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mRNAワクチンとは何ぞや? ~セントラルドグマ~ 延期になったアダムとかリリスの話ではなく

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 まずは本題に無関係な新版画から。

小原古邨(おはらこそん)「藤に雀」

 

さて、本題。
広島市が市民80万人のPCR検査を実施するとかで、
また、頭のおかしなことを言っているなと思っていましたら、
どういう検査方式にするのか、予算も何も決まっていない状態で、
県が出してきた話のようで、
知事だか市長だかのパフォーマンスなのでしょうか。

同様の話は昨年の東京・世田谷区・保坂展人区長の「世田谷モデル」があり、
その時にもこちらで批判しましたが、
その後、ぐだぐだな状態。
そもそも、できないんですよ。
そんなことに大量のリソースを割くわけにはいかないんです。
それで、現在、感染者数が減ったという結果も得られていないわけなんです。

広島市の場合、人口は約120万人。
今回、想定しているのはその中心部80万人が対象ということですが、
現状、国としての検査能力は12万件程度。
全員の検査を終えるのにかかる期間はどれぐらいでしょうか。
全国の検査能力の全てを使っても1週間かかります。
感染していなかった人が新たに感染してしまう可能性は無視でしょうか。
しかも、これは従来の検査を行わずに、広島の検査を最優先で行った数字です。
さらに加えて偽陰性の問題。
無症状者に対するPCR検査は偽陰性の確率が上がります。
濃厚接触者に検査しているのはそういう意味もあります。
そんなことに予算や人的リソースを割くぐらいなら、
もっとできることがあるでしょうという話です。
仮に陽性率が1%だと8千人の陽性者が出ることになります。
その人たち、どうするんですか? 決めてないんでしょ。

そういえば、我が寝屋川市でも同様の話があると聞き、
ついにそちら側に堕ちてしまったかと思い、
調べてみましたら全く違っていました。
報道の第一報ではそのような書き方になっていたんですが、
正しくは、症状があるなどで検査を希望する人に、
検体採取キットを宅配し、その検体を市職員が受け取りに行く、
そういう話でした。

デリバリー型PCR検査スタート、寝屋川市

 

市では保健所にて検体採取を行っていて、
保健所までは感染拡大防止のため、公共交通機関を使用しないように求めています。
ただ、自家用車などが利用できない市民も多く、
そういう人のためのサービスであるようです。
これは合理的ではないかと思います。
通常より時間がかかりそうなのは欠点ですが。

ただ、高齢者施設のスタッフなどに対し、

スクリーニングPCR検査を行うともしていて、
こちらは2週間ごとということで、
2週間という間隔で意味があるのかは疑問ですが、
「結果が陰性でも油断しない」という前提なら反対しません。

次はワクチン。
現在、世界では米ファイザーと独ビオンテック、
英オックスフォード大学とアストラゼネカ、
米モデルナの3種類が接種されています。
(ロシア製も中国製もありますが)

そのワクチンを比較した英BBCの動画があります。

 

 

こちらは英語ですが、日本版のサイトには日本語字幕付きのものもあります。

新型コロナウイルスのワクチンを比較 効果が高いのは? 安いのは? - BBCニュース

 


3つのワクチンの効果、費用、輸送、保管などについて比較していて、
とてもわかりやすくなっています。
おそらく、これらのワクチンを私たち自身が選べるようにはならないでしょう。
なったとしても、数年は無理なのは間違いありませんけれど。

ところで、今回急ピッチで進められた各社のワクチンですが、
それにしても、早すぎることから、
不安に感じている人も多いかと思います。

かねてよりファイザーなどは元々SARSやMARSなどのワクチン開発を進めていて、
新型コロナウイルスの正式名称が「SARS-CoV2」であることからもわかるように、
SARSの近縁種です。

ファイザーなどはずっとmRNAワクチンの研究を続けてきていて、
対SARSの研究に限っても10年近くになります。
いずれの企業や研究機関も、
昨年からあわてて研究を始めたというわけではありません。


ファイザーの場合、SARS用に開発していたものの一部を改変し、
新型コロナウイルスに対応させたということになります。
日本が国産ワクチンを調達できないのは、
普段からの研究が足りない、つまりは予算が足りないからなのでした。

では、mRNAワクチンとは何ぞやという話なんですが、
ご存知のように私たちを含む全ての生物の遺伝情報は
DNAという遺伝物質に収納されています。
そして、DNAの情報からタンパク質が作られていくことになります。

その際、必要となるのがmRNAです。
DNAはタンパク質を合成するための設計図ですが、
DNAの情報はまずmRNAにコピーされ、
ここからタンパク質が合成されます。
「DNAを転写したmRNAを翻訳してタンパク質が作られる」
という流れは「セントラルドグマ」とよばれ、
分子生物学の基礎的概念です。
なお、mRNAのmは伝令を意味するメッセンジャーの頭文字です。

mRNAを利用した医薬品は、体外から特定のmRNAを薬物として導入し、
特定のタンパク質を体内で人工的に作らせる作用をもたらすものです。
mRNA医薬品では、遺伝性疾患治療、再生医療などでも研究が進み、
中でも急速に研究開発が進んでいたのががんワクチンと、
感染症ワクチンでした。

従来の感染症ワクチンでは、病原体を弱毒化するか、
不活化して作られてきましたが、
元々は病原体だという不安があり、開発にも製造にも時間がかかります。
遺伝子ワクチンと呼ばれる遺伝情報に基づくワクチンであれば、
そのような数々の問題を解消できるのではないかと期待されていて、
遺伝子ワクチンの中でも、特に安全面で期待されてきたのがmRNAでした。
たまたま、昨年、世界がコロナ禍に見舞われたことで、
mRNAワクチンは一般からも広く期待されることとなったという訳なのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 


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