9日、ファイザーとビオンテックが開発した
新型コロナウイルスのワクチンを接種した2人が
アレルギー反応を起こしたと
英国医薬品・医療製品規制庁が発表しました。
この問題について、現時点で重く考える必要はないかと思います。
この2人はエピペンのようなアドレナリン注射を携行している
重いアレルギー反応のリスクがある人たちで、
今回のアレルギー反応では、重篤な症状には至らず回復しています。
今後のデータ次第ですが、日本で一般がこのワクチンを使用するとしても
まだまだ先ですので、大騒ぎする必要はないでしょう。
少なくとも、現時点では
「何らかのアレルギーがある人は接種すべきではない」という話ではありません。
11日には米食品医薬品局がこのワクチンについて緊急使用許可を出しました。
今のところ、大きいネガティブな情報は出てきていませんので、
このワクチンが有力候補であることは間違いないでしょう。
さて、大阪では医療機関が危険なレベルに達していて、
平時であれば助けられた人を助けられないような事態が起こりうる状態です。
ここへ来て、維新に対する風当たりが強いわけですが、
ここまでの大阪府政が新型コロナ感染拡大や医療体制に
どの程度影響を与えたかを考えてみたいと思います。
まず、いわゆる都構想の住民投票を実施したことについて。
私も半年ほど先送りすべきとしていましたが、
これが感染拡大の原因になった可能性はあまりないでしょう。
問題はその費用ですが、その予算で何ができたかというと疑問ではあります。
次にイソジンのようなポビドンヨードうがい薬を
吉村知事が推奨したこと。
これは幸いにして、その馬鹿馬鹿しさに気付いた人が多く、
一部の転売ヤーが儲けた、損した、
あるいは薬機法違反で摘発されたなどの事態は起こりましたが、
感染拡大を招いたということはないと考えてよいでしょう。
次にK値。感染拡大、収束を予測できるというK値ですが、
吉村知事はこの予測を重く捉えていたようで、
もしも、それが判断に反映されていたとすれば大問題でしょう。
K値による予測は今のところ、成果はなく、
予測が外れても、グラフの後ろに新しい波を書き足せば、
永遠に「外れてはいない」と言い張れるような代物で、
「そりゃあいつかは当たるだろう」というもの。
役に立つものではありません。
次は看護師不足の問題。
大阪府医師会看護専門学校という
関西最大の看護専門学校が閉校するわけなんですが、
これは維新が府市の補助金が打ち切られたことが最大の原因です。
国や府市の補助金を必要としていた看護専門学校ですが、
それまでの度重なる削減に耐えてきたものの、
ついにとどめを刺されたことになります。
とはいえ閉校は2022年3月31日。
入学生は2019年度が最後ですので、
今の看護師不足には影響を与えていません。
そのことを踏まえた上でも、
これは維新が医療を軽く見ていた象徴となる出来事なのではないかと思います。
住吉市民病院の廃止、というか正確には統合なのですが、
これも維新の浅慮を象徴する出来事のように思います。
今、現場を離れた看護師たちの中に、
復職しようという人も出てきています。
問題が落ち着いた時、そういった方々を含めて、
恩を忘れて冷遇するようなことのないようお願いしたいです。
次に「大阪ワクチン」。
大阪府市は製薬ベンチャーのアンジェスなどと
ワクチン開発などに関する協定を結んでいます。
吉村知事はかつて新ワクチンを「9月に実用化する」と述べていて
肩入れしすぎ、期待しすぎなのは間違いないでしょう。
アンジェスが研究しているのは、
世界初のDNAワクチンとのことですので、
臨床試験はより慎重に行わなければなりません。
ある程度の知識がある人であれば、
「9月になんか間に合うはずがない」とわかるような話ですが、
ホイホイとそれに期待してしまうのが吉村知事なのかもしれません。
K値、イソジンと同様かと思います。
おそらく維新の中でも「おかしい」と思う人がいたと思いますが、
それが声にできない状態なのではないかと思ってしまいます。
国政でも何が良くて何がマズかったを考える必要があります。
今、直ちにやめてもらいたいのが政治家たちのマウスシールド。
国民の生命と健康を預かる田村厚労大臣も着けて会見しています。
感染拡大防止には意味がないと言い切っていいかと思います。
あったとしても、飛沫のごく一部を防ぐぐらい。
エアロゾルについては完全に無意味です。
医療機関で医師らがフェイスシールドを着けていますが、
マスクも着用の上でのことで、
そもそも、あれは患者の飛沫が目に入ることを防ぐ目的のものです。
既にマスクをせず、マウスシールドのみで来院する患者がいるらしく、
マスクの着用を求めたところ「テレビでみんな着けている」として
押し問答の一悶着という事例もあったようです。
テレビでも"対策してますよポーズ"ではなく、
本当に意味のある感染拡大防止策を図ってください。
そのためには、閣僚、議員たちもしっかりとマスクを着けてください。
上では維新の甘い考えについてお書きしましたが、
国にしてもそうで、
厚労省クラスター対策班で活躍された感染症数理モデルの西浦博先生は、
7~8月の段階で「野球に喩えるとまだ2回表で新型コロナウイルスが攻撃中」
「第3波、第4波は絶対に来る」と発言されていました。
しかし、今の政府にはその可能性について、
全く考えていなかったように思います。
「この数値がこの値を超えればこの対策を」といったプランが全く見えません。
そして、お金。
今回の追加経済対策ではそこそこの"真水"が投入されるようですが、
まだまだ足りません。
それに、予算の中身は「コロナ後」のものが多く、
今、困難の中にある私たちへのものではありません。
このままでは「コロナ後」に辿り着けない人が出てきます。
今、必要としている人に届けるための予算が必要です。
感染拡大の最大の要因は季節性なのでしょう。
しかし、人にできることは行うべきです。
そして、してはならないことはすべきではありません。
政治の話題から外れますが、
大阪に限らず、緊急事態宣言を議論すべきだとしている
救命医の方がいらっしゃいます。
この先生は普段、その発出が人の命を奪う可能性があることをご存知で、
慎重な立場でしたが、そういう先生が
それでも緊急事態宣言が必要だと考えているとすれば、
私たちは相当な危機であると自覚すべきかもしれません。
一般社団法人日本看護管理学会の悲痛な声明をご紹介しておきます。
ぜひ、ご一読をお願いします。
日本看護管理学会より国民の皆さまへ
ナースはコロナウイルス感染患者の最後の砦です
http://janap.umin.ac.jp/pdf/janap_20201210.pdf
国民の皆さまにお願いいたします。
・皆さまには、 ご自分の健康と医療現場を守るため、なお一層の慎重な活動をしていただきたい。
・医療専門職として、感染予防には留意しております。私たちを偏見の目で見ることはやめていただきたい。
・また、もしも一旦仕事から離れている私たちの仲間が、看護の仕事に戻ってこようと思うときには、周囲の方にはぜひご理解いただき、この窮状を救う意志のあるナースを温かく送り出していただきたい。