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それは統計学の「n=1」ではありませんか? 医療・健康・美容の謳い文句

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医療や健康、美容などの書籍紹介の文章を作ることがあります。
推薦文ではないので
「ぜひ読んで」というようなスタイルにはならないのですが
それでも、あまりに酷いものは採り上げないようにしています。

今日も何本か作っていたのですが、
事前にある本の記事を書こうと思っていたものが、
よくよく調べてみると、
その著者がオプジーボを使用した患者の死亡例の報告を
鬼の首を取ったようにFacebookでコメントしていて、
さらに調べると何のことはないただの「トンデモさん」でした。

しかも、その著者が代表を務めている「研究所」とやらの名前が紛らわしく、
医学部でも有名な某大学の関連組織であるかのような印象です。
書籍自体はファスティングについて書かれているもので
それ自体はさほどおかしくないかもしれませんが…
ただ、この著者、全国の企業や団体で講演を繰り返していて、
教育委員会主催のものも多く、
我が寝屋川市の教育委員会の講演会にも出ていました。
何を喋ったのでしょうか?
この間もお書きした多摩消費生活センターの件もありますし、
ろくでもないことでなければいいのですが。

トンデモの書籍といえば、
勉強のためにも書店の医療や健康、美容など売り場に行きますが、
やたら目につくのがクズ医師・近藤誠のもの。
反医療の医師で、彼の本のおかげで
どれだけ死なずに済んだ人が死んだことでしょう。
彼の経歴を見れば、おそらく、自説が正しくないことは理解しているはずで、
正しいと思うなら、一般向けの書籍ではなく、
専門書として出版し、その前に論文を発表しているはずです。
それができないのは、嘘だということを自覚しているからでしょう。

さらに彼はある有名人が亡くなった時に、
診察の様子や病状など、患者の情報を月刊誌で公表しました。
彼が語った内容が真実なのかどうかは、
故人と近藤誠以外知り得ません。
クズですね。
そんなクズ医師の本が常に平積みか面出しの状態で並んでいるのを見ると、
この男がいかに藁にもすがりたい人の命にダシにして
金儲けをしているかがわかります。

この近藤誠ほどではないにしても、
書店などには胡散臭い文言が並んでいます。
広告でもそうですね。
医療や健康、美容の分野の煽り文句は
無意味なだけならともかく
生命や健康に関わる場合がありますので
注意が必要です。

科学のリテラシーがある人は
「n=1」は「n=1」に過ぎないということを理解しています。
前回、私はアンクルウェイトの体験談をお書きしましたが、

アンクルウェイトがなかなかいい感じ めんどくさがりおすすめ -広義でいうところのダイエット中-
https://ameblo.jp/thinkmacgyver/entry-12459806103.html

その中でお書きしたように、
私の体験は所詮「n=1」のお話です。

統計学ではこの「n」は母数の中のサンプル数を表し、
つまり、集団の中のたった1人がそういう体験をしたからといって
他の人が同じことをしても
同じ体験をするとは限らないということです。


いつぞや、「美味しんぼ」で雁屋哲が
福島で鼻血が出た話を出していて
「ホウシャノウガー」と煩かったですが、
所詮「n=1」のお話です。
それに福島ではほかにも鼻血が出た人がいるでしょうが、
福島以外のほかの地域でも鼻血が出ている人は珍しくないでしょう。

広告では「個人の感想です」という微小な「打ち消し」の文字が表示されますが、
面白いことに、人間にはそうとわかっていても、
なんとなくそれが真実に思えてくる場合があります。

CMの出演者にはギャラが出ていて、
だから、本当か嘘かもわからないような体験談を語っているんだと思いつつも
「もしかして」「これは期待できる」と思うことがあるようです。

「あの人は○○を食べている」と「あの人はやせている」が真実だとしても、
○○を食べたからといってやせられるという訳ではありません。
世の中にはきっと○○を食べていても太っている人がいることでしょう。

原因と結果の混同もよく見られます。
もしかすると、その人はやせているから○○を食べているのかもしれません。
また、相関関係があるからといって、
そこに因果があるともいえません。

「私は××でがんが治った」という人がいる場合、
標準治療を受けずに××という代替療法を行って
死んだ人もいることでしょう。
そういう人の意見が届けられることはあまりありません。

そのほか、意外に気付きづらいのが
「n」がある程度の数が見られる場合。
「2万人のダイエットを成功に導いた」という人がいた場合、
その数の客観性や信憑性は脇に置いておくにしても、
もしかすると、その人の指導を途中でやめてしまった人も
それなりにいるかもしれません。
やめてしまった理由は何でしょうか?

「私のまわりではみんなこの方法でダイエットに成功している」の場合、
まわりの人がみんなその方法でしかダイエットをしておらず、
上手くいかなかった人は
付き合いをやめてしまっているのかもしれません。

実際にこういった謳い文句を並べる場合、
それが正しくないことを理解していながら、
その謳い文をつけている場合も多いかと思います。
「騙す」までは至らなくても、
謳い文句の多くは過剰に書かれるものです。

わかっていてもこの種の謳い文句や体験談には
釣られてしまう可能性があるということだけは認識しておきたいです。

 

 

 

 

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