もしも世論調査か何かで
「あなたは菅義偉政権を支持しますか?」
と問われれば、私は
「支持しない」
と答えるでしょう。
これは安倍政権についても同じで、それでも、
私がこの国で暮らした中で見てきた総理大臣の中では、
最も高く評価しているのが安倍前総理でした。
ただ、支持するまでには至らなかったということです。
安倍政権に点数を付けるとすれば、
私の場合、45点ぐらいでしょうか。
アベノミクスとして掲げられた三本の矢を完遂していれば、
70点ぐらいはつけられたと思いますが、
実質、放たれた矢が1本しかなかった点は無視できません。
その前になりますと、野田政権15点、菅直人政権2点、鳩山政権1点といったところ。
ヘレン・ハイド「Mother and Child」
任期満了を以て、総理大臣職を離れる管総理ですが、
前政権を上回る評価をしてもよいように思います。
最大の功績はワクチンの確保と接種。
今、国内で接種されているワクチンは、
国内での治験が省略されています。
アメリカなどでの治験には、アジア系へのデータが充分に含まれており、
緊急性を要することであるから、国内での治験の一部を省略したんです。
この頃、立憲民主党などはこの特例承認を批判。
「大規模接種よりも検査拡大だ」
と主張していました。
その後も
「首相はワクチン頼みだ」
と批判していますが、
今、重症化した人、亡くなった人の多くはワクチン接種していない人です。
もしも、高齢者への接種が少しでも遅れていたら、
医療者への接種が遅れていたら、
どれだけの犠牲者が出ていたことでしょう。
管総理が総裁選に出馬しない意思を表明したことにより、
立民は
(現政権は)ワクチン確保の通商交渉を明らかに間違えた。国際的なビジネスは「双方誠意を持って」などという甘っちょろいものではない。私は国際的な商取引のシビアな最前線をわかっている皆さんと関係を構築しているので、その方々を含めたチームで交渉を行なっていく。
枝野代表
— 立憲民主党🌿 #変えよう (@CDP2017) September 3, 2021
(現政権は)ワクチン確保の通商交渉を明らかに間違えた。国際的なビジネスは「双方誠意を持って」などという甘っちょろいものではない。私は国際的な商取引のシビアな最前線をわかっている皆さんと関係を構築しているので、その方々を含めたチームで交渉を行なっていく。#りっけんチャンネル pic.twitter.com/PIQhjpFOvz
などと言っていますが(原文ママ)、
前政権から合わせて、各国のワクチン開発状況にアンテナを張り続け、
おそらく、その多くは無駄になったでしょうが、それを承知で
ファイザー製やモデルナ製、アストラゼネカ製の必要量を確保したのです。
おそらく、上の批判はワクチンの商取引における
不透明な部分を指しているでしょうが、
事態が事態だけに、信用取引により迅速化を優先したのでしょう。
製薬会社も交渉を表に出してもらいたくはないでしょうし。
つまり、ファイザーやモデルナには相手にしてもらえないのではないかと思います。
とはいえ、立民政権だったとしても、
早い段階でワクチンを入手できた可能性はあります。
立民の中には、中国製やロシア製の検討を訴えていた議員もいます。
しかし、不活化ワクチンよりも優れたmRNAワクチンやウイルスベクターワクチンを
現政権よりも早く入手できた可能性はゼロです。
中国製のものは未だに評価が分かれていますし、
どんなに好意的に評価してもmRNAワクチンには遠く及びません。
ロシア製では研究不正が明らかになっています。
接種スピードも
「大規模接種よりも検査拡大だ」
なのですから、そちらにリソースが割かれ、
高齢者に行き渡ることもなかったでしょう。
これは世田谷区の事例からも容易に想像できます。
世界各国を見てみても、開発国でもない、感染爆発しているわけでもないのに、
ここまでワクチンを普及させている国はほかにありません。
ワクチンに対する批判するロジックでは、
「世界にはもっとワクチンを必要としている国があるのに」
という部分になるでしょう。
全国民に対する接種率では、間もなくアメリカを追い抜くことになります。
「1日100万回」という目標を聞いたとき、
私も絶対に無理だと思いました。
しかし、実際は140万回を超える日もあり、
そのために、一時的なワクチン不足にもなりました。
感染拡大はどの国でも起きていて、
成功しているのは台湾やニュージーランドでしょうか。
台湾は一時感染が拡大しましたが、
また新規感染者がほとんど確認されません。
繰り返しになりますが、台湾では入国者と感染の可能性がある人に対し、
罰則付きで隔離を強制しています。
日本では、入院拒否に罰則を設けようとしたら、立民が反対して頓挫しました。
それすら決められなかったのに、よく持ちこたえていると思います。
専門家についても、尾身先生を重用し続けているのに対し、
立民が有り難がっていたいるのが上昌広に児玉龍彦ですから。
トンデモな連中の意見が採用されていたとすれば、
恐ろしいことになっていたことでしょう。
入国管理については、私もコロナ禍前に空港における
防疫の縦割り行政を批判した記事を作ったことがありますが、
たしかに日本の防疫システムは、改善の余地が多分にあります。
ただ、台湾やニュージーランドを含めて、
全ての国にデルタ株やラムダ株が侵入してしまっているのです。
これらを防ぎきった国はゼロなので、
もしも、日本の防疫システムが改善されていたとしても、
これらを完全に防ぐことは不可能だったのではないでしょうか。
管総理の最大の問題点は4つ。
まずはコミュニケーション能力。
ゲームプランだけでも、しっかりと説明してほしかったです。
説明が下手でもいい、プロンプターでも原稿用紙でも、
何を読んでもいいので、国民とそれを共有すべきだったと思います。
この部分は他の人の口を借りてでも、台湾を手本にできたはずです。
ただ「明かりははっきりと見えはじめている」という彼の言葉は真実でしょう。
次に補償の問題。
コロナ禍において、日本はほかの国に負けないぐらいの予算を投じています。
収入減に対する補償にもかなり投入されているのですが、
運用方法があまりよくなく、また周知もされていません。
これは伝えるべきマスメディアの責任でもあります。
加えて、さっさと予備費を使い切り、次の予算を出せとも思います。
全く人気取りをしなかったのは長所でもあり、短所でもあります。
あとの失敗は閣僚の問題。
厚生労働大臣に田村憲久を起用したこと、
環境大臣に小泉進次郎を起用したこと。。
そして、就任以来、言われていた
安倍総理には管官房長官がいたが
管総理には管官房長官がいない
ということかもしれません。