先週、大阪国際がんセンターが
ICUに新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるという件をお書きしましたが、
昨日から阪大学医学部附属病院のICUがすべて新型コロナの患者専用となりました。
何度もお書きしているように、ICUを必要としているのは、
新型コロナの患者だけではなく、
新型コロナ専用にするということは、本来ICUに居続けられるはず、
診療を受けられるはずの患者たちが一般病棟に移されることを意味します。
ICUに入れていたら、居続けられたら助かったはずの命が失われるかもしれません。
昨日午前の朝日放送「正義のミカタ」で、
元厚生労働省医系技官で医師の木村盛世先生が、また広域搬送の必要性を説いておられました。
スウェーデンやスイスの患者をEU域内のほかの国で引き受けたケースもあり、
同じ国の中で広域搬送ができないはずはない、というお話でした。
仰るとおりかと思います。
ただ、国民の感染拡大防止の心がけが不充分では、
どれだけ病床があっても足りません。
国民の意識が第一です。
変異株の問題は相当深刻なようで、
50代以下の重症者も目立ちます。
先週の「正義のミカタ」で木村先生は
「高齢者を自宅以外の屋内に入らせない」旨を主張しておられましたが、
もう既に、高齢者ばかりを強調するのは適切ではなくなっています。
今は30~40代でも人工呼吸器管理で命をつないでいる患者が珍しくありません。
この時の「正義のミカタ」では、
毎度悪い意味でおなじみ、
K値を広めた京大ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授も出演していて、
変異株について「大騒ぎする必要はない」旨を主張。
その理由として、
強毒化と強い感染力という変異は両立しない
ことを挙げていました。
進化論的に考えれば、そのとおりで間違いないかと思います。
宿主を殺してしまうようなパラサイトは、
多くの子孫やコピーを作ることはできないでしょう。
ただ、ダーウィンが説いた進化論はあくまでも自然界での法則です。
新型コロナの患者に対しては、人間が治療を行います。
この時点で、既に自然界の法則から外れてしまっています。
また「強毒性と強い感染力という変異は両立しない」というのは、
あくまでも長期的な傾向です。
目の前で起きていることは、ごく短期的な傾向です。
大阪の実効再生産数を見てみますと、
ようやく、「1」に近づいてきたかな、というあたり。
「2」に近い状態の時もありましたが、このあたりが天井かもしれません。
実効再生産数が「2」であれば、1人の感染者が2人を感染させ、感染者は増えます。
「1」であれば、1人の感染者が1人を感染させるので横ばい。
それ未満であれば、感染者は減少していくことになります。
このあと、「1」未満となり減少に転じそうですが、
それが微減にとどまり高止まりといわれるような状況になるのかは、
府民の行動次第ということでしょう。
他の都道府県でも、油断すれば1週間余りで
医療リソースを食い潰すような状況になり得ますので、
自分自身と身近な人の命を守るために、慎重な行動をお願いします。
今のところ、ゲームチェンジャーはワクチンしかありません。
ワクチンが行き渡るまでの時間を稼ぎましょう。
吉田博「ラングーンの金塔」