
犯罪に利用されない仕組みも必要です。
また、各国家を維持し、
各国国民の生活のために必要な税金を
どのように徴収していくのかといった問題もあります。
これらをクリアしつつ、
それでもまだ「それ」を通貨だという
共通認識があるようであれば
仮想通貨は通貨と呼べるようになるかもしれません。



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