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誤解が多い緩和ケア ~診断された瞬間から始まる心身の苦痛のケア~

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本題に入る前に

https://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12442441087.html

こちらでお書きした男性乳腺外科医が準強制わいせつ罪で起訴され、
東京地裁が無罪判決を下した件で
東京地検が判決を不服として控訴する方針であると報じられました。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190302-OYT1T50066/

東京地検にはせん妄による幻覚である可能性を否定できる
新しい材料でもあるのでしょうか?
現時点ではまだ、読売以外の報道を見つけられませんでしたが、
注目したいと思います。


さて、先週堀ちえみさんが口腔がんを公表され、
手術は無事終了とのこと。

各メディアによると、彼女は当初「緩和ケア」を考えたものの、
ご家族のことを考えて緩和ケアではなく、治療する道を選んだとしています。
元々は「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」から出た話のようですね。

「緩和ケア」という言葉の意味は
なかなか正しく認識されていないようで、
当たり前のことを当たり前に説明する仕事の私も
何度かこの「緩和ケア」という言葉の意味するところを説明してきました。
こちらでもお書きしておこうかと思います。

正確には「緩和ケア」というケアが行われるのは
がんに限ったものではありませんが、
ここではがん患者に対する緩和ケアのお話をお書きします。

緩和ケアは患者が感じている痛みやつらさを
和らげるために行われるケアのことをいいます。

日本緩和医療学会の定義では

緩和ケアとは、重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体や心などの様々なつらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケア

としています。
ここには患者だけでなく、その家族も含まれ、
身体的な苦痛だけでなく、
精神的苦痛もケアの対象になるというのも重要です。

ここには積極的治療に対する姿勢は関わってきません。
世の中にはがんの根治を目指すことができない人がいて、
そういう方「も」緩和ケアを受けています。

しかし、緩和ケアは初期のがん患者も対象になります。
タイミングもがんと診断された瞬間から
原理的には緩和ケアの対象だといえます。

がんにかかると病気そのものの苦痛に加え、
手術、抗がん剤などの薬物療法、放射線療法と、
患者は苦痛を抱えることになります。
また、精神面でも大きなストレスがかかります。
それらの苦痛に対して行われているのが緩和ケアなのです。
身体的苦痛に限っても、
吐き気や呼吸が苦しいといった「痛み」ではない苦痛も含まれます。

そこに積極的治療を行うかどうか、
社会復帰を目指すかどうかは関係ないんです。
実際に堀ちえみさんがどのようにお話しになったかはわかりませんが、
「緩和ケアではなく治療することにした」ということはあり得ません。
積極的治療の意思がある人も
積極的治療を行わない人も緩和ケアを受けることになります。

緩和ケアに関する誤解では「医療用麻薬」についても
正しく認識されていないように思います。
医療用麻薬で最もよく知られているのはモルヒネかでしょうが、
「モルヒネは医者が治療を諦めたということ」
「モルヒネは最後の手段」
「モルヒネは中毒になる」「モルヒネは寿命を縮める」などといわれますが、
モルヒネは一般に医療現場で使用されている鎮痛薬です。
痛みがある状況で正しく使用すれば
依存症になることはないとされています。

いつ自分や身近な人が緩和ケアを受けることになるかもしれません。
どのような治療方針にせよ、
緩和ケアに対する誤解が原因で、
無用な苦痛を抱えないようにしましょう。

 


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