『JIN-仁-』を読み終わりました。
ここのところ、漫画ばかりを読んでいて、
これまでに少なくとも3回は読んでいたのが『JIN-仁-』。
ドラマのほうは年1回は見ているような気がしますので、
すっかり記憶がドラマ版に占められていましたが、
あらためて、その違いに気付かされた次第です。
始めて気付いたのは、ドラマ版のオリジナル「友永未来」の名前。
原作の南方仁には医学生時代「友光」「菊永」「杉本」という仲間がいて、
その時の雑談からペニシリンの製造方法を思い出すわけですが、
ドラマ版ではこの役割を「友永未来」が担っていて、
その名前が仲間のうち2人を合成したものだとわかりました。
原作では南方仁に婚約者がいて、連載開始すぐに指輪を突き返されていて、
このあたりから「友永未来」が作られたのでしょう。
ドラマ版は原作のキャラクターを再配置していて、
そして、パラレルワールドという設定もあったことから、
原作とドラマはそういうものだと理解できます。
なお、原作には野風の4代後の医師であるマリー・ルロンが出てきます。
『コウノドリ』の最終巻が発売されました。
前巻では救命に転科した下屋医師が産科に帰ってきて、
幕を閉じる下準備が伺えましたが、
最終刊では、助産師・小松の今後、
ペルソナの周産期医療などが描かれ、
最後のエピソードとして、白血病が発覚した妊婦が登場します。
鴻鳥サクラが産科医を志したひとつの理由は、
「母を救うため」だったのではないかと思います。
子宮頸がんを患い、妊娠を継続できなくなるため治療を拒否した母。
自分を産み、その引き換えに亡くなった母。
今回、妊娠の継続と、白血病の治療という難しい選択がありました。
時代を動かした周産期医療漫画『コウノドリ』、
ぜひ、お読みください。
少し前に聞いた書籍の流通の話では、
発売中の『鬼滅の刃』全巻がことごとく品切れで、
今は少し改善しているとは思いますが、
今、オリコン週間コミックランキングの最新のものを見てみますと、
1位から22位まで全て『鬼滅の刃』。
『鬼滅の刃』の最新刊は22巻です。
私は感覚的に好き嫌いが激しく、
特に視覚、聴覚、触覚には寛容性がありません。
ただ、『JIN-仁-』にしても『コウノドリ』にしても、
好きな絵ではありませんでした。
『鬼滅の刃』では、これに加えて、
「人名が読めない」「覚えられない」という問題があり、拒絶していました。
ただ、ご多分に漏れず、フジテレビ系で2週にわたって放送された
計4時間がとんでもないアニメでしたので、
あらためて通読。
この時の放送や、映画で初めて『鬼滅の刃』に触れ、
原作を読みたくなり、今、馬鹿売れが続いているのでしょう。
連載漫画は人気が出ると、とかく引き伸ばそうとしてきます。
話の途中に本戦とは関係のない話を挿し込んできたり、
無理矢理、ストーリーを続けたりしようとします。
『北斗の拳』のユリアが代表的で、
死んだ人でも生きていたことにしてしまいます。
その後の話も面白かったものの、
あれは作劇の汚点ではないかと思います。
『鬼滅の刃』で不思議なのは、
逆に「もっと紙幅を使えたはず」の部分でも、
さっと描いて終わらせていること。
中には設定として触れてはいるものの、
その後、全くその描写がないものも。
選別試験を終えて鬼殺隊入隊となった竈門炭治郎に、
育手・鱗滝が隊服を与えるシーン。
ここで「雑魚鬼の爪や牙では この隊服を裂くことすらできない」
と鱗滝が説明しているんですが、
作中、その雑魚鬼らしき鬼がほとんど登場しません。
炭治郎が禰豆子以外で初めて遭遇したお堂の鬼や藤襲山はいましたが
ここで隊服を着ているはずもなく。
入隊後ですと、那田蜘蛛山ですが、隊服の強度がどうこうという話はありません。
最後の無限城にもいたかもしれませんが…
普通なら「隊服を着ていたから無傷だった」「この隊服が破れたのだから」
というようなシーンがあるはずで、
それでページ数が稼げるはず。
『鬼滅の刃』では、話を引き伸ばすどころか、
むしろ、完結を急いでいるようにも思えました。
鬼の中でも「十二鬼月」というトップ12がいますが、
ストーリーでは元・十二鬼月から始まり、
ずっと「十二鬼月」ばかりと戦っています。
連載が安定し人気を得るまでならともかく、
ブームになってからも続けたというのは面白いです。
小児科から聞こえてくる話では、
予防接種などの時に、医師や看護師などが「全集中 ○○の呼吸」と言うと、
みんな大人しくなるらしく、
付き添いの親御さんも「全集中」を口にするそうで。
上肢、下肢、あるいは胴が裂かれるなど、
残虐な描写が多い『鬼滅の刃』ですが、
子どもたちにも人気ですよね。
私がいいと思ったのは、コメディシーン。
シリアスな漫画の中にコメディ要素を入れる場合、
タッチを変えてくることも多いのですが、
『鬼滅の刃』では、シリアスど真ん中、
剣士の生死がかかっているようなシーンにも、
コメディタッチの絵で緊張を緩めにくるところ。
それに、こういう絵があるおかげで、
こういうキャンペーンができます。
世の中『鬼滅の刃』キャンペーンだらけで、
雑誌の付録なんかも売り切れ続出ですね。
ハロウィンも、新型コロナウイルスの問題がなければ
禰豆子だらけになっていたかも。
ただ、昨日伝統芸能を現代風にアレンジした踊り「大田楽」が東寺で行われ
由緒ある仏教寺院なのにもかかわらず、
ハロウィンに因んだ仮装もあり、
その中に鬼滅の仮装もありましたね。
フランスで起きていることが信じられない我が国の宗教観です。
ともあれ、伊之助が欲しいですねえ…
ストーリーでは、剣士たちの生い立ち、鬼狩りになる経緯だけではなく、
鬼たちのバックストーリーもかなり丁寧に描写されています。
戦闘シーンよりも、むしろ、こちらが本体ではないかと思うほどに。
それに、巻数が後になるにつれ、
絵がない文章による説明も増えています。
やはり、完結を急いでいたのでしょうか。
まだ、見ていませんが、
『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が爆発的ヒットだそうで。
何が良いって、製作が製作委員会方式ではないところ。
日本の映画界最大の問題点はこれではないかと思っていますので。
多額の予算が必要な映画制作ですが、
これを多数の企業が出資して映画を作る製作委員会方式ですと、
クリエイターの声が上に届きにくく、
制作会社が作ろうとしているものと、
製作委員会に名を連ねている企業らの要望が異なった場合、
どうしても、後者が優先されます。
『鬼滅の刃』は制作会社の色が濃い作品化と思われますが、
製作委員会方式では、出しづらい色かもしれません。
それに、賃金も低くなる傾向があります。
リスクが分散されるものの、
利益も分散されますから。
目に見える悪癖では、声優経験もないだけでなく、
演技の経験すらろくにない"有名人"を連れてきてしまうこと。
これは製作委員会方式以外にも見られますが、
製作委員会方式に多い傾向かと思います。
実写の映画でなぜ「高校を舞台とした恋愛映画」が多いのか、
「海外で売れる映画」が少ないのか、
そこにも関係しています。
漫画『鬼滅の刃』は現在、2周目。
相変わらず、名前は数名しか記憶できていませんが、
いろいろと気付きもありそうな気がします。