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止まらない麻疹感染の拡大 ~抗体に自信がないならワクチンを~

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2か月も経たないのに…

まだ「流行」と呼ぶには早いとは思いますが、流行の可能性はあります。はしか(麻疹/麻しん)の感染者が増えています。今回は台湾からの男性旅行者が沖縄で麻疹と診断されたことから始まります。その後、ウイルスは全国へと広がりつつあります。一昨日のデータでは既に100名近くが麻疹と診断されています。

2か月も経っていないのに、この広がり方。人が移動すると感染症は広がるものですが、ちょうど、ゴールデンウイークがあったために、感染拡大が起きたものと考えられています。

麻疹とは? -麻疹の命定め-

麻疹は麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性疾患です。感染経路は風邪やインフルエンザと同じような飛沫感染、だけでなく、結核と同じく空気感染も起きます。ワクチンが一般的ではなかった頃は、家族の誰かが麻疹にかかると、免疫を持っていない人はほぼ全員が感染し、ただ会話しただけでも、同じ部屋にいるだけでもかかる可能性があります。

麻疹といえば誰もがかかるもの。「二度なし病」といわれ、通過儀礼として一度かかっておけば安心できる。そんな考え方も根強く残っています。ただ、命に関わる病気であることは間違いありません。ドラマ版では省かれたと思いますが、村上もとかさんの「JIN-仁-」には江戸時代後期から言われていた「疱瘡の見目定め、麻疹の命定め」という言葉が出てきたと思います。

疱瘡は痘瘡ともいい天然痘のことで、命が助かっても痘痕により外見が大きく変化してしまう可能性があるため「見目定め」、麻疹の場合は言葉通り命が奪われるので「命定め」となっています。昔はなぜ麻疹にかかるのか、どうすればかからずに済むのかがわからず、神仏に頼るしかなく、御札を貼るぐらいしか方法はありませんでした。「JIN-仁-」では、現代医療の知識と技術で、多数の麻疹患者を南方仁が救ったことから「南方大明神」という御札が人気となっていました。
 

極めて強い感染力と恐ろしい合併症

 

現代は麻疹がウイルスの感染によるものだということもわかっていますし、予防のためのワクチンや治療も行われます。ただ、この日本でも0.1%程度の確率で死亡しています。死因で多いのがウイルス性や細菌性の肺炎、ウイルス性脳炎などの合併症で、死には至らなくても、脳炎発症患者の20~40%は中枢神経系の後遺症が出るとされています。

この感染症の極めて厄介なのは、医師でも初期には風邪との見分けがつかないことが多く診断が難しいことで、さらには感染者自身が感染していることに対する自覚がなく、あちらこちらでウイルスをばらまいてしまうことです。上の台湾からの男性旅行者もそんな一人です。

予防にマスクはほとんど意味がありません。感染力はインフルエンザの100倍以上とされ、予防には「2回」の「ワクチン接種」が有効で、これでほぼ完全に予防できます。日本には「1回」のみの接種という中途半端なワクチンしか受けていない人もいて、抗体も中途半端なため、感染してしまいます。

 

しかし、中途半端な抗体があるため、感染に気付くほどの症状は出にくく、家でおとなしくするなどの措置はとらないため、職場や通勤電車で、学校で、旅行先で感染者を爆発的に増やしてしまうことになります。
 

ワクチンは自分がかからないためだけのものではない

1948年に制定された「予防接種法」は12の疾病について集団でのワクチン接種を義務化していましたが、1994年になって「個別」での「推奨」に変わってしまいました。ワクチンに限らず、あらゆる街のドラッグストアに売られているものを含めて、あらゆる医薬品の副反応の可能性はゼロではありませんが、国はこれに及び腰になり、制度を改めてしまいました。国が負うべき責任を、個人に丸投げしたのです。

ワクチンは自分自身がその病気にかからないためのものという認識は間違っていませんが、正しいとはいえません。ワクチンは社会全体に対する予防策です。感染症にかかる人がいなければ、人間由来の感染症にかかる可能性はほぼゼロになります。

ワクチンは自分がその病気にかからないためだけのものではありません。世の中には免疫が充分でなく、ワクチン接種ができない人もいます。その人たちは、今現在のように、麻疹流行の報道があると、怯えて暮らさなければなりません。自分自身では予防に限界があるからです。もしも、パンデミックにでもなれば、抗体のない人は全員がかかってしまいます。間違いなく、死人が出ます。

妊娠中に麻疹にかかると、早産や流産のリスクが高くなります。その確率は感染妊婦の約30%。無視できない割合です。しかも、妊娠中はワクチン接種ができません。麻疹が流行すれば、妊婦も怯えさせることになります。妊娠を希望する女性はもちろん早めのワクチン接種が必要ですが、公衆衛生のため、安心できる社会のインフラとして、身体的要因で接種できない人以外、全ての人にワクチン接種が必要になります。

おそらく、麻疹単独のワクチンは品薄か、ないかどちらかでしょう。現在、現実的に日本で接種可能なのは「麻疹・風疹混合ワクチン」で、通称「MRワクチン」と呼ばれています。接種対象期間を過ぎると有料ですが、費用は1万円前後だと思います。自信がない人はMRワクチンを接種してください。

 

 

 

 

 


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