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「5類にしろ」の先に見える地獄 2類? 新型インフルエンザ等感染症?

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土屋光逸「須磨の浦」


変異ウイルス・デルタ株が従来のゲームプランを難しくしています。
大きな波はこの第5派が最後にしたいところですが、
それも怪しくなっています。
徐々に国民の間に、危機感が共有されつつあるものの、
フジロックフェスティバルし開催され、
人ごみの中で、大声を上げているらしき画像を見るに、
まだまだ、他人事程度にしか考えていない人も多そうです。
あの画像が過労を押して

医療機関で踏ん張っている方々の目に留まらぬことを願いますが…

フジロックについては、あれでクラスターが発生しなかったとすれば、
奇蹟的なのではないでしょうか。
感染しても「感染ルート不明」になってしまうのかもしれませんが。
出演していたミュージシャンの中には、
「こんな時にオリンピックなんて」を連呼していた人もいて、
もうあきれるしかありません。
この大波が乗り切れるのかどうか、危ぶまれているいうのに。

もしも、フジロックからの感染拡大が確認されたとすれば、
これまで、慎重に慎重を重ねて、感染しないように、
気をつけていた芸能関係、スポーツ関係の人たちの努力を無にする可能性があります。
これをきっかけに、観客を入れての興行ができなくなるかもしれないのですから。

来年のフジロックは開催されるのでしょうか。

来年「去年のが最後になったね…」という嘆きが聞かれそうです。

サッカー欧州選手権で6千人超が感染

 

こんなことにならねば良いのですが。

千葉では自宅療養中の感染妊婦が搬送できず自宅で出産。
新生児死亡という痛ましい出来事がありました。
世論は、なぜ受け入れられなかったのかという声が大きいものの、
現実はなかなか難しいかと思います。

彼女を受け入れるためには、新型コロナ感染症に対応できる医療機関が必要で、
さらに産婦人科に加え、早産が予想されるため、新生児科医とナース、
新生児集中治療室も必要です。
これを満たすだけの医療機関を探すのはかなり困難です。

そして、妊娠29週という難しさ。
コロナ禍ではなくても、子どもを助けることができたのか、
という疑問はあります。
たとえば、大阪府の妊婦搬送は日本一だと評価されていますが、
同様のケースが大阪で起きていたら、どうだったでしょうか。
それでも、救えたとは言いきれないかと思います。
たしかに、搬送できれば、できることはたくさんあったかと思いますが、
平時なら助けられたはず、ということではなさそうです。

千葉大病院では、今後の同様のケースに対応できる専用病床を設けるとしていて、
さすがは千葉大病院なのですが、
千葉大病院とて、人員やスペースが湧いて出てくるわけではありません。
一般論として、新型コロナの病床を作れば、
その数倍の病床が減らされることになります。
ほかの疾患のために用意していたはずの病床が減るわけです。
今後、そのような妊婦が搬送されてくれば、
人手が割かれることにもなるでしょう。
無理を押して続けている新型コロナ対応に、
さらなる無理を重ねる対応になろうかと思います。

この出来事に「2類だからこんな悲劇が起きた。5類にしないからだ」という声もあります。
まず間違っているのは、新型コロナ感染症は、
昨年2月1日に、2類をベースとする「指定感染症」に指定されていて、
今年2月13日に「新型インフルエンザ等感染症」という扱いになりました。
この新型コロナ感染症の扱いを変えるとすれば、
法改正が必要となります。

「5類にしろ」という意見は、新型コロナ感染症を診療できる医療機関が少ない、
増やせという考え方なのですが、これを5類にするとどうなるでしょうか。

「指定感染症」の時から、この感染症は感染症指定医療機関での診療が原則です。
5類だと、そういった制限がなくなります。
多くの医療機関が対応可能になるわけなんですが、

スタッフの知識、経験、技量不足を無視したとしても
それはつまり、私たちが花粉症か何かで医療機関に行き、順番を待っていたら、

たまたま隣に座っていたのが

新型コロナ感染症の患者だった

こういうことが頻発することを意味します。

感染症指定医療機関では、
このパンデミックで感染者の動線を分けるなどのゾーニングが行われ、
院内感染を防ぐ努力が続けられ、
それでも院内クラスターが発生したケースも少なくありませんでした。
医療スタッフのワクチン接種が済んでいるとしても、
ブレイクスルー感染の可能性もあり、
リスクはかなり高くなるかと思います。

現在でも、感染症指定医療機関以外で

新型コロナ感染症患者を診ているところもありますが、
仮説の外来を設けるなどして、対応しています。
構造的にゾーニングができない医療機関は多いかと思います。
それを考えずに「5類にしろ」はかなり乱暴です。
患者には免疫機能が衰えている人も多く、
産科があれば、妊婦や新生児もいます。

こうなれば、あらゆる疾患で「診療をためらう」という現象が起きます。
必ず行かねばならないはずの通院がキャンセルされます。
そして、「診療をためらう」という現象は、
この感染症の医療費の問題でも起きるでしょう。
現在、この感染症の患者の医療費は無料です。
しかし、5類にその規定はありません。
健康保険で3割の支払いだとしても、5~10万円ぐらいなら、珍しくないかと思います。
無保険の人ならどうするでしょうか。
苦しくても自宅で頑張り、自分で買い物に行くかもしれません。

症状は悪化し続け、今よりもはるかに自宅で亡くなる人が増えます。
こういう地獄が見えます。

昨年来、「5類にしろ」という意見がありますが、
その根底には、

こんな法律だから医療が逼迫している

という考えがあるようで、
これが認知の歪みなんだと思います。
実際は

こんなウイルス、こんな感染症だから、この法律を適用している

なのです。原因と結果を取り違えてはいけません。
また、

死亡者数をインフルエンザと比べろ

という意見もありますが、医療現場の奮闘が考慮されていません。
インフルエンザでは、ここまでの手厚い診療体制にはなっていません。
医療現場が無理矢理頑張っているから、死者が少なくて済んでいるのです。

ただ、国の動きを見ていますと、5類とする下地を作ろうとしているのではないか、
そう思えるフシも感じられます。
もしも、実際に5類扱いとなったとすれば、
国が匙を投げたということなんだと思っています。
ワクチン普及が前提の変更であれば、私も反対しませんが。

 

 

 

 

 

 

 


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