また、例の如く新型コロナウイルス関連の話題ですが、
その前に「なるほど」と思った記事をご紹介しておきます。
皮膚科専門医から、アトピーの子をもつ親へ。
どうか「かいちゃダメ！」って言わないで。
https://diamond.jp/articles/-/230024
京都大学特定准教授で皮膚科専門医、がん治療認定医、
医学博士、コラムニストの大塚篤司先生による記事です。
大塚先生は医学部受験の頃にストレスから、
脱毛症を経験されたそうで、
さらに幼少期には喘息を経験されているようです。
子どもの頃、「喘息になったのはあなたのせいだ」と
お母様を責めたそうで、間違った考えなのですが、
少年時代の先生はそう思い込んでおられた様子。
発作の時、寝ずに背中をさすってくれたお母様を
今でも感謝しているとお書きになっています。
もし、あなたがアトピーのお子さんを持ち、苦しんでいるのなら、どうか自分を責めないでください。もしかしたら、子どもの頃のぼくのように、お子さんがあなたを責めるかもしれない。でも思春期が過ぎ、大人になれば、両親が注いでくれた愛情に気がつきます。どうか、子どもの皮膚ではなく、心を見て育ててほしいと思います。
と仰います。
アトピー性皮膚炎の場合、
「かいちゃダメ！」なのはわかっていても、
かいてしまう。先生の場合、
「抜いちゃダメ」と叱られても抜いてしまっていて、
髪を抜くクセは治らなかったそうです。
先生はクセの対処法として
「他のクセに置き換える」「最悪の状態を避ければOK」などを提案されています。
ご自身の体験と皮膚科専門医としてのアドバイスになります。
後者の場合、アトピーでは
「爪でかくのはダメでも指の腹ならいいことにする」という妥協案です。
その代わり、爪はこまめに切ることを忘れないようにとのこと。
このページは平たくいえば先生の新著のPRです。
なかなか好評のようで早々に重版されたそう。
間違った情報が蔓延し、
アトピーを食い物にするアトピービジネスが後を絶ちません。
ぜひ、正しい情報に接していただければと思います。
 | 世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方 1,750円 Amazon |
さて、新型コロナウイルスでも正しい情報が必要です。
新型コロナ 心臓、肝臓、脳にも異常 中国が病理診断
https://www.sankei.com/life/news/200304/lif2003040067-n1.html
産経新聞のこの記事はどうでしょう？
米国国立衛生研究所(NIH)内アレルギー感染症研究所(NIAID)で
病理医として活動されている研究医の峰宗太郎先生のtweetがたいへん勉強になります。
https://twitter.com/minesoh/status/1235611019352739841
亡くなられた方の病理解剖をされることもある峰先生ですが、
たとえば、心筋梗塞で亡くなられた方の場合でも、
心臓以外の様々な臓器に所見が見られるとしています。
当然ですよね。
心不全が起きていますので肝臓が腫れたり肺に血液が溜まったりします。
腎臓も膨張、人工呼吸器を使っていれば、
脳にも影響が出ている場合もあるそうです。
産経の記事では、新型コロナウイルスが
あたかも心臓、肝臓、脳にも異常を引き起こすかのように書かれています。
でも、新型コロナウイルスに感染し、
残念ながら亡くなられた方も、突然亡くなられたはずはなく、
闘病の末、亡くなられているはずです。
亡くなられた方の全身の臓器に
異常が見られるのは当たり前といえば当たり前なのでしょう。
また、従前から糞便中や尿中にもウイルスが確認されている件についても言及。
インフルエンザや麻疹、ヘルペスウイルスなどでも起きているとのこと。
炎症が強く出る感染症の場合、免疫系の異常が認められることも多く、
何も新型コロナウイルスに限った話ではないようです。
産経の記事だけ読めば、このウイルスが
インフルエンザウイルスなどよりもはるかに恐ろしいものだと
誤認されるかもしれませんが、
病理診断の一部を切り取って報道するのは危険です。
加えて、峰先生から話は離れますが、
日本での死者が少ないことについて、
「検査していないから」などという意見もあります。
この大騒ぎで原因不明のウイルス性肺炎で亡くなった場合には、
概ね検査が行われています。
数例程度が漏れている可能性は否定しませんが
そもそも、原因不明のウイルス性肺炎で亡くなっている人の数は、
増えていないとのこと。
韓国が医療崩壊の危機にあります。
マス・スクリーニングの無闇なPCR検査を
ドライブスルーのような
衛生管理ができていない場所、人員による実施で
感染者を増やした可能性もあります。
マスコミは「希望者全員にPCR検査を」と言い続けていた手前、
この事実とその原因を報道できずにいます。
「韓国を見習え」「韓国にできることがなぜできない」
と言い放っていたコメンテーターもいましたし。
その中には少なくとも3名の医師が含まれています。
残念ながら、日本においても、
感染者数の増加はもう少しありそうです。
ただ、ずっとお書きしているように
新型コロナウイルスによる感染症は、
やや肺炎になりやすいといえるかもしれませんが、
インフルエンザよりもやや危険という程度のものでしょう。
油断するべきではありませんが、
過剰な反応は判断を誤らせます。
国としてデータを示し、国民の生命を守るためにも、
経済活動の再開について、
その目処と時期について考えを発表してほしいと思います。