年末からなんだかんだと仕事をしております。
丸一日休みだったのは大晦日ぐらいで、
年末年始、毎日、少量ずつながら何かしらの記事を作っておりました。
その中で「マタ旅」のリスクについて記事も作りました。
本来「マタニティ」は母、妊婦、産婦を指しますが、
日本においてはほぼ妊婦のことを指すようです。
その妊婦の旅行が「マタ旅」で、
数年前に有名女性タレントが勧めたことでも話題になりました。
妊娠中は何が起きるかわかりません。
「もう安定期だから」という意見もありますが、
安定期は安全という意味ではありません。
一応、産科用語に「安定期」という言葉はあります。
妊娠5か月以降になると「母体のホルモンの状態が安定」、
つわりが落ち着き、
心身ともに安定することが多いので、
そう呼ばれているようです。
安定期だから安全だということではなく、
妊娠中はいつ何らかの異変があっても、
すぐに産科で診てもらえる場所にいないといけません。
かかりつけの産科から遠く離れる場合でも、
行き先で診てもらえそうな産科が必要になります。
産科医の中には安定期という言葉を使わない人もいるのです。
旅先で診てもらえる産科のあてのない状態は
母胎ともに危険でありますが、
それだけではなく、特に海外ですと金銭面でも
人生を破綻させる可能性を含みます。
2017年、沖縄旅行中の台湾からの観光客が
妊娠7か月の早産で884gの男児を出産したという出来事がありました。
医療費の請求は600万円弱。
低体重ということで新生児集中治療室(NICU)への入院が必要で、
この時は琉球華僑総会と台北駐日経済文化代表処などが
支援金を提供することで何とかなったようですが、
おそらくは、その後もしばらくは沖縄を離れることはできなかったはずで、
医療費はさらに必要になったことでしょう。
これは日本での事例。
全額負担の自由診療にしても、日本はまともで、
これがアメリカであれば、こうはならないでしょう。
新生児がNICUに入院したとすれば、
数千万円の覚悟が必要となるかもしれません。
事例としては、1か月あまりのNICUで
1億円超の請求例があります。
旅行者に限らず、アメリカには国民皆保険制度がありませんので、
民間保険が頼みの綱となりますが、
アメリカの医療費は資本主義を反映した市場モデルのみで成り立っていて、
日本では法外と思えるような請求になってしまいます。
海外旅行保険は補償範囲が様々で、
クレジットカードに付帯しているような保険ですと、
妊娠に関連する異常には適用できないことが多いようです。
周産期以外でもアメリカでの医療費は大変で、
国民を困らせています。
たとえば、糖尿病患者の中にはインスリン注射製剤が必須の場合がありますが、
日本では、全額負担で月のインスリンの費用が1万5千円程度、
診療や自己血糖値測定などを含めても4万円程度なのに対し、
アメリカではインスリンだけで25万円なんてことも珍しくありません。
あまりにも高価なので、カナダへインスリンを買いに行くなんて人も。
妊娠中の旅行はお勧めできませんが、
そうではなくても、海外旅行では海外旅行保険でどこまでカバーできるのか
しっかりと確認しておいたほうがよろしいかと思います。
たまたま、骨折してしまっただけで、
数千万円請求されてしまうなんてこともあるかもしれませんので。
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海外で病院にかかることの恐怖 特にアメリカの危険度は別格
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