新型コロナウイルス関連で、早くなんとかしてほしいと思うのが、
「新型コロナウイルス」という呼び方ですね。
いつまでも「新型」であるはずはありませんし、
「2019新型コロナウイルス」「SARS-CoV-2」と呼ぶのは実用的ではありません。
どちらも発音している人を見たことがありません。
後者は「サーズシーオーブイツー」と発音するのですが、
聞いたことはありません。
比較的知られている「COVID-19」は、
「コービッド(コビッド)・ナインティーン」ですが、
こちらは新型コロナウイルス感染症のことであって
ウイルスの名前ではありません。
世界中で大騒ぎになってから、
一部でウイルスの名前を「武漢ウイルス」、
その感染症のうち肺炎を「武漢肺炎」
と呼ぶべきだという意見がありますが、
ヒトの新興感染症の名称に地名は使えないというルールに反します。
私もこのルールには賛成で、
たとえば、水俣病は感染症ではありませんが、
地名がつけられたことで、
その被害に遭われた方に加え、
地域住民やゆかりがある方々も差別に遭いました。
よって、地名以外のものを名前とすべきですが、
「SARS-CoV-2」「COVID-19」ではどうなのでしょう?
私も仕事で字数の関係上「コロナ」としなければならないケースも多く、
ただ、ずいぶん前にお書きしたように、
「コロナウイルス」はかつてのコロナウイルス科、
オルトコロナウイルス亜科に属するウイルスの総称で、
ヒトに感染を起こすコロナウイルスは風邪の原因となる4種に、
SARSのSARS-CoV、MERSのMERS-CoVの6種が既知で
新型の「SARS-CoV-2」が7番目のコロナウイルスになります。
だから、「コロナ」「コロナウイルス」という呼び方は適切ではないのですが…
さて、大阪府の吉村洋文知事が全国初となる
DNAワクチンの人への投与・治験を始めると発表しました。
開始は30日からで、行政からこういう発表があるのは異例です。
新型コロナウイルスのワクチンについては、
できる限り多くのラインで研究されるべきだと思います。
特に国内であることが重要で、
海外で開発されたものは、どうしても自国優先になりますし、
特に中国がこの分野で先鞭をつけ、
中国製が普及してしまいますと、「ワクチン外交」が成立してしまいます。
「ワクチンをあげるから」「ワクチンを売ってあげるから」と
理不尽な付帯条件を呑ませる事案が予想されます。
ただ、大阪の30日からというのはどうでしょう?
さらにまずは市立大学医学部附属病院の医療従事者に投与をするといいます。
どう考えても、危ないですよねえ。
アンジェス株式会社は4月14日のリリースで、
大阪市立大学医学部附属病院と新型コロナウイルス予防ワクチン開発に係る連携に関する協定書締結のお知らせ
https://www.anges.co.jp/pdf.php?pdf=oaqkkBlptiZT0DDF6J8QlcY41kMIkqXa.pdf
というものを発表していますが、
6月18日には
6月16日および17日に、新型コロナウイルス感染症向けワクチン開発についての一部報道がございましたが、弊社から発表したものではありません。
発表すべき事項がある場合には、速やかに開示を行ってまいります。
https://www.anges.co.jp/blog/?p=800
としています。
吉村知事の発表が拙速に過ぎたということなのでしょう。
DNAワクチンとは何ぞやという話なんですが、
3月ぐらいから新型コロナウイルスに対する開発が進められていて、
当時、聞いていた話は、
これまでもDNAワクチンの研究は進められていて、
ただ新しいがゆえに認可に時間がかかり、
それが認可される前に従来型のワクチンが認可され、
実用化には至らなかった、というものでした。
従来のワクチンは主に鶏卵を用いて生産されますが、
何しろ時間がかかります。
インフルエンザワクチンで、
流行するであろう型の予測に基づいて行われるのは
量を揃えるのに時間がかかるからです。
DNAワクチンの場合、病原体を構成する成分のDNAをワクチンにしたもので、
筋肉注射により、体内でたんぱく質が合成され、
そのたんぱく質に対する免疫が作られるという作用になります。
上記のアンジェスのリリースによりますと、
DNAワクチンは、危険な病原体を一切使用せず、安全かつ短期間で製造できる特徴があります。対象とする病原体のたんぱく質をコードする環状DNA(プラスミド)を接種することで、病原体たんぱく質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与します。弱毒化ワクチンとは異なり、病原性を全く持たないため、安全です。
と説明されています。
とはいえ、これまで使用されてこなかったタイプのワクチンであり、
何が起きるかわからないと思っておいたほうがいいでしょう。
ワクチンを含めた医薬品とはそういうものです。
急がれるワクチン開発ですが、
治験というより人体実験かと思えるような投与は行うべきではないでしょう。
なお、DNAワクチンは次世代型ワクチンとして感染症だけでなく、
がん、アレルギー、自己免疫疾患、高血圧、糖尿病、
アルツハイマーなどでの開発も期待されています。