9月24日公表の時点で、日本では7千万人が
新型コロナウイルスに対するワクチンを2回接種したことになります。
割合にして55.8%です。
世界に先駆けて、接種キャンペーンを行っていたイスラエルでは、
今、61.9%という数字が確認できます。
相変わらず、日本でもワクチンを忌避する人もいますが、
「打ちたいのに打てない」という人も少なくなく、
この調子で進めば、2回接種した人の割合が最も高い国になりそうです。
第5波では大勢の感染者が出て、緊急事態宣言が発せられた地域が多かったものの、
死者数はこれまでの波とは比較にならないほど減少。
その割合はインフルエンザ並みとなりました。
ただ、例年のインフルエンザは、現在のような医療体制ではなく、
法律も違います。
現場が限界を超えた状態で踏ん張ったからこその結果であるため、
直ちにインフルエンザと同じ扱いにしろというわけではありません。
伊東深水「赤と白」
第5波はここ1週間ほどで、感染者数が急激に減少していて、
これは専門家も様々な仮説を立てていますが、
はっきりしたことはわからないというのが現実でしょう。
ワクチン以外で最も多く言われているのが、
国民それぞれがこれまでの経験により、
どういう行動が感染拡大防止に役立ち、
どういう行動が拡大させるのかを学んだことで、
リスクを下げる行動ができるようになったのではないか、というもの。
箍が緩んでいるといえ、それぞれ気をつけていたということでしょうか。
ワクチンが感染予防になるというのは間違いないのですが、
デルタ株において、予防効果が下がることも間違いありません。
ただ、どの程度下がるのかについてはよくわかっていません。
気になるのはブレイクスルー感染で、
これはワクチン2回接種完了した人からの感染のことですが、
はっきりしているだけでも、かなりの報告があります。
デルタ株は2回接種完了の人の鼻腔でも増殖することが確認されていて、
感染初期、つまり発症2~3日前からのウイルス排出量は、
未接種の人も、2回接種完了の人もあまり変わらないという報告もあります。
一方、どれだけの期間、ウイルスを排出し続けるかについては、
2回接種完了の人の方が、排出する期間を短くすることかできるようです。
感染初期においてワクチンは
「誰かを感染させることを予防する効果」は低いものの、
ワクチンには体内のウイルスを急速に減少させる効果があり、
感染から日数が経過するほど、
未接種者と2回接種完了の人では、
「誰かを感染させることを予防する効果」の差が開いてくることになります。
この第5波が急速に収束へと向かったのは、
この効果が関係しているのではないでしょうか。
ウイルスを排出する期間が短ければ、
それだけ、接する人の数、機会を減らすことができます。
この問題については、今後も研究していただきたいと思います。
このあたりが明らかになれば、今後の国家としての感染制御に役立つはずです。