漢字による説教なんてものがあります。
漢字を分解してそこから教訓を語るというもので、
今、思いつくものですと、たとえば「親」という漢字を
「木の側に立って見ている」と解釈。
親のあるべき姿として使われています。
ただ、これは「親」という漢字の成り立ちには無関係で、
この漢字の偏の部分は元々「辛」で、
この場合は柄のある針を意味しています。
この柄付きの針を森の中に投げますと
木に刺さりました。
その木を加工してあるものが作られたそうです。
それが位牌。それも親の位牌です。
旁のほうの「見」はそのままの意味で、
子が親の位牌を見ていることを示しています。
漢字説教は言葉遊びとしてはともかく、
「江戸しぐさ」や「水からの伝言」のように
嘘、デマレベルになっているのではないかと思うこともありますので
注意してください。
ドラマ「三年B組金八先生」で説教に使われたらしい
「人と人が支え合ってる」「人」についても、
これは二人ではなく
一人の人の人間を真横から見た立ち姿の象形です。
その坂本金八を演じた武田鉄矢さんが以前何度か
「世界一受けたい授業」で漢字の起源のお話をされていました。
今回の「ビーバップ!ハイヒール」も
背筋も凍る!恐ろしき漢字のルーツ
と題し、そんなお話でした。
ただ、漢字のルーツは諸説ある場合があり
ほかの可能性もあることは認識しておくべきでしょう。
カシコブレーンは広島女学院大学客員教授の出口汪(ひろし)先生。
東進ハイスクールなどの講師でもあり
大学受験のテキストなどでは多数のベストセラーがあります。
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日本製の国字「辻」のようなものを除き、
ほとんどの漢字は古代中国で生まれました。
よって、その起源はその頃の彼の地の風習が大きく影響しています。
当時の中国もムラが形成され、それがやがてクニとなっていきました。
クニの領域が拡大していくにつれ、
隣のクニとの境界が問題となります。
人々は四方に魔除けを設置。
そうすることで、侵入者を防ごうとしたのです。
この魔除けとして利用されたのが人間の死体です。
竿に吊された死体は
四肢を垂れ下げ腹から折れ曲がります。
その様子を起源とする漢字が
方
これらの死体は領内の東西南北の四方に設置されたため、
吊された死体は方角を知る標識としても認識されていたのでしょう。
古今東西、処刑の方法は様々ありますが
昔の人の感覚は現代人のものと違っていて
戦慄することもあります。
罪人もその対象となりましたが
それよりも多かったのは捕虜のような
敵勢力の人たちだったかもしれません。
秦王朝は約40万人もの捕虜を生き埋めにしています。
そんな処刑方法の一つが生き埋め。
首から下を土中に埋めて放置、
時には耳や鼻を削いだり
首を鋸挽きにしたりしました。
夜間、埋められた大勢の人たちの助命や嘆きの声が夜気に響き渡ります。
こうしてできた漢字が
号
なのでした。
この漢字は生き埋めにされ
身動きできず死を目前にした
捕虜たちの姿。
そう思ってこの漢字を見てみますと
捕虜たちの最期の嘆きが聞こえてくるようです。
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