ここ1年、研究者や医療職以外の人でも、
このウイルスの情報を得てこられたかと思います。
ただ、否応なしに新型コロナウイルスとの生活はしばらくは続くことから、
あらためて、まとめてみたいと思います。
かつてコロナウイルス属、コロナウイルス亜科と呼ばれていたグループは
現在、オルトコロナウイルス亜科と呼ばれています。
ただ、日常的にはコロナウイルスという呼び方が一般的です。
コロナウイルスには50以上もの種類がありますが、
そのうち、ヒトに感染するウイルスは風邪症候群の4種、
動物由来の重症肺炎ウイルス2種の計6種が知られていましたが、
今、7種めのコロナウイルスとの戦いが続いています。
新型コロナウイルスというのは、もちろん便宜上の呼び名に過ぎず、
「SARSコロナウイルス2」「SARS-CoV-2」がこのウイルスの正式名称となります。
また、このウイルスによる気道感染症を「新型コロナウイルス感染症」と呼ぶものの、
国際的には「COVID-19」が一般的かと思います。
このウイルスの特徴のひとつは感染力が強いことで、
感染拡大防止対策が行われなければ、
1人の感染者が2.5人に感染させるとされています。
とはいえ、全ての感染者が誰かの感染源になっているわけではなく、
感染者の8割ほどは誰にも感染させておらず、
残りの2割が強い感染力で広げてしまっているのではないかと考えられています。
もうひとつの特徴は、感染に気付きにくいという点です。
このウイルスの名が「SARS-CoV-2」であることからもわかるように、
SARSウイルスの一種なのですが、
従来のSARSの場合、すぐに症状が悪化するために
自身も他者も感染に気付くことになります。
新型コロナの場合、無症状の場合も多く、無症状でも感染力を持ちます。
私も過去に感染しているかもしれませんし、
今、感染している可能性を完全に否定することは難しいです。
症状が出る場合、最も多いのは発熱で、次に空咳、
倦怠感やだるさ以外に、嗅覚障害、味覚障害、下痢などの症状が見られますが、
いずれも必ずしも出るというわけではなく、
たとえば、倦怠感がない、味覚障害がないからといって、
新型コロナを疑う必要はないといえない点に注意が必要です。
診断には検査が必要ですが、検査のみでの断定も難しいです。
ウイルスは生物ではないとされていますが、
その増殖は生物の繁殖の概念と共通していて、
生物における寄生と同じ形でコピーを増やしていきます。
病原性ウイルスの場合、症状により気付くことになり、
ヒトの場合、そこで治療や他者との接触を少なくするなどの対策ができますが、
このウイルスでは、気付かないままヒトは活動を続けることになります。
また、死亡率が高いウイルスでは、宿主の死亡により増殖は止まりますが、
あまり死なないウイルスの場合、
延々とヒトからヒトへとコピーが作られていくことになります。
ウイルスはコピーを増やすこと以外に目的を持ちませんが
コピーを増やすという能力では、これ以上ないぐらいのウイルスです。
感染は飛沫感染が主となります。
飛沫感染では、手についた飛沫が何かに付着し、
それをほかの人が触れて、その人が手で口や鼻、目を触れることで
感染するというのがよくあるケースです。
そこで必要となるのが感染しない、させないための対策ですが、
Twitter上で放射線科医のPKA先生(@PKAnzug)が
非商用利用可能な「やさしい新型コロナ対策のスライド」を公開されていますので
こちらでも使用させていただきたいと思います。
マスクは飛沫を大きく減らします。
一般は不織布のマスクが推奨され、続いて布マスクがよいとしています。
マスクのないフェイスシールド、マウスシールドは無意味だと考えてください。
手話通訳など、口が見えなくてはならないという理由以外での
マスクなし+フェイスシールドはただの「ポーズ」に過ぎません。
また、便にもウイルスが含まれていると考えられますので、
必ず手を洗いましょう。
手洗いは70%前後のアルコールによる消毒、
石鹸による手洗いが有効です。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000105095.pdf
国立医薬品食品衛生研究所にノロウイルスに関する知見がまとめられており、
ここには「流水で15秒手洗い」でも、99%のウイルスが減らせるとしています。
おそらく、新型コロナでもさほど変わりはないでしょう。
アルコールや石鹸がない時でも流水による手洗いが有効でしょう。
また、密集、密閉、密接のいわゆる「三密」が危険です。
これら3つの要素は、どれかひとつでも避けるべきで、
密集していても、密閉空間でないからいいなどということはありません。
会食での感染拡大が目立ちますが、
この会食という言葉が誤解されているのではないかという意見もあります。
職場で昼休みに同僚と食事をともにするというのも会食です。
同居している家族以外との食事は避けるか、
それ以外との食事では会話を控えめに、
できれば距離を開けつつ、食事中は黙る。
話すなら食前、食後にマスク着用で行いましょう。
もちろん、宴会は危険です。
先日も熊本で忘年会クラスターが発生しました。
アルコールは理性と判断力を鈍くしてしまい、
普段できている対策がおろそかになりがち。
また、会話も弾みます。
そのほか、不特定多数が集まるイベントに注意。
また、旅行そのものが悪いというわけではないとしつつも、
多発地域以外、同居家族のみでの静かな旅行が望ましいとしています。
手袋も着けているだけではむしろ感染源になってしまうことが多く、
対応ごとに脱いで使い捨てる必要があります。
それが無理である場合は、素手で対応し手の消毒を行いましょう。
消毒液では、店の入り口などに置いてあるものを使用することもあるんですが、
「?」と違和感を覚えることもあります。
今は稼ぎ時ですので、怪しい消毒液が混じっているかと思います。
また、空間除菌は不可能です。
もちろん、消毒目的で薬剤散布は感染症以前に身体に害を及ぼします。
PKA先生は、感染を増やすのは
「油断による感染防護の緩み」だとしています。
また、あまり他罰的にならず、感染者への批判を避けましょう。
しっかり対策していても、明日は我が身になるかもしれませんので。