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毒ではない物質は存在しない - パラケルスス「妊婦は爽健美茶を飲むな騒動」

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22日、こんなTweetが話題になりました。

マタニティマークつけている方が爽健美茶をガブガブ飲んでいたので必死に止めました。カフェインゼロですが爽健美茶、十六茶には「ハトムギ」が入ってます!妊娠初期の方は流産の危険があります!ハトムギは赤ちゃんをイボと同じ異物と判断して身体から排出しようとします!飲むなら麦茶!
#拡散希望


先にお書きしておきますが、
既にコカコーラ社がアナウンスしているとおり、これはデマです。
この方はその根拠としてツムラのヨクイニン(ハトムギ)が原料の漢方薬を挙げ
その「使用上の注意」にある

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい(後略)

を示しました。
昔から生薬のヨクイニンには子宮を収縮させる作用があるとされています。
これが真実だとしても、問題は量です。
販売されている「お茶」に
ハトムギが含まれているものは爽健美茶だけではありませんが、
いずれもごく微量であり、妊婦や胎児に影響するものではないでしょう。

このTweetには「#拡散希望」のハッシュタグがあり、
実際に多数のRetweetがありました。
ただ、薬剤師の方などの反論が示され、
このデマは収束へと向かいました。
元のTweet主は善意で広めようとされたのでしょうが
時に始末に負えなくなるのが

善意を動機として拡散されるデマです。
これは福島第一原発事故後の放射線の問題でも同じですね。
それがどれだけの量なのかが重要であるのも共通です。

全ての物質は毒であり、毒ではない物質は存在しない
その量が毒であるか、そうでないかを決める


短い言葉で「毒」というものの本質を説明した言葉で
毒性学の父とされる16世紀の化学者・パラケルススの言葉です。

全ての物質は毒。そう考えて差し支えないでしょう。
私たちの体には塩が欠かせませんが、
塩分の摂りすぎは高血圧症、腎機能障害などを招きます。
水だって低ナトリウム血症などの「水中毒」に、
酸素だって酸素中毒の可能性があります。

先日、福島市JR福島駅近くに禍々しい呪いの像「サン・チャイルド」が設置され
防護服と線量計らしきものが話題となっていますが
線量計がゼロの値を示していることなども批判されました。

今でも本気で放射線("放射能"という言葉を使いたがる)は
ゼロでないといけないとしている人もいて
ゼロでないから福島は危険なんだと叫び続けています。

これに「自然放射線があるからゼロはありえない」と反論されると、
次に出てきたのが内部被曝です。
放射性物質に汚染された食物による体内での被曝ですね。
これも説明は簡単です。
普段食べている食物からも放射線は放出されています。

天然のカリウムの中には微量のカリウム40が存在しており。
カリウム40はベータ線を放出しています。
カリウムはカリウムは生物の必須元素ですから、
当然、私たちもそれを口に入れていることになります。
つまり、私たちは常に内部被曝しているともいえますが
実際、その程度の量の放射線で悪影響がでるはずはありません。
その例となるのがこの商品です。

 

 


食塩は塩化ナトリウムですが、
味の素社か販売しているこの「やさしお」は
減塩したい人、腎臓疾患の人などのために
塩化ナトリウムを塩化カリウムに置き換えています。
同様の他社製品もありますね。

 

 


これだけ普及している商品なのに、
使用者に消化器系のがん多発の報告はありません。
問題は「量」なのです。

騒動の元のTweet主が勧める麦茶だって、
カリウムの利尿作用により飲み過ぎれば
身体が冷えすぎてしまうかもしれません。
大量に飲まなければ問題ありませんが、
考えられないほど大量に飲んだ場合、

どちらが妊婦に悪影響を及ぼすかといえば
麦茶のほうかもしれません。

放射線も物質もそれが「あるかないか」だけでなく
より重要なのは「どれぐらいの量なのか」です。
パラケルスス曰く、

その量が毒であるか、そうでないかを決める

のですから。

 

 


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