まずはこちらの話題から。
国立国際医療研究センター国際感染症センターの感染症専門医、
おなじみの忽那賢志先生の記事です。
過去に新型コロナに感染した人はワクチンを接種すべきか?
結論は
「感染歴のある人はそうでない人よりもより強い免疫を獲得することができる」
「局所の疼痛や倦怠感、発熱などの副反応の頻度は増える」
というものでした。
感染したことがある人は、抗体価が高く、
感覚としては、そこにワクチンの効果が上乗せされるという感じでしょうか。
次はこちら。
イスラエルが大躍進、ワクチンの成果-コロナ時代に最も安全な国番付
感染拡大で、イスラエルは最も危険な状態にあった国ですが、
今や最も安全な国になろうとしているという記事です。
昨日までのデータで、ワクチンの接種率は50%を超え、
ここのところ、1日の新規陽性者数は500人を下回っています。
人口は900万人余りですので、かなりの好成績です。
もちろん、これはワクチンの効果によるものと考えられます。
ネタニヤフ首相はファイザー社の17回もの会談を行ったとされ、
ともにユダヤ人であり、感染者数が多いことから社会的意義もあり、
データも豊富に取れることから、イスラエルには大量のワクチンが投下されてきました。
専門家たちもイスラエルの状況は注視していて、
その結果から、少なくともファイザー+ビオンテックのワクチン「コミナティ」は
かなり優秀であることが確認できたと思います。
イスラエルでは、マスクを外してもいいのではないか、
という議論も始まっているようです。
一方、気になるのは対称的なチリの状況。
チリは国民の25%以上が1回目の接種を終えたといったあたりで、
世界でもかなり接種が進んでいる国かと思います。
ただ、昨日から首都のサンティアゴなどかロックダウンとなりました。
感染者数2月下旬から増加していて、
昨年夏前から始まった第1波のピークに近い状況となっています。
これにはいくつかの原因が指摘されていて、
一つは地元メディアが伝えているように、ワクチン接種による気の緩みというもの。
ワクチンを接種しても、完全に元通りというわけではない、ということでしょう。
また、ワクチン接種から効果が現れるまでの期間に感染した可能性も。
もう一つは感染力が高いとされる変異株の影響。
そして、報道では触れられませんが、このワクチンがシノバックだということ。
シノバックは中国の科興控股生物技術が開発したワクチンで、
実際のところ、どうかはわかりませんが、
人民解放軍の軍人に意図的にウイルス曝露させることで、
急ピッチで開発されたといわれています。
これまでシノバックのデータも見てきたつもりですが、
数字自体は良好だったと思います。
ただ、データの信頼性はどうなんだろうかと思う訳です。
日本でシノバック接種が始まることはないと思いますが…
続いて嬉しい情報。
国産ワクチン 生産設備完成へ 1000万人分製造が可能に 岐阜
塩野義製薬などが開発しているワクチンを
岐阜県池田町にある医薬品製造会社UNIGENで行うというもの。
今年中には年間3000万人分以上の生産を目指すようです。
塩野義などは昨年末から臨床試験を行っていて、
成果を期待したところです。
最後にまたまためんどくさい話。
特効薬「イベルメクチン」を製薬会社が頑なに“隠す”理由 「開発中の新薬が売れなくなる」
「なぜイベルメクチンを承認しないんだ!」
などの声が高まっていますが、その陰謀論の記事です。
陰謀論はいいですよね。「~悪い」で話が済みますから。
データを調べる必要もなく、何も考えなくて済みます。
ただ、現実はそう単純であることは少なく、
現状
イベルメクチンは新型コロナ感染症の治療に有効かもしれないが
無意味かもしれない。有害かもしれない
としかいえません。
米国食品医薬品局、米国感染症学会、欧州医薬品庁が立て続けに、
イベルメクチンを新型コロナ感染症の治療と予防に使用しないよう声明を出しました。
「なぜアビガンを承認しないんだ!」
大騒ぎして、現場ではアビガンの効果があったのかなかったのか、
その効果を実感した医師がどの程度いるのでしょうか。
私が知る限り、いないように思います。
イベルメクチンについては、研究を続けるべきだとは思いますが、
今のところ、あまり期待していません。
これまで大騒ぎして、忘れてしまっているもの、
昨年からほかにもありましたよね。
ウイルスの変異については「東京型・埼玉型が蔓延している!」
「感染者数の予測にK値を使え!」「イソジンでうがいすれば予防できる」
喘息治療薬のオルベスコは当初効果があるされていましたが、
その後、有効性は確認できない、となりました。
オルベスコの件はともかく、今までに、これらを主張し、
訂正もなく何食わぬ顔でいる人たちのことを忘れないようにしましょう。
最後に版画を一つ。
エミール・オルリック「富士山への巡礼」
オルリックはプラハ出身、オーストリア国籍の版画家です。
浮世絵に憧れ、20世紀の初めに来日し、日本画、木版画を学んでいます。