前回、マスクなどの着用による熱中症のリスクについてお書きしましたが、
マスクは喉を乾燥させにくくするという効果があります。
この効果はこれまで、ほぼポジティブな影響でしたが、
これからは
喉が渇きにくいので水分補給のタイミングがわかりづらい
というネガティブな影響についても認識しておく必要があるようです。
喉が渇いたという自覚がなくても、
人間は環境や時間経過により徐々に脱水に近づいていきます。
かねてより熱中症予防では、
喉が渇く前に水分補給を
といわれてきましたが、今年は特に注意が必要です。
また、そこが人ごみではない、
誰とも話さないという状態が続くと予想されるのであれば、
マスクを外してもよいかと思います。
短期間ならともかく、これから長く、
このような生活が続きます。
合理的な判断が必要でしょう。
さて、新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の葬儀が特殊なものとなっています。
志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなった際に報じられましたが、
遺体は納体袋に入れられ、
棺桶は蓋に目張りされ、窓も開かないようになっていることが多いようです。
新型コロナウイルス感染症の闘病では
家族が面会できないことも多く、
最期の時、さらに亡くなっても対面できないというのは、
遺族に苦痛と後悔を生じさせます。
新型コロナウイルス感染症でなくても、
人が亡くなると、遺族には苦痛と後悔の感情が生まれるものですが、
生前から対面できていない、
死後も対面できないのであれば尚更です。
新型コロナウイルスがどのようにして感染するか、
2月からの4か月間でさんざん学んだかと思います。
感染経路は感染者の飛沫が口、鼻、目などに入る、
飛沫が手に付着し、物を介して他者の手に付着、口、鼻、目などに入る、
エアロゾル状の飛沫が口、鼻、目などに入るというものです。
遺体の場合、従来どおりの処理が行われていれば、
遺体から飛沫が飛散することはありません。
遺体は呼吸をしませんので、
エアロゾルが拡散することもありません。
生きている私たちより、感染させるリスクは低いのです。
しかも、遺体からの感染リスクは、
生者が制御できるものです。
まだ、新型コロナウイルスについてわからないことが多かった頃なら、
仕方がない部分もあったと思います。
しかし、世界中で研究が進み、データが揃っている中、
いつまでも不合理な葬儀で遺族の苦しみを増幅させるべきではありません。
新型コロナウイルスではなくても、
葬儀に関わるプロは常に感染症のリスクを考えて対応しているはずです。
目の前のご遺体が実は肝炎ウイルスを持っているかもしれない、
そういうことを想定しての対応となっているはずなんです。
その知識があれば、充分ではないかと思います。
仮に納体袋が必要だとしても、
顔の部分は透明に、棺桶の窓に内側から透明な板を張ればいいでしょう。
それで遺族は対面できるはずです。
むしろ、葬儀により人が集まることのほうが問題で、
遺族は感染者である故人と濃厚接触者である可能性があり、
葬儀でそれ以外の人と交わることのほうが高リスクかと思います。
厚生労働省のこちらを確認する限り、
新型コロナウイルスに関するQ&A(関連業種の方向け) - 3 遺体等を取り扱う方へ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou.html#Q3-1
そこまで不合理な処置を求めていないように見えますが…
ただ、24時間以内の火葬については疑問があります。
「墓地、埋葬等に関する法律」では、死後24時間以内の火葬を禁止していますが、
新型コロナウイルス感染症で亡くなった方については、
「24時間以内に火葬することができる」としています。
ただ、これも「できる」であって、
「しなければならない」ではありません。
国は早急に、感染者が亡くなった後について
「しなければならない」ことと「しなくてもよい」ことを明確にした
ガイドラインを公表すべきです。
実は4月上旬に何かしらのガイドラインを出しているはずで、
サイトに跡地はあるものの、現状ではアクセスできないのですが…
上記ページは「令和2年4月15日時点版」で、
現在、既に判明している点が反映されたガイドラインが必要です。