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PCR検査を希望者全員に? 無意味で混乱を招く上にそもそも不可能 -新型コロナウイルス-

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いよいよ、新型コロナウイルスによる世界経済への影響が本格化してきました。
日本はまだ、経済対策をしたという話は聞きません。
麻生太郎財務大臣は
「今すぐの追加経済対策は考えていない」とか言っています。


ここのところ、ずっと報道などにおける
新型コロナウイルスの報道をぼやいていますが、
皆が皆、肺炎になるわけではありませんよ。

テレビ画面で「新型肺炎 新たに○○県で○人」と文字が出ているのを見ました。
いや、違うでしょ。
いくらなんでも新型肺炎の患者数ではないと思い、
アナウンサーの言葉をよく聞いてみると、
感染者数が○人という話でした。
文字数の制限か何かは知りませんが、
制作者の頭がおかしいのか、煽りたいだけのクズなのか
まったく呆れてしまいました。

さて、ネットのほうも煩く、
Twitterなどでも
「希望者全員にPCR検査を受けさせないのは何かを隠しているからだ!」
「保険適用しろ!」

という論調が目立ちます。

少し調べればわかることを
知ろうともしないでぎゃあぎゃあ騒ぐのは
福一事故の時と同じです。
「ホウシャノウガー!ホウシャノウガー!」と騒いで、
後になって「議論に一石を投じることができた」など言う連中がいますが、
事実でない風評を広げ、福島と日本に被害を与えたんです。
騒ぐ前に調べましょう。考えましょう。

希望者全員へのPCR検査ですが、
結論を先にお書きしておきますと

無意味です。

混乱を招きます。

不可能です。

ということになります。

PCR検査はウイルスの遺伝情報があるRNAを確認する作業です。
患者の喉などから採取した検体に
そのウイルスの遺伝情報が含まれていないか
RNAを増幅させて、陰性か陽性かを判断します。

どこの医療機関でもできるというものではなく、
研究機関を含めても限られた施設でしか行えません。

インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの比較では、
検体に含まれるウイルスが少なく、
その割合は1/100~1/1000とも言われています。
仮に「陰性」となった場合でも、
症状が出るなどしてあらためて検査したら「陽性」だったというケースもあります。
PCRでの検査に高い精度は期待できないため「陰性」になろうとも、
自分は大丈夫なんだ、と安心できるものではないんです。

どのような検査でも、それは当事者の利益になるものであるべきです。
現状、無症状者に対するPCRはそれに適わないでしょう。
また、社会的利益をもたらすかといえば、
それもないでしょう。
それどころか、害をもたらす可能性もあります。

本当は陽性と出るべきところ、
「陰性」となってしまうことを「偽陰性」といいます。
同様に本来なら陰性となるべきなのに、
「陽性」と出てしまうことがあり、これを「偽陽性」と呼んでいます。
あらゆる検査にはこの「偽陰性」と「偽陽性」の問題が付きまといます。

実は乳がん検診のようながんの検診でも偽陽性の問題があります。
ただ、がんの場合、特に乳がんは進行が早く、
もしも、本当にがんだったら生命に関わりますので、
偽陽性の可能性を踏まえても、
定期的な乳がん検診が推奨されています。
それが当事者の利益になるからです。

一方、甲状腺がんは無症状者に対する検診は推奨されていません。
「偽陽性」ではなく陽性だとしても甲状腺がんは進行が遅く、
放置しても生命やほかの臓器に影響を与えないことが多いため、
症状がない限り、検診をするべきではないとされています。

当事者の利益になりません。
よって、福島で行われているスクリーニング検査は
ただちに終了すべきです。

新型コロナウイルスに対するPCRの場合、
「陽性」と出てしまった時、どうするべきでしょうか?
たとえPCRで「陽性」でも、症状やCTなどから確定診断を行う必要があります。
隔離されることでしょう。

国内の皆が皆、「偽陰性」と「偽陽性」について知っているとは思えず、
確実に社会生活において混乱をもたらします。
社会的に非常にデリケートな問題として考えるべきです。
さらにただ単に「陽性」となった無症状、軽症の人のために
医療機関が労力を割かなければならなくなると、
それこそ、本来必要な重症者のケアができなくなります。
医療機関のリソースは有限なのです。

それに、何度も繰り返していますが、
本当に感染していたとしても、
軽症であれば、できることは限られています。
風邪やインフルエンザと同じように、
自宅で大人しく栄養と休養を重視して生活することが重要です。
もちろん、家族などへの感染管理は必要となりますが、
最初にお書きしたように、「感染」=「肺炎」ではないんです。
もちろん、「感染」と「死」の間には大きな距離があります。

 

極端な話、肺炎となった場合でも、

新型コロナウイルスが原因とわかったところで、

感染管理上の注意は必要ですが、

治療面においてはほかのウイルス性肺炎と同じ対応になるはずです。


念のためにお書きしておきますと、
「新型コロナ ○○県で死者」
などと報じられますが、
心疾患や糖尿病などの基礎疾患がある人については、
当初から注意喚起が行われており、
それらの疾患がある人については、
新型コロナウイルス感染ではなくても、
風邪でもインフルエンザでも
多くの感染症が脅威となり得ます。
今日も昨日も、日本のどこかでインフルエンザにかかり、
それに関連して命を落としている人がいるのではないでしょうか。
しかし、
「インフルエンザ ○○県で死者」
などとメディアは報じません。
見えていないだけで、日々亡くなっているのです。


「安心のために希望者全員にPCR検査を」

という意見は間違いです。
PCR検査における「陰性」では安心は得られません。
自分は大丈夫なんだと安心してしまう人が出てくるとすれば、
感染拡大防止の効果も薄いでしょう。
逆に「陽性」と出てしまった場合に害をもたらすおそれがあります。

現在、各国で新型コロナウイルス感染に対する簡易検査キットの開発が

急がれています。
一部では実用化されているとされ、
インフルエンザではおなじみの簡易検査キットですが、
日本で実用化されても、PCRよりもさらに精度が低いものとなるでしょう。

実際に希望者全員にPCR検査ができるのかという点でも疑問です。
この大騒ぎを見ていますと、
任意だとしても、従業員全員に検査を求めてくる企業が出てくるかもしれません。
何しろ、「インフルエンザ治癒証明書」なんていう
無意味なものを求めてくる企業や教育機関があるぐらいです。
従業員は断れないのではないでしょうか。
すると、膨大な数の検体が持ち込まれることになり、
いくら対応能力を増強するとはいっても、
不可能になるのではないでしょうか。

それに、「安全だけではなく安心を」がいかにコストを要するものかと。
築地市場から豊洲市場への移転で
小池百合子東京都知事がこう言い放ち、
しなくてもいい工事、

業者への毎日の補償などで数千億円単位での損失を生みました。

希望者全員へのPCR検査にどれだけのコストがかかるかわかりませんが、
巨額と莫大な手間がかかることは想像できます。
「保険適用しろ!」
となると、それ、税金で行うんですよ。
無制限な「安心」に天井はありません。


 


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